雁坂峠の冬
- 投稿者
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るんちゃん(おとな女子登山部)
浦和パルコ店
- 日程
- 2025年02月20日 (木)~2025年02月21日 (金)
- メンバー
- 単独
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 【1日目】新地平バス停(120分)渡渉地帯(90分)雁峠(50分)燕山(90分)古礼山(45分)水晶山(50分)雁坂小屋
【2日目】雁坂小屋(25分)雁坂峠(60分)雁坂嶺(80分)東破風山(40分)西破風山(150分)防火帯(45分)道の駅みとみ
- コース状況
- ◯雁峠までの渡渉は数回あります。凍っている箇所もあるので滑りやすく難儀します。スパイクがあると安心です。
◯雁峠から雁坂峠の稜線は雪道と夏道が交互に出てきます。ワカンが必要な雪深い場所もあります。特に稜線の東側はべったり雪が付いています。
◯雁坂小屋は冬季小屋が開放されており利用料2000円を入口の料金ボックスに入れます。玄関扉に鍵はかかってませんが凍結して開きにくかったです。右側の窓を開けて入りました。外トイレは1ヶ所のみ使用可能。水晶山の稜線から向かいましたが踏み跡は無く腰まで潜る場所もありました。雁坂峠まで出て下降した方が楽に辿り着けます。
◯雁坂嶺~破風山は積雪多くワカンが有効です。
◯下山の青笹尾根は一般ルートではありません。西破風山頂から少し戻った場所から下り始めます。最初は露岩帯を下り樹林帯は尾根沿いに下ります。尾根を忠実に辿ればピンクテープあるので迷いにくいです。何度か登り返し、最後は急な防火帯を広瀬湖目がけて下ります。下り切ると階段が出てきて道路に出れます。
◯道の駅みとみの最終バスは16時26分です。
- 難易度
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感想コメント
公共交通機関でアクセス可能な雪山が奥秩父にもありました。今冬はあまり雪山を歩いていなかったので、テントは持たず軽めの装備で。冬でも利用できる雁坂小屋を拠点に、雁坂峠周辺の眺めを楽しんできました。
テントもスコップも無し、冬なので水はその日の行動分だけ。それでも寝袋、マット、防寒着にワカン、アイゼンに、下山後の靴を詰め込んだら50Lザックがパンパンに。始発のバスに間に合うように、でかでかザックと共に通勤客に紛れ込んで山梨市駅まで向かいました。
山梨市駅から西沢渓谷行きのバスに揺られること約1時間、降り立ったのは西沢渓谷より少し手前の新地平のバス停。まずは雁坂峠よりも少し南の雁(がん)峠を目指しました。
雁峠からは荒川・多摩川・富士川の分水嶺の山、笠取山がごく近いです。時間に余裕があればそちらへも行きたかったのですが、何せスタートが10時半近くだったので雁峠へ到着したのはちょうどお昼。穏やかな雁峠からピラミダルな笠取山を眺めてすぐに北上しました。
この雁峠は広々とした草原が広がり眺めも良く、休憩するにはとても良い所です。いつか笠取山から見下ろした時に、気持ち良さそうな場所があるなぁとうっすら記憶していました。また雪が無くなったら訪ねてみたいです。
雁坂小屋までは3つのピークを越えなければなりません。日没までには到着したかったので先を急ぎました。つぼ足で歩いていましたが、尾根を登り切ると急に雪が深くなりワカンを早くも装着。この先はさらに深いのだろうか?不安になりましたが、どうやら先行者がいるようでトレースを使わせてもらい、それほど苦労しませんでした。左手に富士山、右手には時々雲取山の稜線がたまに見えるので景色を楽しむ余裕もありました。
日没直前、雁坂峠手前に1張りのテントを発見。若い男性が顔を出していました。聞けば雲取から縦走中で、その日は2日目の夜営だそうな。奥秩父縦走は冬にやるのも良いかもしれません。装備は増えますが水を持たずに済むのと、蒸し暑さも無く静かな旅が出来そうです。
日が沈むと同時に雁坂小屋へ。小屋への道はトレース無し、半分埋まりながら辿り着きました。グリーンシーズンは人気の小屋のようですが、この日は当然誰もいませんでした。一部開放されているので冬季には非常に有難いです。しかし雪深い道を下りなければならないので少々面倒でした。テントを持参して、そのまま稜線上に張った方が手っ取り早かったような気もします。
冬季棟は二階立てで、一階の畳スペースを広々使わせてもらいました。早速夕飯といきたいところでしたが、まずは水作りに取りかかります。しかし漏斗を忘れたのでプラティパスに上手くお湯を注げませんでした。水を作るのは冬泊の一手間です。寒い中で素早く作らなくてはいけないので、フィルターはあっても漏斗を忘れたのは非常に悔やまれました。ついでに歯ブラシも忘れてしまいました。快適な眠りの為には私には欠かせないアイテムなのに。今回は致命的ではありませんが、無いと困ってしまう忘れ物がいくつかありました。初日から反省点が多く溜め息が出ました。
気分転換に外へ出てみると満点の星。オリオン座がちょうど真上に出ていて気分も少しだけ和み、そのまま眠りに就きました。
翌朝窓の外が白んできた頃、目が覚めてテーブルの上を見てはっとしました。昨日作ったお湯をシュラフに入れ忘れたため、プラティパスごとカッチカチに凍っているのを見てげんなり。朝からまた水作りをする羽目になりました。
朝食もあたふたしながら食べて、出発する頃には外はすっかり明るくなっていました。お掃除をして小屋を出発、深雪に備えてワカンは始めから装着しました。
峠まで出ると圧倒的な富士山、そして南アルプスの銀嶺。空気が澄んでいたので白峰三山の形までくっきり見えました。日本三大峠の標識を見ながら古の人々に想いを馳せます。きっと同じように富士山を振り返っていたのだろうと。
この日は雁坂嶺、破風山、木賊山まで行き夏道の戸渡尾根を道の駅まで下るか、破風山から青笹尾根を下るか、雪の状況を見て決めるつもりでしたが、破風山の登りが雪深く思いの外時間がかかったこと、水作りに勤しんだため早くスタートできなかったことがあり、手っ取り早く手前の破風山から下ることにしました。
破風山まで進むと甲武信ヶ岳がいよいよ大きくなってきました。ギターの音色を聴きながらテント泊したり、釜ノ沢から沢登りをした思い出があります。思い出に浸りながら藪を掻き分け富士山を仰ぎ、これから下る青笹尾根に一歩踏み出してぎょっとしました。
まるで八ヶ岳の編笠山の頂上部のように、ガレた岩盤が積み重なりそこだけが森林限界のごとく取り残されていました。下調べはしていましたが、いざ目の当たりにして二の足を踏んでしまいました。落ち着いて良く見ると遥か下にピンクテープと微かな踏み跡も。とてもワカンでは歩けないのでまずはアイゼンに履き替え、お湯を一杯啜ると下りる覚悟が出来ました。浮き石でないか確認しながら慎重にゆっくりと歩みを進めます。
何とか安全にガレ場を下り、後は尾根沿いにピンクテープを確認しながら下るだけです。惰性で下るとうっかり尾根を外れていたので、修正しつつ地形を観察しながら下りました。
広瀬ダムが次第に大きくなるとゴールはもうすぐ。と思っていましたが、防火帯がジェットコースターのように急な軌道を下るので、ストックでブレーキをかけながらジグザグに下りました。橇やビニールシートでもあれば滑って下れるのでは?それほど急な下り坂でした。青笹尾根を登るのはかなり骨が折れそうです。一般道でないのも納得です。
みとみの道の駅までは道路を数分歩いて到着です。車も流れており、ようやく下界に下りてきて安堵しました。バスの時間まで少しあったので、靴を履き替えお土産と温かいお茶を買い込み、無事に旅を終えました。
【使用ウエア】
(アンダー)ドライナミックメッシュ
(ベースレイヤー)クータイウール
(中間着)スルーウォームフーディ
(アウター)ティフォン50000ストレッチジャケット
(パンツ)フォレストワードローブ/サーマルストレッチパンツ
※寝る時はダウンパンツ、化繊のインサレーションジャケット着てました。
【使用ギア】
(シュラフ)イスカ/エア450Xショート
(マット)サーマレスト/プロライト
※これだけでは寝る時寒かったので、シュラフカバーがあれば良かったです。もしくはツエルトでくるまるのも有り。
(ザック)オスプレイ/ミュータント52
(バーナー)プリムス/ウルトラスパイダー
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