南八ヶ岳 阿弥陀岳 敗退 & 主脈 (地蔵の頭~硫黄岳) 縦走
- 投稿者
- 田渕 幹敏
- 日程
- 2012年02月04日 (土)~2012年02月05日 (日)
- メンバー
- ららぽーと横浜店 田渕 (TL)
他 1名
- 天候
- 02/04 晴のち吹雪 ⇒ 02/05 晴
- コースタイム
- 【02/04】
美濃戸口 ⇒ (240) ⇒ 行者小屋 ⇒ (90) ⇒ 中岳と赤岳のコル ⇒ (90) ⇒ 赤岳鉱泉 (赤岳鉱泉 泊)
【02/05】
赤岳鉱泉 ⇒ (120) ⇒ 地蔵の頭 ⇒ (100) ⇒ 横岳 ⇒ (70) ⇒ 硫黄岳 ⇒ (10) ⇒ 赤岩の頭 ⇒ (80) ⇒ 赤岳鉱泉 ⇒ (140) ⇒ 美濃戸口
※ 単位は分、休憩含む。
※ 正確な記録をとっていない為、所要時間は概算。
- コース状況
- 美濃戸口から赤岳山荘までは車も入れるが、冬期は四駆の方が良い。
道は、トレースもはっきりしており歩き易い。
アイゼンは無くても大丈夫だが、軽アイゼンの携行をお勧めする。
赤岳山荘から北沢経由で赤岳鉱泉までは、よく整備され安定したルート。
気持ちの良い初級スノートレッキングが楽しめる。
6本爪の軽アイゼンで歩行可能だが、沢沿いなので橋やトラバースもある。
冬に川に落ちると酷く寒い目にあうので、フルアイゼンがあると安心。
雪上歩行に長けた方ならツボ足でも問題は無いと思う。
赤岳鉱泉から行者小屋までは、多少雪深くなるもののルートは明瞭。
但し森の中のルートの為日暮れが早く、かなり急な斜面の登降も出てくる。
アイゼン選択の基準は、赤岳山荘から赤岳鉱泉までと同様。
行者小屋から先は、どの山へ登っても厳冬期の装備と技術が必須。
初日に登攀予定だった阿弥陀岳へは、中岳沢側から登るルートと文三郎尾根から中岳を経由して登るルートの2つの登山道がある。
中岳沢側のルートは特に上部で雪崩が多く、安全判断が非常に難しい。
遠回りでも文三郎尾根から登る方が良いだろう。
中岳と赤岳のコルは風が非常に強い事があるので、稜線に出る前にレイヤリングの調節をする方が良い。
地蔵尾根は、傾斜も強く上部には細いリッジがあるので注意が必要。
斜面が急なので、登りに使う方が無難。
地蔵の頭から横岳を経て硫黄岳までの稜線は、一般登山道だが雪が多いと多少難しくなる。
特に地蔵の頭から横岳を越えるまでは、急傾斜の岩稜に厚く雪が載った崩れ易いトラバースが出てくるので滑落に要注意。
南牧村側は雪が吹溜るので稜線上でも膝上を越えるラッセルになる事がある。
また、稜線通しでは行けないので的確なルートファインディングも必要になる。
雪が少なく夏道が見えていると難易度は下がるが降雪が多い場合は危険もあるので、赤岳鉱泉で状況をヒアリングすると良い。
横岳から硫黄岳は、比較的広い稜線で滑落の危険は少なくなる。
但し、ホワイトアウトした場合には道迷いに注意。
硫黄岳山荘付近から風が強まる事が多いので、体の冷えにも注意が必要。
硫黄岳から赤岳鉱泉は樹林帯の比較的歩き易い道が続く。
赤岩の頭付近は雪崩の危険があるので、少し奥側(峰の松目 寄り)から樹林帯を降る方が良い。
- 難易度
感想コメント
「南八ヶ岳の主脈を、冬期に全山縦走しよう!」と意気込んで出かけたのですが…、上手くいきませんでした。
中々に手強いですね^^;
美濃戸から入山。
赤岳鉱泉に荷物をデポして初日に阿弥陀岳を登ってしまおうと予定していたのですが、これがいきなり敗退してしまいました。
入山時は天気も良くスムーズに行者小屋まで到着、中岳沢は雪崩の危険が大きかったので文三郎尾根を通って阿弥陀岳へ向かいました。
ところが標高を上げるにしたがって段々と風が強まり雪が降ってきて…、中岳と赤岳のコルは吹雪!
体感ですが25m位の風が吹いていて、立っていると体が浮きそうで怖い!
仕方が無いので目標変更、四つん這いで赤岳を目指してみましたが風が弱まる気配はありません。
安全を優先し、勇気ある撤退を決めました。
と…表向きには言っているのですが、実は撤退を決めた影にはもっと情けない理由があります。
皆さんは赤岳鉱泉の夕飯が物凄く美味しい事をご存知でしょうか?
僕らはこれをかなり楽しみにしていて、テント泊の時でも夕飯だけは鉱泉で戴く程!
その夕飯が17時スタート、この吹雪の中で山頂まで行ったら間に合わないではないですか!!!
もちろん安全を最優先しての撤退判断ですが…、僕らの中でどちらの理由が大きかったかは微妙なトコロです(笑)
さて…気を取り直しての翌日ですが、またも朝一から大誤算!
前日の悪天候と天気予報から、僕らは翌日も天候はイマイチと判断。
保守的に予定を赤岳のピストンに切り替え、朝はゆっくり寝て朝御飯もたっぷり食べて出発しました。
ところが昨日とは逆に標高を上げるにしたがって青空が広がり、地蔵の頭ではこれ以上ない快晴になったのです。
山の天気を正確に読む事の難しさと大切さを、改めて学ばされました。
折角ですから赤岳から硫黄岳を繋げたかったのですが、遅出の僕らにその余裕はありません。
赤岳の登頂は諦めて縦走を楽しむ事にしました。
地蔵の頭から横岳への稜線は、雪が降ると非常に面白いアルパインルートになります。
バリエーションを含む冬山のルートとしては中級+位でしょうか。
(八ヶ岳の一般登山道としては上級とされていますのでご注意下さい。)
天気が良ければ実に気持ちの良い縦走を楽しめる好ルートです。
この時は稜線の積雪が多く少し難し目のコンディション、そのせいもあってトレースは無し。
真っ白な雪に自分達で道をつけルートを切り開いていく。
真っ青な空と純白の雪、鋭鋒に張ったベルグラに日光が反射しキラキラと輝いています。
振向けば八ヶ岳最高峰の赤岳が白く聳え、弓弦の如き中岳~阿弥陀岳の稜線が空を裂いています。
その美しさは筆舌に尽くし難いものがあり、昨日とは打って変って優しい八ヶ岳が僕らをつつんでくれていました。
横岳から硫黄岳までの稜線は、強風に身を切る様な寒さでした。
しかし、南北両八ヶ岳を繋ぐその立地は前後左右360度の絶景を見せてくれます。
樹林帯に入った時のホッとする感覚も、なんだか嬉しいものですね。
冬山の美しさは、あたかも割れて尖ったガラスの破片の様な、儚くも危い美しさであると感じます。
その剣呑な印象は、やはり冬山の厳しさがそう感じさせるのでしょう。
一たび荒ぶれば簡単に人の命を奪ってしまう様な猛威を振るう、時に軽々と人知を凌駕する雪の世界。
それらに対する畏怖の念が、純白の美しさに峻険で危険な魅力をも与えているのかもしれません。
しかし同時に、この美しさは時が来ると必ず失われてしまうものでもあります。
どれ程の絶景であっても春の訪れと共に必ず消え行く風景、それが日本の冬山の景色です。
僕らがまた来年もこの風景に会いに来れる事を強く願います。
山を愛する仲間達が皆無事に元気でこの冬の山を降り、先々まで共にこの美しさを愛でる事が出来ます様に。
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