越後の佳渓 灰ノ又沢探勝 (荒沢岳南面 中ノ岐川支流)
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2020年09月23日 (水)~
- メンバー
- 単独行
- 天候
- 曇時々晴
- コースタイム
- 雨池橋(45分)灰ノ又橋(90分)花降沢出合(30分)裏荒沢出合(100分)灰ノ又沢(45分)雨池橋
- コース状況
- ※ 本文をご参照ください
- 難易度
感想コメント
灰ノ又沢探勝
越後の名峰荒沢岳の南東面を流れる雄大な中ノ岐川。
平ヶ岳の裏口ルートでもある中ノ岐林道があり、どちらかというと釣りで訪れる方が多い世界ですが、遡行価値のある渓が幾つか存在します。
その渓相は、豪快な越後の渓というよりも深遠な只見の渓としての貌をもち、とても静かな遡行を楽しむことができます。
今回訪れたのは明るい沢筋が続く灰ノ又沢。
技術的に難しいところのない渓で、本来ならば荒沢岳へ詰め上げる遡行をすべきですが、翌日に台風が近づいているため、やむを得ず沢中一泊は断念。
日帰り遡下降による灰ノ又沢前半部の探勝となってしまいましたが、幽遠な渓谷美をご覧頂ければ幸いです。
頭上を見上げれば、クライマー垂涎の越後らしいスラブ壁。
眼下を見下ろせば、雄大なナメ床と優雅な幅広滝が織り成す美しい渓相。
ただ林道を歩くだけなのに、これほど心を動かされる風景に出会える場所はそうあるものではありません。
この中ノ岐林道は元々森林伐採用に作られたそうですが、登山者はみな送迎用のマイクロバスを利用されるので、歩く方はほとんどいないに違いありません。
すれ違った二人の釣師の方は、自転車で林道を疾走していました。
林道がなかった頃に中ノ岐川を遡ったとすれば、とても大変ですが、実り多い沢旅となったことでしょう。
起点となるのは、雨池橋。
奥只見シルバーラインから銀山平を越え、曲がりくねった狭隘な国道352号線を進んだところにある、下部が赤い比較的大きな橋です。
↑ 雨池橋上より中ノ岐川
「雨池」という地名を示す青い看板があるので、夜でも見落とすことはないでしょう。
駐車スペースは橋の両端、新潟県側と福島県側にそれぞれ数台停めることができます。
入口にはゲートがあり、一般車進入禁止となっています。
↑ ゲートが出発点
↑ 中ノ岐林道へ
ゲートから入渓点である灰ノ又橋までは約45分。
橋には名前が書いてあるので間違えることはありません。
↑ 灰ノ又橋
右岸側から沢へ簡単に降りることができ、入渓の準備。今日一日は天気がもちそうです。
↑ 入渓点
さて、本日も遡行開始!
↑ 渓に陽が射します
入渓してすぐ現れるのが2段7m滝。深い釜をもっています。
↑ 2段7m滝
高巻きは右。思ったよりも高いところに踏跡があり、釣師用の巻道となっているようです。
↑ 右壁の様子
この写真よりも高い所に平坦な地形があり、そこに比較的明瞭な踏跡がつけられています。
因みに帰りにここを通ったときは、踏跡をそのまま突き進むと灰ノ又橋の手前に出ることができ、わざわざ沢へ降りる必要がないことが分かりました。
↑ 沢へ戻りました
ここからはナメ床中心の明るく美しい渓相。
5m前後の滝が幾つか続きますが、深い釜をもつものが多く、直接取付くことはできませんが、小さく巻きながら越えていくことができます。
↑ 釜をもった2段滝
↑ 上段
↑ 左から容易に越えられます
↑ 滝上より
↑ 滝を登りながら
↑ 左のバンドを進みます
この辺りは小さな魚影を感じますが、魚雷がビュンビュンという感じではありません。
↑ 4m滝
↑ 残置トラロープあります
↑ 続いて3m&6m滝
↑ 奥の6m滝
↑ 巻きは左
↑ 枝沢にかかる10m滝
ここまで来れば、花降沢出合はもうすぐ。
渓はさらに開け、何とも表現できない山深さを感じてしまいます。
↑ 少し渓が開けます
↑ 花降沢出合
↑ 花降沢
出合は貧相ですが、花降沢は遡行価値の高い渓。
花降岳を源頭にもち、下部にゴルジュ帯、上部に連瀑帯をもつことで知られます。
花降沢出合を過ぎ、本流をさらに進むと、顕著な4段25m滝が見えてきます。
↑ 4段25m滝が見えてきました
↑ 4段25m滝
↑ ちょっと一休み
折角なので上まで登ってみることにしました。
直登することもできるようですが、左から巻くことも容易。
↑ 左壁の様子
↑ 魚いるのかな?
↑ 2段目のテラスから
↑ 2段目と3段目
↑ 3段目
↑ 4段目①
↑ 4段目②
↑ 滝上より
ここから渓相は平凡になり、ほどなく裏荒沢出合へ。
↑ 裏荒沢出合
裏荒沢も荒沢岳へ詰め上げる渓で、中級クラスの滝が続く面白い渓とのこと。
本流よりも難易度は高そうです。
さて。
本来ならば灰ノ又沢はまだまだ続き、荒沢岳へと詰め上げますが、今回はここまで。
最近は左膝の古傷が気になり、動きがぎこちなく、長い時間の遡行が辛く感じるようになっていましました。
復路下降時、懸垂下降は3回。ロープは30mあれば安心でしょう。
実際荒沢岳まできちんと詰めれば、沢中一泊の行程。
車2台ならば、登山道下降で荒沢岳登山口まで。車1台ならば裏荒沢下降で周回ということになるのでしょう。
機会があれば、是非チャレンジしてみたいと思います。
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