プチラッセル縦走 西岳~編笠山

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2024年03月07日 (木)~2024年03月08日 (金)
メンバー
単独
天候
1日目 晴れ→雪 2日目 晴れ
コースタイム
1日目 富士見高原(90分)長命水(150分)西岳(120分)青年小屋
2日目 青年小屋(65分)編笠山(120分)盃流し(30分)富士見高原
コース状況
・小淵沢駅から富士見高原まで歩くつもりでしたが楽してタクシー使いました。片道約3,500円。雪の状況にもよりますが歩いたら2時間程度です。富士見高原ゴルフ場の駐車スペースに車を停められます。
・富士見高原~西岳は雪ありますがアイゼンで歩きました。数日前には雪がなくチェーンスパイクで登った記録もありましたが前爪付きで登りました。
・西岳~青年小屋間は積雪量が増えます。深いところで腰の高さまで。踏み跡もなくなったのでワカン装着しました。
・青年小屋は冬季小屋が使えます。窓が無いので真っ暗です。床は畳で10人入れば満員になります。バーナーはテーブルの上で使うよう指示してありました。協力金を入れる巣箱があります。
・青年小屋~編笠山頂は完全にラッセルです。岩が多いのでつぼ足アイゼンで登りました。夏道に沿った方が歩きやすくピンクテープや矢印を見失わないよう注意しました。風が強いのでバラクラバはあると良いでしょう。
・雪道ラッセルしたため通常よりも大幅に時間かかっています。
難易度
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感想コメント

 公共交通期間で行ける山がないか地図を見ながら必死に探したところ、八ヶ岳の南端エリアには何とか行けそうなことを発見しました。人気の美濃戸や渋の湯は、悲しいことにバスは土日運行のみ。八ヶ岳の一番南、編笠山エリアなら、中央線沿いの小淵沢や信濃境駅から登山口まで歩いて行けないこともない。アクセスで悩んでいたものの、手は既にザックや靴を取り出しにかかっていました。
 当日はまずまずの晴れ。これなら登山口までも問題無さそう。しかしテント・冬用寝袋その他諸々を背負ってる身としては、道路歩きは骨が折れる...冬靴のソールが減るのも嫌だし...。言い訳をいろいろと考え、電車に揺られること約3時間半。最寄りの小淵沢駅に着くや、タクシー乗り場へと足が向かっていました。

 編笠山は以前観音平から登ったことがありますが、冬季は閉鎖しているようです。天女山から権現岳経由で行くか、今回の富士見高原が積雪期間のメジャーな登山口となります。富士見高原からは西岳と編笠山両方に行けるので、行ったことのない西岳経由で青年小屋へ向かうことにしました。
 青年小屋の冬季小屋を利用する目的でしたが、念のためテントも持参。久しぶりの雪山縦走フル装備でなかなか足取りが重く、西岳へ着いたのはお昼過ぎでした。山頂から見た編笠山は、まさに編笠を被ったように端正な三角形。中央道から見てもその形は一瞬で分かります。その編笠山も少しだけ顔を覗かせていましたが、あっという間に雲に覆われ雪が散らついてきました。
 西岳からはラッセル覚悟してましたが、トレースもあり小屋まで問題なく行けるだろうと高を括っていたら、突然踏み跡が無くなりました。仕方無く2、3歩踏み出すも、すぐに腰まで埋まって身動きが取れません。アイゼンをワカンに変えていると吹雪いてきたので先を急ぎました。
 夏道を辿っているはずが、似たような景色のせいでいつの間にかルートを見失っていました。藪に邪魔されない冬道なので、このまま小屋までショートカットできるのでは?地図を眺めてみると、この先に割りと大きな沢地形が出てくることに気付きました。雪の登り返しはこの荷物だし願い下げ、鉄則通り登山道に復帰しました。沢まで来てみると、広く深めに落ち込んでいたので戻って正解でした。夕方になってしまいましたが無事に青年小屋まで到着できました。

 「遠い飲み屋」と称され、夏には多くの登山者に愛される青年小屋も、今は雪に閉ざされ小さな冬季小屋がぽつりと佇んでいるだけです。真っ暗と聞いていましたが、窓は固く閉じられ一筋の光も入らない暗闇でした。
 早速ヘッデンとランタンで明かりを灯し、ダウンで着膨れしながら水を作り始めました。寒さに耐えられなければテントを張るつもりでしたが、張らずとも快適に眠れそうです。それよりも怖いのはこの暗さ。遮光カーテンのように一ミリの光も遮断されているので、朝寝坊必至です。綺麗な朝焼けが見たかったので早めに寝袋にくるまりました。
 翌朝、目覚ましが鳴ったかと思えば見事に二度寝していて、気が付くと朝の6時を回っていました。僅かな光が漏れていて慌てて外に出てみると、昨日と違って快晴の雪景色。小屋に戻って急いで準備しました。単独の真っ暗はやはり恐ろしいです。

 今日は下りがメインなので朝ご飯は軽めに。何とか1時間で支度を済ませ、真っ暗な小屋から躍り出ました。このお天気なので既に誰か登ってきているかもしれない。耳を済ませましたが、しんと静まり返っています。青年小屋の玄関先に回り込み、編笠山を見上げると、真っ白な山肌に一切の足跡も見当たりません。風はそれなりに吹いていたので、雪は吹き飛ばされ埋もれることはないだろう。そう思って一歩踏み出すとズボッ...。膝上まで突っ込んでしまいました。ワカンも考えましたが、岩もあり足下は複雑そうなのでこのままアイゼンで。いつかのラッセル訓練のように、膝で固めつつ這い上がるのを繰り返し、時間をかけて着実に登りました。それにしても八ヶ岳の雪は水分が少なくさらさらなので、膝で踏んでもなかなか固まりません。背後には先ほどまで権現岳の後ろに隠れていた赤岳や阿弥陀岳が現れ、冬の八ヶ岳らしい絶景が広がっていました。
 山頂は風が強いので、南アルプスや富士山など山梨側の景色を確認してすぐに下り始めました。下りは樹林帯まで距離があり、岩に阻まれながら時々踏み抜いたり、クラストした緩斜面を歩いたりして、こちらも時間をかけて下りました。
 
 樹林帯をしばらく下るとようやく登山者とすれ違い。ラッセルしながら苦労して歩いてました。私は有り難くトレースを踏ませてもらい、楽して登山口へ。帰りは道の駅にでも寄って温泉とお土産なんて考えも過りましたが、やっぱりタクシーを呼んでしまい小淵沢駅まで一直線。冬こそ温泉に入って帰りたいとこでしたが、もうしばらく我慢です。
 それにしても、八ヶ岳は東京からも意外に近いことが今回よくわかりました。八王子を越えて高尾まで出れば、大月や甲府はあっという間。そこから一時間ほど電車に揺られていれば、八ヶ岳の裾野が見えてくるのだから、特急を使えば日帰りも十分可能なわけです。
 電車で山へ出かけるのも少しは慣れてきました。次はどこへ行こうかな。次回こそは、下山後のグルメや温泉も楽しめると良いです。

【今回の装備】
(上)ファイントラック/ドライレイヤーウォーム+アイスブレイカー/メリノウール200ベースレイヤー+ミレー/アルファライトスウェット+ミレー/ティフォン50000ウォームジャケット

(下)メリノウール250タイツ+ソフトシェルパンツ+ノースフェイス/アルパインロングゲイター

(手)ミレー/ウールインナーグローブ+マーモット/ウインドシールドグローブ 時々テムレス(雪集めや作業時に)

※末端冷え性なので靴下やインナーグローブはメリノウール一択です。替えのグローブもメリノウールを用意していました。ベースレイヤーもメリノウールウエアで。

※水を作るための鍋はトランギアのケトルを使用。作った水はプラティパスに注ぐので、鍋の場合も注ぎ口があるものが使いやすいです。無い時はマグカップなどを使って注ぎます。

フォトギャラリー

編笠山中腹から青年小屋と権現岳を振り返ります。

富士見高原の登山ゲート。

雪深くて林道で早速ワカン装着。

やっと西岳。編笠山はガスがかかり始めました。

青年小屋までワカンで歩きます。

暗くなる前に小屋着きました。手前の茶色の長屋が冬季小屋。

中は真っ暗。このテーブルで煮炊きしました。

雪を溶かして水作り。漏斗とフィルターは雪山泊の必須アイテムです。

畳で快適な寝床。冬はネオエアXサーモとイスカのエア810Xでないと寝れません。

翌朝はすっきり晴れ!寝坊してモルゲン見れず。

編笠山登ります。トレースが無い。

ラッセルでペース上がらず。結構歩いたのにまだ小屋が大きい。

やっと樹林帯に突入。風が凌げます。

蓼科山も見えました。

進行側には南アルプス。甲斐駒や北岳が見えます。

権現岳の向こうに赤岳、阿弥陀岳が現れました。

富士山うっすら。

編笠山上部はゴロゴロした岩で覆われています。

無事下りてきて編笠山を見上げます。

小淵沢駅から南八ヶ岳の稜線。左の2峰が登った西岳と編笠山です。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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