雪の八ヶ岳プチ縦走 権現岳~赤岳

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2022年03月08日 (火)~2022年03月09日 (水)
メンバー
山仲間1名
天候
晴れ
コースタイム
【1日目】
天女山入口ゲート(30分)天女山(20分)天ノ河原(130分)前三ッ頭(60分)三ッ頭(40分)権現岳(90分)ツルネ(30分)幕営地

【2日目】
幕営地(80分)天狗尾根ハシゴ(80分)赤岳(60分)行者小屋(130分)美濃戸口
コース状況
・天女山入口の信号のあるゲート前が駐車スペースです。8台程度。トイレは最終コンビニの7.11で。
・権現岳頂上まではしっかりしたトレースあります。そこから先は1人分のトレース付いてました。天気によって消える可能性あります。
・ゲンジハシゴはしっかり出てます。その先のトラバースで念のためロープ出しました。トラバース終了点に残置ハーケン一本あり。
・幕営はキレット小屋がスタンダード。今回はツルネから下った樹林帯に張りました。
・旭岳下りから赤岳基部まで雪深くて何度か足をとられました。ワカンがあると楽です。
・赤岳登りは一部岩が脆いので落石や浮石注意。
・美濃戸から天女山までタクシー約30分、10000円(痛)。
難易度
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感想コメント

 いろいろなことが落ち着いたので、念願の積雪期八ヶ岳縦走へ出かけてきました。今回の核心は荷物を担いで長時間歩き通すこと。最近はシステム練習ばかりやっていたのですっかり体が鈍っており、久々のがっつり登山には少し不安がありました。
 いつもの52Lのザックに一番温かい冬季用の寝袋、シュラフカバー、マット、ダウンの上下に象足、中くらいの鍋とガス缶、保温ボトル、食料。アバランチギアにゴーグル、30mロープと最低限の登攀装備、アックスは念の為ダブルで。雨蓋は閉まりきらない状態で総重量は19kg。テントはお願いしたもののザックはパンパンで少しの余裕もなく、美しいパッキングとは程遠い状態でした。

 そんなこんなでスタートは清里側の天女山から。権現岳に最も楽にアクセスできて踏み跡もバッチリ。ただ三ッ頭までの樹林帯がえらく急だったり、ちょっとでもトレースを外すと腰まで潜ったり。何度かはまってお互いの救出にも一苦労でした。
 三ッ頭から先はほぼ森林限界。一つ目のピーク目指して約5時間半、最後の急登を越えてようやく山頂へ。権現のてっぺんはのっぺりした岩が積み重なり、その間に風化した鉄の剣が刺さっています。祠も奉られ赤岳と同じく信仰の山だったことが伺えます。
 ここに来るまで日帰りの方にずいぶん追い越されました。皆朝早く登って昼前には下山したようです。ギボシをラッセルしていた単独の方を見送り、小休止の後、北上を開始しました。

 冬はあまり歩かれないキレットですが、この日は一人分のトレースあり。雪庇や踏み抜きに注意しながら慎重に歩みを進めました。このエリアの核心は長い源氏梯子からのトラバース。梯子は出ていましたがトラバースの鎖は埋まっていたので、念の為ロープで確保しながらへつることに。雪はしっかりアイゼンの爪が効く固さだったので、ロープ無しでも行けないことはなかったのですが、練習の為にも惜しみなく使いました。
 旭東稜を登るクライマーのかけ声を聞きながら、雪庇が大きく張り出した旭岳を越えツルネへ。この界隈は雪が深く一歩進むのにも苦労しました。交代で進みましたが、ここまで重い荷を背負った疲れが出たのでしばし大休止。ふと見上げると、行く手には赤岳から阿弥陀岳までのダイナミックな稜線。左に目をやるとちょうど風を遮ってくれそうなダケカンバやシラビソの林。まさにここはテント場好適地。キレット小屋まであと僅かでしたが、早速荷を下ろし雪を掘り出す準備に取りかかりました。
 外壁はより高く、地面はより平らに。さっきまでの疲れはどこへやら、快眠の為にはお互い労力を惜しみません。ある程度の広さを確保出来たのでテントを設営、ダウンを着込みシュラフにくるまったら寒さはほぼ皆無に。入り口を開けてみると夕日で燃えるような赤岳南面が。刻々と赤く染まっていくのを眺めながら晩酌を楽しみました。

 翌日も快晴。ご飯をゆっくり食べたので日の出の時間はギリギリでした。朝日を浴びて元気良く最初の一歩を踏み出すと、いきなりズボッ。出発から僅かでもなか状の深雪にはまってしまいました。赤岳の登りが始まるまでは何度か足を取られ、抜け出すのに難儀しました。
 深い雪稜が終わるといよいよ赤岳の針峰群が近付いてきます。一際目立つのは細長く尖った小天狗と、ずんぐりむっくりした大天狗。バリエーションルートで積雪期も含め良く登られているようです。その天狗を左から回り込み、梯子やルンゼ、トラバースを乗り越え、赤く脆い岩場を少しずつ登っていくと、左手の阿弥陀岳が徐々に迫ってきました。食料が減っても少しもザックが軽くないのは何故だろう。自分が重くなったからかはたまた疲れのせいか、アイゼンの軋む音を聞きながら、足元は集中しつつ脳内ではとりとめのないことを考えていました。
 最後の雪稜を登りきると見覚えのある景色。何度か登った文三郎道が見えてきました。この時時刻は午前9時過ぎ、風も穏やかで山頂は賑わっているだろうと予想していましたが、人っ子一人おらず。振り返ると今まで歩いてきた銀嶺。日の光に照らされキラキラと輝いていました。上から見下ろした縦走路は遥か遠く、最初に越えた三ッ頭は雲海の下に見え隠れ。ずいぶん歩いたなぁ。静かで熱い感慨が込み上げてくるのを感じました。
 
 しばらく休みましたがそれでも誰もやってこないので下山開始。一月前に登った、主稜に取り付くクライマーを見送りながら急な尾根を下っていきました。
 行者小屋で最後の休憩をしてから長い林道歩きの始まり。南沢を下るのは久方ぶりでしたが、ずいぶんと長く感じました。美濃戸手前の地味に辛い急坂は今までで一番辛かったです。
 美濃戸からはタクシーで登山口まで周回。交通費は痛い出費でしたが致し方なし。その後節約すれば良いものを、美味しい厚切りトーストを一人で平らげてしまい、せっかく消費したカロリーも元通り、お財布もすっからかん。山は厳しく下山後は甘々で旅を終えました。

フォトギャラリー

ツルネから赤岳へ続く稜線。風は穏やか。

『ここが一番きつい』の看板。前三ッ頭までは樹林帯の急登。

前三ッ頭到着。先はまだまだ長いです。

三ッ頭から権現岳。赤岳までこれから歩く稜線が見えてます。

長いゲンジハシゴ。この先のトラバースがちょっと緊張。

旭岳を越えて権現岳を振り返る。

ようやくツルネ。ここまで9時間弱歩きました。

テント場。赤岳が目の前に見える場所にしました。

登山インストラクター試験合格祝い!

翌朝も良いお天気。朝は風強し。

赤岳直下。岩と雪が交互に出てきます。

右側には阿弥陀岳。北稜登ってる人が見えました。

ここにも梯子。

小天狗。天狗尾根も挑戦したいです。

切れ落ちたトラバース。

阿弥陀がかっこいい。

赤岳山頂まであと一息。

まだ東斜面に雪稜ありました。

とうちゃこ!久々の赤岳山頂。

下山後は清里ROCKの厚切りトーストをペロリ。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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