【富山県】剱岳 Day3,4 ~チンネ左稜線→下山~

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投稿者
唐嶋章弘
大丸福岡天神店 店舗詳細をみる
日程
2020年08月19日 (水)~2020年08月20日 (木)
メンバー
他一名
天候
晴れ
コースタイム
3日目
熊の岩~チンネ~熊の岩 13時間

4日目
熊の岩~剣沢キャンプ場~室堂 8時間
コース状況
初日に比べると、雪渓の状態はさらに悪くなっていました。

また、非常に暑く、雷鳥沢キャンプ場~剣御前小屋間では
休憩される方が目立ちましたので、熱中症対策は万全に。
難易度
Google Map
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  • おとな女子登山部

感想コメント

前回の続き
day1,2はこちら
https://www.kojitusanso.jp/tozan-report/detail/?fm=26573

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3日目
熊の岩から、池ノ谷乗越を経て、チンネ
登攀終了後、三の窓の頭とのコルに懸垂下降し、
池ノ谷乗越を経て熊の岩。

4日目
熊の岩から、長次郎谷を下降。
剣沢キャンプ場を経て、室堂へ。
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3日目
熊の岩から、池ノ谷乗越

長次郎谷 右股を詰める。
2週間ほど前の、他店のスタッフの画像と比較すると、
明らかに雪の量が減少しています。

https://www.kojitusanso.jp/tozan-report/detail/?fm=26532

池の谷乗越からは、浮石しかない、ガリーを降ります。
正面には小窓の王。
ここまできて見える、劔岳の新たな一面に感動。

200mほど降りると、三の窓のコルへの登り返し。
三の窓の雪渓は、所々亀裂が入っているものの、まだまだ豊富でした。
ここでも、雪渓を横切るためにアイゼンを装着。今回だけで、多分10回はつけたり外したり。。

チンネの取り付きへは、雪渓が切れていたため、
いったん数m下降して、雪渓の下からアプローチしました。

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チンネ登攀

1ピッチ目 45m Ⅳ級?
60mのロープを持っていったため、ズルして2ピッチ分伸ばそうとした。
が、これが失敗で、ルートを見失うことに。
(途中で、テラスがあり、数m左のカンテに近い場所に残置スリングがたくさんあるのを発見。
しかし、あれではルートから外れすぎるのではないだろうかと考え、直上)
中央のフェースよりのルートとも言えないルートを登り、
ひとまずおそらく、2ピッチ分を稼ぐことには成功するも大後悔。
ここで時間をかなりロスしました。

2ピッチ目 30m Ⅱ級
左のカンテ状のラインを取るとスムーズにたどり着くであろう場所。(多分3ピッチ目)
フェースをまっすぐ登って、30mほど。
素敵なデストライアングルの残置支点を終了点としました。

3ピッチ目 15m
もはや踏み跡となっているハイマツ帯を壁に沿って右にトラバース。
おそらく、左方ルンゼルートや、下部ベルニナルートの合流点となるポイントにつく。
縦に走るリスにハーケンがたくさん入っており、ここでピッチを切る。
まだロープは出せるも、かなり屈曲し、実際に流れが悪かったので正解だと思います。

4ピッチ目 20m Ⅱ〜Ⅲ級
ピナクルを目指して岩棚を登り、そのピナクルを左後方にみながらフェースを登る。
岩棚は、コンテでのぼり、上部でビレイするとよりロープの流れがスムーズだったかもしれません。
その取り付きには残置ハーケンがたくさんありますが、かなり左方からスタートしました。
登り終えると、リッジに出たことを実感できます。
登り終えて、5mほど歩いたところで、終了点としました。

5ピッチ目
6ピッチに向かうまでの、踏み跡、リッジを5ピッチ目としました。
コンテがよりスムーズかもしれません。

6ピッチ目35~40m
ここから、難易度が上がること、空中ビレイになる可能性が見えだしたので、
取り付きのテラスで、ロープを束ね直して、ロープが絡まらないよう準備。
実際に、リッジに出ると高度感があり、少し動きが硬くなってしまいます。
風も出て気持ち良さも感じてきます。
終了点はハーケンがたくさんある、人が数人立つことができるテラスで切りました。

7ピッチ目 20m
徐々に、傾斜も立ってきて、登れるルートが明らかになってきます。
ルートから外れる左方に、歩いて上がれるような踏み跡がありましたが、今回は見ないことにしました。

8ピッチ目 10m
リッジ帯です。ここまでくると、核心部のチンネの鼻も見え始めます。
リッジ帯が続き、ロープの流れが悪くなるので、
短めに切ることを意識しました。
リッジは、一見難しそうですが、
巻くと戻ってきづらいルート取りだったので、素直に登りました。Ⅲ級ほど。

9ピッチ目
核心が見えているにかかわらず、ピッチをきらなければいけないもどかしさを抑えつつの水平クライミング。
核心のすぐ下に支点がありましたが、かなり見上げる形となり、太陽が眩しかったので、
少し手前で終了。この方が全体が見えて、後続には登るヒントとなっていいかもしれません。
壁からは遠くなるので、ロープの流れや、衝撃への考慮は忘れずに。

10ピッチ目 40m Ⅳ
セオリー通り、カンテラインを忠実に登り、ハングに取り付きます。
ハングを超えた後も、スタンスが少なく、難しい登りとなりました。
1ピッチ目に続き、緊張した場面です。

11ピッチ目 30m
クラックをうまく使い、カムを多用して登ります。
右のカンテラインを沿うように登りました。

12ピッチ目 Ⅲ〜Ⅳ級
右にいったり、左に行ったり、
難易度こそないものの、安全に登れるルートを探すのに苦労したルートです。
ほぼ、登りは終えており、ビレイ点が下になるのでロープワークにも難儀しました。
最終的にリッジ帯に入るピッチでした。

13ピッチ 20m
リッジ帯のため、こちらも短くピッチを切っていきます。
確か、このピッチで、カムを滑落させてしまったような。
残りも少ないのはわかっていますが、
水が少なくなり、また、ガスが上がってきていることから、
焦りと疲労が隠せなくなってきます。

14ピッチ 20m
リッジです。

15ピッチ 20m 最終ピッチ
チンネの頭が見え、そこに向かうだけのビクトリーロード。
リッジ上をそのまま抜けれる気もしましたが、
下に踏み跡があることを知り、2mほどの階段をクライムダウンして、
10mほどの明瞭な踏み跡を歩いたのち、
チンネの頭を経由して終了点へ。

ここまでは、全て、トップで登って来ましたが、
感謝の気持ちを込めて、相方さんに先に登頂していただきました。
パートナー大事です。

ガスがあがってきている心配がありましたが、
ここでは、まだ晴天が続いていました。
日頃の行いが良いのでしょう。

少しばかり休憩と写真タイムの時間をとり、下山。


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登攀終了~池ノ谷乗越を経て熊の岩。

チンネの頭からは、懸垂下降が一般的だそうですが、
下降できる踏み跡を見つけたので、コルまでは歩いて下降。
そこから、2回に渡り懸垂下降をしたのち、池ノ谷ガリーにたどり着きました。

池ノ谷ガリーからは、登攀したチンネの頭はもちろん、
小窓の王、その稜線が、夕焼けで黄金に輝き、登攀の成功を祝ってくれているようでした。

そこからは、来た道を戻るのみです。

長次郎右股の雪渓は、程よく腐っており、グリセードが効いて楽に下山できました。

夕飯は、
雪渓で冷えたビールと、あんかけ炒飯と、盛大なつまみで乾杯。

流れ星を一つ。見たのち、就寝。

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4日目

目覚めと共に作った美味しくない?ご飯をたらふく詰め込み、
感動を共にしたテン場からの下山です。
朝焼けに見送られながら、長次郎谷を下降。

登る時と、雪渓の様子が大幅に変わっており、
対岸に渡ることはできるのか、冷や冷やしながら、下山。
結局、限られた場所をジャンプすることを繰り返し、分岐まで降りることに成功。

2日で、これほどまで変化するのかと驚きました。

疲れた体に鞭を打って、下山。
雷鳥荘(マスク必須)の温泉に入り、
疲れを流して帰路になりました。

フォトギャラリー

チンネ。

池ノ谷ガリー。壮大で厳格な雰囲気。

取り付き目指して一直線。とはなりませんでした、、、

壊れてる三の窓の標識

1ピッチ目。

これだけの高低差が。

確か7ピッチ目。

チンネの頭。ビクトリーロードです。

夕焼けに染まるチンネ、小窓のなんちゃらとか。

ヘッドランプ下山。

豪華です。荷物重かったもん。

朝焼けと共に準備

まずいやつです。コンビニにペンネがなく、調達できなかったのでこの有様。

また違う雰囲気の雷鳥沢

帰りも重いです。

雷鳥荘でコーヒー。

帰りの電車からは、夕焼けのお見送り。またくるね。

今回の右股です。量がかなり減っています

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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