東丹沢の美渓 原小屋沢遡行 ~ 水量豊富な美瀑を巡る新緑沢歩き (蛭ヶ岳北面早戸川支流)

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投稿者
伊藤 岳彦
横浜西口店 店舗詳細をみる
日程
2015年06月02日 (火)~
メンバー
単独行
天候
コースタイム
本間橋(25分)伝道(40分)雷平(90分)バケモノ滝(80分)ガータゴヤ滝(80分) 原小屋平(60分)榛ノ木丸(60分)本間橋
コース状況
■ 早戸川林道通行問題なし。魚止橋まで進入可。
■ 林道に入るとトイレがありません。
■ 造林小屋跡先に桟道崩壊。簡易補修あり。
■ 雷淵の渡渉は膝下。丸太橋ありません。
■ 大滝にはそれぞれ明瞭な踏み跡あり。
■ 入渓は雷滝上からでもいいでしょう。
■ 水量豊富、上流に行くにつれて水温低くなります。
■ ガータゴヤ滝より上に魚影あり。
■ ヒルいます!
難易度
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感想コメント

丹沢最高峰・蛭ヶ岳の北側に位置する原小屋平を水源に東進する早戸川の一大支流「原小屋沢」。
眩い自然林のなかを水量豊富な清流が爽快に走り抜ける東丹沢随一の美渓として知られます。
雷滝やバケモノ滝、ガータゴヤ滝など名のある美瀑を抱く、昔から知られたクラシックルートであり、丹沢とは思えない豊かな自然を体感できる渓として大変オススメです。
大滝以外にも、適度に登れる小滝や斜瀑が随所に散りばめられているので、飽きることがなく、上流部に長く続く癒しの渓相は心を穏やかなものにしてくれます。
アプローチは早戸川林道終点が起点となるので、交通機関の利用は不向き。車が必要です。
原小屋沢出合のある雷平までいくつかの渡渉がありますが、登山道の利用が可能。
日本の滝100選にも選ばれている、丹沢三滝の一つ「早戸大滝」を支流にもつ本谷沢を左に見送り、ここから本格的な遡行が始まります。
新緑と清流に彩られた美瀑の数々を堪能して渓を辿ると、ヤブ漕ぎなしで原小屋平へ。
下山は姫次から榛ノ木丸を経て早戸川林道に下る約2時間のプチバリエーションが一般的。
行動時間がやや長めですが、危険個所や困難な滝がないので、早めの入渓で、新緑のなかのんびりした沢歩きを楽しみたいところです。

気温がだいぶ上昇した初夏の平日、久しぶりに東丹沢を訪れました。
早戸川林道を走るのは2年ぶりですが、昔あったゲート!?が簡素化され、シーズン初めのせいか舗装路もきれいな状態。
落石や崩壊もなく、魚止橋まで進入可能でした。
今回はお決まりの本間橋先のスペースに車を停め、まずは雷平へ。
お化け屋敷みたいな造林小屋跡をすぎたところ、早戸川に下降する手前の桟道が落ちていましたが、簡単な補修がされています。
早戸川に降り立つとまずは渡渉。昔はここに丸太橋があったようですが、今はありません。
ここで靴下をウールからネオプレーンに履き替えて、ビブラムステルス沢靴で渡渉。
膝までの渡渉ですが、今日は水量少なめでしょう。
そこからも道が続き、いくつかの渡渉をしながら雷平へ。
雷平はできることなら一晩焚き火を見つめていたくなるような静かな穴場的空間です。
原小屋沢に入っても雷滝まではなんとなく踏み跡があります。
結果的に雷滝の高巻き踏み跡もしっかりしているので、高巻き後に入渓装備に着替える方が効率的かもしれません。
雷滝上の倒木が多く残念ですが、沢は水量豊富な清流。新緑快晴のなかまだ冷たい水のなかを心弾ませながら突き進みます。

原小屋沢遡行の見所はやはり名のある三つの美瀑。
最初のハイライトは、水量豊かな幅広の直瀑で、まさに滝の代表選手のような「雷滝20m」 。
明るい空間に陽が目一杯射し込み、滝上に眩しく輝く新緑が印象的でした。
巻きは右岸。明瞭な踏み跡が滝上に続いています。
中流のハイライトはあたかもシンボルのように倒木が落ち口に横たわる「バケモノ滝10m」。
少し奥まったところにあり、暗く陰鬱な雰囲気を醸し出しているところからこのような名前がついたそうです。
確かに明るくはありませんが、物の怪が棲みついているような陰気さは感じません。
直登困難で左岸を巻きましたが、足場が悪く、結局ロープを使わずに降りられましたが、右岸を巻く方が効率的かもしれません。
そして最後の美瀑、原小屋沢の盟主が「ガータゴヤ滝30m」。
末広がりの清流が心を爽快な気分にさせてくれる、そんな優しい滝です。
「ガータ」とはタライのタガのことをいうようです。
それを作る小屋が近くにあったことから“ガータゴヤノ滝”になったようですが、残念ながら詳しいことは分かりません。
右壁を登れますが、左岸高巻き踏み跡も明瞭です。

一連の滝場を終えると、上流部はとても穏やかな心癒される渓相。
魚影走る小川をのんびり歩きながら稜線を目指します。
距離が長く、体力を消耗しますが、上手に辿れば藪漕ぎなしで原小屋平へ出られます。
私は枝沢に惑わされ、詰めの方向を見誤り、姫次に直接登り詰めてしまいましたが、結果オーライでしょうか。
帰路は姫次(ひめつぎ)から東に派生する尾根を辿るプチバリエーション。
地形図とコンパスを片手に榛ノ木丸経由で適当にガンガン下ると早戸川林道に戻れます。

詰めと下山を考慮すると初心者向けとは言い難い沢ですが、原小屋沢は噂に違わぬ美渓でした。
遡行終了後に「とてもいい沢だったな」と誰もが思うことでしょう。
完全遡行にこだわらなくても、初めての沢歩きの方を連れて早戸川や雷滝周辺で遊んでくるだけでもとても楽しめると思います。

フォトギャラリー

原小屋沢は水量豊富な美渓です

雷平は一晩焚き火を囲みたい絶好の幕営スポット

原小屋沢出合 新緑が美しいです

雷滝20m 序盤のハイライトです

水がとてもきれいな渓でした

しばらくは穏やかな渓相

登れる小滝が続きます

盛夏なら泳ぎを楽しみたいところです

段々と水温が低くなっていきます

さまざまな小滝が現れます

迸る清流は躍動感に満ちています

中流部は小滝が連続するので飽きません

カサギ沢出合 進路は左へ

バケモノ滝10m ちょっと奥まったところにあります

新緑遡行は気持ちを晴れやかにしてくれます

きれいなナメ滝12m

優美な12m滝

ガータゴヤ滝30mは原小屋沢の盟主です

小さいながら魚影が走ります

上流部は癒しの渓です

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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