バリエーション入門 源次郎尾根

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2021年09月06日 (月)~2021年09月08日 (水)
メンバー
山の先輩2名
天候
1日目/晴時々雨,雹 2日目/晴 3日目/雨,風
コースタイム
【1日目】室堂(40分)雷鳥沢(120分)剱御前小舎(30分)剱沢
【2日目】剱沢(70分)平蔵谷(170分)Ⅰ峰(60分)Ⅱ峰(90分)剱岳(60分)前剱(40分)剱山荘(40分)剱沢
【3日目】剱沢(60分)剱御前小舎(50分)雷鳥沢(60分)室堂
コース状況
・剱沢キャンプ場は1人2000円に値上がりしてます。
・剱沢雪渓はチェーンスパイクで充分でした。雪渓を歩いたのは僅かでほぼ夏道を歩きました。
・Ⅱ峰の懸垂以外はロープ出しませんでした。平蔵谷取付きから10分ほど登ったスタンスの乏しい箇所では、残置ロープにお助け紐を付けてごぼうで登攀。
・Ⅱ峰の懸垂は約30m。ロープは50m×2本で下りました。シングルの場合でも60mがギリギリだと思います。
難易度
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感想コメント

 初級バリエーション登山で人気の、剱岳・源次郎尾根を歩いてきました。今年は登山を一から勉強中で、少しずつではありますが難しいルートにも挑戦するようになりました。源次郎尾根は登っておくべき登竜門のようなルート。山の先輩方がぜひと誘ってくれたので、二つ返事で参加させていただきました。
 今回の計画は剱沢をベースにして、初日は別山岩場でマルチの練習、2日目に源次郎を登って、3日目は南壁A2登攀。欲張りな私の為に先輩が提案してくれた贅沢プランでしたが、2日目以外は生憎の荒天。別山とA2は諦めましたが、源次郎はこの上ないお天気で、平日で雨に挟まれたせいか他のパーティーはおらず貸し切り状態。風もなく最高のコンディションの中登ることができました。

 初日、扇沢から始発のバスに乗り込み、終点までは乗り物天国を満喫します。降り立った室堂は硫黄の匂いが強く、どうやら風向きがいつもと違うよう。昼頃、雨がぱらつく程度と予想していましたが早まりそうな予感。案の定、雷鳥沢から登り始めて程なく雷が鳴り、なんと霰まで降ってきました。オーバーペースで歩いていたせいもあり、一気に疲れが出た私は剱御前小舎へ一旦避難。温かいココアを飲んで仕切り直しました。
 
 外へ出ると晴れ間が広がり、剱も顔を出し始めていました。明日登る源次郎はどのラインだ、A2は見えてるのか、興奮気味に剱沢へ向かっていきました。 
 到着してテントを張り小休止していると、左奥から見覚えのある御仁がテントから顔を出しているではありませんか。そこにいたのはなんと高橋庄太郎さん!テント泊の師匠と崇める先輩もソワソワしていたので、2人で意を決して話しかけてみることに。すると高橋さん、穏やかな口調で気さくに答えてくれました。その日はカメラマンさんと取材に来ており、黒部ダムからはしご谷乗越を上がって来たとのこと。霰が降って安定しないから剱は登らずご飯を作っていたそうです。一緒に写真も撮ってくれて、相変わらず優しくてカッコいいお方でした。

 戻って早速登攀準備、キャンプ場の東側から覗き込むように立つ別山の北面へ向けて歩き出します。目と鼻の先にあるように見えましたが、急峻なガレ場を上がるので取付きまでは約30分といったところ。ところが歩き出してすぐにポツポツ、暗い雲が海の方からやってきて嫌な雰囲気。テントに戻って仕切り直そうとしたら今度は大粒の雨。岩が濡れると焦っていた気持ちも、次第に諦めへと変わっていきました。キャンプ場や剱を見ながら気持ち良く登れそうなルートなので、次回来た時にまた挑戦してみたいです。
 気を取り直して雨上がりに周辺散策へ。剱沢小屋へ飲み物を調達しに行ったり、逆さ剱の映る池を散策したり。夕食は食坦の先輩にすっかり任せてしまったので有り難くいただきました。野菜たっぷり鶏塩鍋でミネラルとたんぱく質を補給し、午後18時過ぎには早めに就寝しました。

 翌朝は2時半起床、満天の星空を見ながら3時半には剱沢を出発。ヘッデンの灯りを頼りに剱沢を下降していきます。沢の音を聞きながら左岸の夏道を辿っていくと、流れはいつの間にか雪面に変わり、平蔵谷出合の数分手前でようやく雪渓に下り立ちました。
 青紫の空を切り裂くように聳えるのは八ッ峰前衛。神々しい姿に見とれていると、前方に顕著な大岩とその右岸を遡る支流、平蔵谷出合に着きました。時刻は5時前、いよいよ源次郎尾根の始まりです。朝日が登る前に、まずは急な草付きを踏み跡を探しながら登り始めました。
 昨日の雨で若干数濡れてはいたものの、服が濡れる心配もなし、手がかり足がかりを探しながら楽しく上を目指しました。しばらくはダケカンバの間を縫うように木登り、森林限界を越えると岩肌が薔薇色に染まり、南には朝日を浴びる剱沢、東には後立の峰々が誇らしく連なっていました。  
 Ⅰ峰が近付くと傾斜は緩みますが、今度はガレ、ザレが続くようになります。歩き方が下手な私は、後続の先輩方に落石しないよう細心の注意を払います。気を抜いた途端落としてしまい、減点を食らいました。
 Ⅰ峰まで来ると右手には剱を象徴する八ッ峰が競り上がってきます。今まではギザギザしたおっかない岩稜としか認識していなかったのが、実は上半・下半に分かれていて、その中でまた剣稜会ルートだの○○大ルートだの、いくつもの岳人の足跡が存在していたとは驚きでした。バリエーションを始めなければ知り得なかったことです。これからさらに実績を積んでいつかチャレンジできたらなと思います。

 一旦下りⅡ峰へ登り返すといよいよ本峰が大きくなります。そんな本峰を見ながら懸垂と心の準備。高度感があるので始めは緊張しましたが、バックアップもとって焦らずゆっくり下りました。それでもやはり舞い上がっていたのか、ルートが少し右に逸れてしまったので落ち着いて修正、無事に地面に着地しました。屈曲やハングもなく非常に素直、三ッ峠とは違って初心者にピッタリのラッペリングでした。
 懸垂が終わってもまだまだ山頂は先です。ここからザレた登りが続き、疲労が溜まった体にとってはここがある意味核心かもしれません。まだまだ余力があるつもりでしたが、後で写真を見返すとハーネスのセンターがばっちりずれていました。かなり格好悪いので、核心毎にチェックを心がけていきたいです。

 そして遂に山頂。数年前に別山尾根から登ったことはありましたが、全く違う山のように思えました。あの頃は鎖に必死に掴まり、ひいこら言いながら登った剱岳。まだまだ目指す頂は遠いですが、少しずつ成長しているような気がします。それよりも共に登って共に喜びを味わう仲間がいることが、本当に嬉しく幸せに感じました。
 眼下には富山湾、そこから延びる早月尾根、立山の向こうには槍が聳え、この上ない景色が広がります。余韻に浸りながら別山尾根を下り、南壁を覗きこみました。結局今回は挑戦できませんでしたが、近いうちにまたリベンジできたらと思います。
 下りきって剣山荘にて乾杯。下山後のコーラは何と爽快なのでしょう。その後ゆっくりと剱沢へ一登りして、我が家へと帰ってきました。  
 この日のメニューは麻婆麺。ちゃんと茄子も用意してくれて感動でした。前日は緊張のせいか眠りが浅かったのですが、この日はお腹も心も満たされ深い眠りに就けました。

 翌朝は暗いうちから雨、風。ひどくなる前に撤収、下山を試みました。飛ばされそうになりながらなんとかテントを片付け、視界10mほどのガスの中を進んで行きました。室堂まで無言の行進、雨なので仕方ないですが昨日との落差にがっかりです。かなり冷えたので、ターミナルに着いてからいつもの小豆おやきと温かいお茶で暖をとりました。
  
 下山後はさっと汗を流し、念願の人気店・俵屋飯店さんでがっつり餃子定食。食後は真向かいの和菓子屋・喜久龍さんで、旬のシャインマスカット大福とマンゴーどらをいただきました。この店構えはきっとお店同士の策略。甘い物は別腹作戦に見事にはまってしまい、食いしん坊なのがばれてしまいました。南壁A2や八ッ峰に挑戦するときも、下山後はこのプランを楽しみに頑張りたいと思います。

フォトギャラリー

山頂が近付いてきました。Ⅱ峰に向かってます。

初日。霰に降られて剱御前小舎に避難。外へ出たら晴れてきました。

剱沢にテント張って散策。登れなかった別山岩場を眺めながら。

鏡剱。天辺のガスがなかなか取れない。

今日のメニューは鶏塩鍋。うんま~。明日の活力!

夜明け前の剱沢。静まり返った暁七つ。

朝の平蔵谷。目印の大岩も見えてます。

ここでお助け紐使いました。

その後はスタンス豊富なのでロープなしで登ります。

朝日を浴びながら登るのは爽快です。

剱沢と小屋が見えてます。ダイナミック!

今日のアタックザックもミュータントです。

Ⅰ峰の下り。山頂は圧倒的な存在感。

八ツ峰と熊の岩。来年あたり行きたいなぁ。

Ⅱ峰へ向かって。体はハイマツの葉っぱだらけ。

Ⅱ峰下り懸垂中。勇気を出してトップで下りました。

無事登頂!達成感に満ちてます。

平蔵のコルから南壁A2取付きを下見。

今年はこんなです。

下山後は大町の俵屋飯店で盛り盛りランチ!

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