台高 蓮川の名渓 宮ノ谷を訪れる ~ 圧倒的な水量を落とす大滝を巡る (池小屋山北面 櫛田川水系)

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投稿者
伊藤 岳彦
横浜西口店 店舗詳細をみる
日程
2014年08月15日 (金)~
メンバー
単独行
天候
コースタイム
宮ノ谷林道終点(45分)風折谷出合(50分)風折滝(40分)風折谷出合(15分)  高滝下(35分)猫滝上(45分)ドッサリ滝(110分)林道終点
コース状況
■ 県道569号線(蓮峡線)及び宮ノ谷林道は舗装路。
■ 宮ノ谷林道終点に7台程の駐車スペース。
■ 6号鉄橋崩壊のため沢迂回60m。
■ 水量豊富、水温高めでした。
■ 高滝の高巻きはトラバースでの滑落に注意。
■ 足回りはステルスタイプの沢靴が便利だと思います。
難易度
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感想コメント

台高北東部(三重県松阪市)、奥香肌(おくかはだ)峡と称される蓮川(はちすがわ)には、スケールの大きい名渓秀渓が幾つもあり、初級者から上級者まで幅広く沢登りを楽しむことができます。
その蓮川上流部に位置し、最もポピュラーな渓谷が「宮ノ谷」。正式名称は「高滝谷」ですが、通称として宮ノ谷の方が広く知られています。
台高の盟主の一つ「池小屋山」を水源として北走する谷で、古くから池小屋山へのバリエーションルートとして利用されてきたようです。
昭和50年の国体コースに採用されてから整備が進み、谷沿いに登山道が敷設されたことで入谷が容易となり、蓮ダムのHPでは「初心者でも歩きやすいハイキングコースがあり、落差60mある高滝までの渓流沿いの自然を満喫できます」と紹介されています。
谷の両側にブナやトガサワラの原生林が広がり、高滝下までのあいだに、犬飛び嵓・鷲岩・六曲屏風岩・蛇滝・切石河原など見所満載♪
40年近く経った今でも、鉄橋や階段の著しい腐食はみられず、比較的容易に秘境の佇まいを堪能できるので、盛夏の涼を求めたハイキングコースとして、沢登りでなくともオススメしたいところです。
それでも年々訪れる人も少なくなっている?と思われるので、静かなハイキングを楽しみたい方には穴場的なコースになるでしょう。
なお一部鉄橋の崩壊があり、沢への迂回がわずかにあるので、ご注意下さい。

宮ノ谷といえば、高滝と並んで必ず名前があがるのが「風折滝」です。
宮ノ谷は高滝の手前で二俣となり、左俣にあたる風折谷には落差70mを誇る大滝が人知れずそびえ立っています。
落差があるわりには水量が少ないので、風に煽られて落水が刻々と形を変えるというのが由来のようです。
ただここを訪れるためには道はなく、沢登り装備による遡下降となってしまいます。
一部怪しい残置ロープなどもありましたが、技術的に困難なところはないので、沢登り初級者向けといったところでしょうか。
なお風折滝より上部(=水越谷)は右岸の大高巻きがとても厳しいためほとんど訪れる人はいないようですが、静かな秘境的自然と対峙できる場所としてコアな方には興味深い遡行となるかもしれません。


三重県に大雨特別警報をもたらした台風11号の爪痕が残るなか、再び奥香肌峡へ。
はっきりとしない天気のもと、増水を考慮し、仮に悪天候になっても登山道があり比較的安全な遡行ができるルートとしてピックアップしていた 宮ノ谷を訪れました。
探勝路を利用し、風折滝へ寄り道遡下降をしたのちに、高滝を登山道で巻き上がり、猫滝上からドッサリ滝まで遡行して戻ってくるという変則的なルート。
予想していたとおり全般的に水量多めでしたが、お盆休みなのに誰もおらず、みっちり6時間ほど静かな沢歩きを堪能することができました。
今回は滝巡りとなりましたが、宮ノ谷左俣を完全遡行し池小屋山へ突き上げ、霧降尾根で駐車スペースに戻ってくるルートも多く利用されているようです。
まずは探勝路をのんびり歩いたのち、穏やかな風折谷を小1時間ゆっくり遡行し、ハイライトの一つである風折滝へ。
突然視界が広がり、現れた大滝70mはまさにド迫力!
その日の風折滝は物凄い水量で、風で折れることが絶対にないほど白いたぎりを力強くみせつけ、マイナスイオン全開の飛沫にただただ圧倒されてしまいました。
広い空間の真っ只中で、あたかも巨大な白龍が咆哮し喰いつくように迫るようで、おそらくいつもとはまったく違うであろう風折滝の勇姿が目に焼き付けられました。
本流に戻ってからは傾斜のある登山道をわずかに辿ると、次なるハイライト高滝60mへ。
両岸壁を割って爆音とともに叩き付けられる白いたぎりは、まさに台高の名瀑にふさわしい圧倒的な存在感を放ちます。
いつもそうですが、狭い谷に屹立する大滝には何となく恐怖感を抱いてしまうもの。
風折滝とは異なる鬼気迫る迫力にまたもや圧倒されてしまいました。
高滝は登山道で大きく左岸を高巻きしますが、フィックスロープがあるとはいえ、あまり一般的とはいえない滑落注意のトラバース。
ついでに猫滝も巻き上がったところから再び入渓します。こちらも水量は多いものの、穏やかで平凡な渓相。
清流が美しいミニゴルジュや深淵を淡々と越えていくと最後のハイライト、ドッサリ滝へ。
高さは10数mほどですが、簾状の美瀑で、まさに水がドッサリという感じ。
マイナスイオンに癒されながら、上手いネーミングに感心してしまいました。
帰り際、谷へ下りてきた仲の良さそうな鹿の親子とバッタリ鉢合わせ。
しかしいつものように逃げもせず、不思議な眼差しで私を見送ってくれたことがとても印象に残りました。

フォトギャラリー

ハイライトは落差70mを誇る風折滝 この日は凄い水量でした

鷲岩では登山道崩落による迂回で沢へ一旦降ります

風折谷出合まで探勝路を辿ります

赤い鉄橋を渡ると風折谷出合です

とても水量の多い風折谷を遡行します

小滝を軽快に越えていきます

風折滝は迫力満点でした!

マイナスイオン全開!

辿ってきた沢を戻ります

こちらは高滝60m 台高の名瀑の一つです

高滝は左岸登山道で高巻きします

高巻き途中から見た高滝

あまり一般的とは言えない高巻きトラバース 滑落注意です

猫滝上から入渓します

ミニゴルジュを通過します

水にどっぷり浸かりながら進みます

登れる小滝が続きます

簾状の美瀑ドッサリ滝 この日の最終目的地です

名前の通り水がドッサリです

辿ってきた沢を再び戻ります

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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