三郡山系を歩こう!!Vol.3 『河原谷の大つらら(難所ヶ滝)& 冬の三郡縦走』

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2017年01月24日 (火)~2017年01月24日 (火)
メンバー
天候
☃⇒☀
コースタイム
篠栗駅(105)若杉山(40)ショウケ越(55)鬼岩谷山(30)砥石山(130)三郡山(75)宝満山(10)宝満山キャンプセンター(20)河原谷方面分岐(15)難所ヶ滝(60)昭和の森方面(35)原田橋バス停

※数字は分単位
※積雪がある場合は夏のコースタイムより時間がかかります。余裕を持った計画を立てられて下さい。
※帰路の交通機関は時間の関係で西鉄バス「原田橋バス停」から乗車。通常、昭和の森周辺は「障子岳バス停」を利用します。
コース状況
《積雪状況》
〇篠栗駅~「茶房わらび野」さん直下 無し
〇若杉楽園キャンプ場~若杉山650m地点 2㎝
〇若杉山頂上周辺 くるぶし程度
〇ショウケ越~欅谷Bコース分岐 10㎝~45㎝
〇欅谷Bコース分岐~三郡山~宝満山 5㎝~15㎝

↓↓↓特に積雪量が多い区間↓↓↓
☆鬼岩谷山~砥石山~前砥石~三郡山手前(山頂北東側の稜線上、欅谷Bコース分岐あたりまで)
※ツボ足でも大半は登山靴のまま歩行可能ですが、
入山者が多い宝満・三郡近辺は踏み固められ滑りやすいです。無理せずアイゼンを着用しましょう。

《凍結箇所》
〇若杉楽園キャンプ場付近の車道
〇河原谷一帯

※日陰の車道、人の往来の多い区間は圧雪され滑りやすくなります。
※日中に溶けて夜間に凍結した箇所が残る場合もあります。
※特に谷地形はもともと水分・石・岩が多く、一様に凍結しているのでアイゼン無しの歩行は危険です。
無理せずアイゼンを着用しましょう。
難易度
Google Map
  • スタートナビ
  • おとな女子登山部

感想コメント

この時期の三郡山系で目玉になるのが何と言っても『河原谷の大つらら(通称 難所ヶ滝)』!
福岡近隣の山々も積雪し始め、それに伴ってつららも徐々に成長していきます。
今年も15日~25日(現在)にかけて難所ヶ滝には多くの登山客が訪れているようです。
せっかくならと思い、寒波が通り過ぎて気温が上がる直前の休日を狙って様子を見に行ってみました!


今シーズンの冬山は中部から西日本にかけて雪が少ない立ち上がりでしたが、ついに今月から日本列島にまともな寒気が入り始め、特に中旬頃には大きな寒波が2度到来。
福岡市周辺では18・19日頃に一旦寒気が落ち着いて気温が少し上昇。つららが落ちて規模がやや縮小していました。
その後すぐにまた寒気が入り、日々チェックしていたアジア500hpa・850hpa天気図では、基本的に高度1,500m付近の気温が-6℃~-12℃と変わらず推移して行くようです。大つらら周辺や三郡山系稜線上の気温は常に氷点下の可能性が高い!
平地では晴れ間が出ていても、三郡山系ではしばらく雪が降っていそうなど~んよりとした雲がかかる日々が続きます。大つららの規模と積雪量は少なくとも現状維持以上が期待出来そうでした。


積雪状況の推移も気になりますので、日を追うごとにネット上の現地状況の画像を見ていきます。
個人的には通勤経路で博多方面から篠栗駅を経由する際、毎朝毎晩アツい眼差しで若杉山以南を見つめていました(笑)
まとまった積雪後に麓から山肌を見ると山は真っ白。翌日以降に樹上の雪が融けても、樹木の間に垣間見える地面が白くなっている場合はそこそこ積雪している証です。
中腹斜面は一旦溶けましたが、米ノ山山頂付近は2,3日経過してもしぶとく白いままです!これはやはり稜線上もある程度雪が残っていてスノーハイクが十分期待出来そう♪♪


事前に店長と話題になったのが『大つららに夕日が射して紅く輝くのか!?』という話。
ネット上の写真ではちょくちょく陽が当たる大つららをみかけるので気になります。
そんな経緯もありつつ、今回は篠栗駅起点の三郡縦走で宝満山まで登頂し、折り返して夕方頃に難所ヶ滝経由、昭和の森方面へ下山する行程にしてみました。



《 篠栗駅 ~ 若杉山 ~ ショウケ越 》
登山道上に本格的に雪が現れたのはいつも美味しそうな匂いが漂う「茶房わらび野」さん以降から。
KEENのNEWPORT H2から登山靴に履き替えて臨戦態勢に入りました!
若杉楽園キャンプ場周辺の車道は目立って凍結しています。続いて車道脇から山頂に向かう林道に入りますが、ここも事前の予想通り序盤は1㎝にも満たない新雪でかえってズルズルで滑りやすい。下山にはあまり使いたくない印象でした。
途中スマホに「篠栗町に雨雲が接近しています」とアラートが。雨ではなく雪が降る条件だったので俄然テンションが上がりますが、実際はチラホラ舞う程度でした。
若杉山頂上付近からやっと本格的にツボ足になり始め、どこから軽アイゼンとストックを使いだすか考え始めます。とりあえずは積雪量と路面状況を見ながらショウケ越まで様子見。
予定通り、本格的な縦走が始まるショウケ越から軽アイゼン着用&スノーバスケットに換装したダブルストックを準備、本格的にスノーハイク態勢に移行することにしました。

《 ショウケ越 ~ 鬼岩谷山 ~ 砥石山 ~ 前砥石山 》
この区間はトレースの様子から先日からの先行者が2,3人程でした。
全体的にこの区間にまとまった積雪量があり、深い所では膝下くらい、伸ばしたストックの下段シャフトが全て埋没するくらいの量がありました。
雪質は積雪から1、2日経っているので締まりかけている印象でしたが、急斜面で柔かい所は幾分ズルズルしてしまうので、アイゼンの刃に頼ったり登山靴のソールの堅さを利用したキックステップで進みます。
ある程度の積雪があると稜線上では風の流れで雪が流され、独特な波状の『風雪紋(シュカブラ)』が出来たり、雨などの水滴や一時的な暖気による『雪えくぼ』が見られます。今回もちょっとした『風雪紋(シュカブラ)』や『雪えくぼ』が見られました。

《 前砥石山 ~ 三郡山 ~ 宝満山 》
前砥石山から三郡山近くの欅谷Bコース分岐あたりまでは割とまとまった積雪が続いていました。
場所により差は激しいですが、こちらも一番深い所で膝下くらいです。
路面の様子が一変するのは欅谷Bコース分岐以降から宝満山まで。多くの登山者が往来するのでトレース幅が一気に広がり、しかも一様に踏み固められています。難所ヶ滝を絡めた昭和の森からの周回ルートで利用しやすいからですね!
逆に、踏み固められた雪上の方が滑りやすいのでこの場合もアイゼンが役立ちます。
この日は午後から晴れ予報。三郡山や宝満山からは、英彦山やくじゅう方面の積雪した山々、有明海と普賢岳、脊振山系、福岡市街と玄界灘が一様に見渡せて、気持ちの良い展望を楽しめました。北から南に縦走した場合はこの展望が最後のご褒美になるのが良いですね♪♪
ちなみに若杉から宝満まですれ違った登山者は9人。平日で時間帯を外したこともあり、こんなに静かに三郡縦走出来るとは思っていませんでした。

《 河原谷分岐(稜線上) ~ 昭和の森方面 》
最も踏み固められて凍結している区間。かつ、沢沿いなので石・岩が多く通過に注意したい区間です。
そして、今回の最大の目的『大つららに夕日は射しているのか???』
答えはどう見ても日陰でした!もう少し暖かい時期は夕日が射していそうですが、凍結する時期は日中のみ陽が射す様です。う~ん、残念!!
それでも通常は登山客でごった返す『大つらら』をゆっくり独り占めして堪能出来ました♪♪
つららは大きい物で一本がおよそ3m以上の大きなものもあります。『大つらら』と名が付くだけはありますね!凍結範囲が最大でなくとも十分見応えがありました。
帰りは引き続き足元に注意しながら、それでいて山中の夜は早いのでヘッドランプを準備した状態で下山しました。


☆★☆ 軽アイゼン(6本爪アイゼンまたはチェーンアイゼンなど)の利用について ☆★☆
雪質や凍結などの路面状況、経験により着用のタイミングに個人差があります。
判断に悩む場合は滑り出す前に無難に着用するようにしましょう。
特に、雪質の判断が出来ない、雪上や凍結路面上での歩行に慣れていない方は、早め早めの着用をオススメします。着用する際には、登山靴のアッパーや靴底、アイゼンプレート上の雪をしっかり落としてから!アッパー・靴底ともに出来るだけフィットさせて装着しましょう。固定が緩かったり、雪を多分に巻き込んだまま装着すると歩行時にズレやすくなります。
アイゼン歩行の基本は「フラットフッティング」です。登り・下りともに、アイゼン裏の爪を斜面に対して一様に刺し込む意識で歩きましょう。やはり小股で歩くのが大事です。
アイゼン初心者の方は雪の有無に関わらず、足裏の独特な感触に違和感を感じると思いますが、こちらもある程度慣れが必要です。埋没している石や木の根などに引っ掛けない様に注意すると良いでしょう。

☆★☆ 雪上でのストック(2本組)の利用について ☆★☆
雪上では先ゴムを付けたままだと紛失しやすくなります。基本的には先ゴムを外した状態で使用しましょう。雪面を刺しやすくなります。
また、夏用バスケットでは傘が小さく浮力が得られません。ある程度積雪が増えると必要以上に沈みやすくなります。先ゴムを外したら併せてスノーバスケットに換装して使用して下さい。
雪上歩行は想像以上に足元を取られる場合がありますので、ダブルストックを利用する事でバランスが取り易くなり、格段に歩行性が向上します。
また、今回の河原谷の様に、石や岩が雪で完全に埋没しない中途半端な積雪量だと、スノーバスケットが岩と岩の隙間に挟まり易くなります。取り回しには注意しましょう。

※ストックに限った話ではないですが、休憩時などに衣類や道具に極力雪が付かない様に注意しておいた方が良いです。湿った雪の場合は粘り気がある為落ちにくくなります。非防水仕様のウェアはじきに体温で溶けて染み出すなどして冷えの原因になります。ザックの背面側(特にメッシュ構造)は絶対雪上に置かない様に注意しましょう。

フォトギャラリー

河原谷の大つらら!

先ずは篠栗駅から若杉山へ 徐々に雪が増えていきます

普段とは打って変わって、積雪で綺麗な山頂です

若杉ヶ鼻にて ここからでも積雪の様子が見てとれました モチベーションUP♪

雪質は若干柔らかめ ショウケ越にて冬仕様に換装します

鬼岩谷山山頂手前の急登 雪がある方が登りやすい♪

左上:鬼岩谷山頂道標は半分くらい埋没 右上:先行者2人ほど 左下:陽当たりが良く暖かい稜線。雪えくぼが散見されます 右下:砥石山で-4℃でした

左上:三郡・宝満が近づいてきました 右上:脊振一帯は現在進行形で降雪 左下:前砥石山山頂は休憩で使い易いので至る所が踏まれています 右下:もっふもふ^ ^

膝下くらいのツボ足でした 自然の軌跡(シュカブラ)と人の軌跡(トレース)が交錯する稜線

時折、雪の重みに負けた小枝が行く手を阻みます

左上:三郡山山頂 右上:福岡市方面は穏やかです 左下:宝満&筑紫野市方面。有明海と普賢岳も見えました 右下:道路脇をそのまま軽アイゼンで通過しました

左上:歩いてきた山々。砥石から樹木にも雪が残っています 右上:上宮も冬仕様 左下:今回は山頂周辺に凍結箇所はありません 右下:幕営地は雪が融けシャビシャビ状態

午後は天気が回復し、積雪した英彦山・犬ヶ岳も確認出来ました

終盤戦突入!仏頂山を越え稜線から難所ヶ滝方面へ下ります

難所ヶ滝分岐までは急坂を下ります ここは迂回路があります

分岐に従って進むと…

ついにお目当ての大つららです!難所ヶ滝は今回スルーしましたが、大つららの直前に難所ヶ滝へのトレースがあります

下山も足元に注意しながら… 滑って右側の沢に落ちない様に

レイヤリング調整中に手の平サイズの8を見つけました 天邪鬼的な表情が可愛らしくて思わずホッコリ

雪越しのアーベントロートが良い雰囲気でした

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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