三ツ峠山の佳渓 四十八滝沢 ~ 怒涛の連瀑を越えていく爽快な渓へ
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2016年06月10日 (金)~
- メンバー
- 単独行
- 天候
- 曇時々晴
- コースタイム
- 宝鉱山無料駐車場(20分)北口登山口(30分)登山道にて入渓点(50分)大滝下(60分)白竜の滝下(30分)水源湧き水(30分)登山道(120分)宝鉱山無料駐車場
- コース状況
- 本文をご参照ください
- 難易度
感想コメント
四十八滝沢
三ツ峠山の懐を流れ落ちる四十八滝沢。別名、千段ノ滝沢。
その名の通り、滝三昧滝づくし滝まみれの遡行が楽しめる大変ユニークな渓です。
梅雨の晴れ間の平日、短い距離をグングンと登る遡行で、心と体をリフレッシュしてきました。
2016/6/10 曇時々晴
宝鉱山無料駐車場[11:29]…北口登山口[11:52]…登山道にて入渓点[12:21]…大滝下[13:13]…白竜の滝下[14:10]…水源湧き水[14:40]…登山道[15:11]…宝鉱山無料駐車場[17:06]
目次
1 遡行
初めての水系、初めての渓というのは、たとえそれが初級ルートであってもワクワクするもの。
今まで訪れる機会のなかった四十八滝沢は連瀑が続くなかなか面白そうな渓。
爽快な滝登りを求めて、初めて三ツ峠山の渓へ足を踏み入れました。
中央道都留ICから県道705号高畑谷村線を西へ。
路線バスの終点である宝鉱山バス停は、広大な無料駐車場そのもの。
平日のためか他に車輌はなし。緊急時はヘリポートとしても使用されるようです。
まるで真夏のような強い陽射しを浴びながら、まずは登山口を目指します。
↑ まずは林道歩きです
林道はすぐに未舗装となり、一部激しい凹凸もあるので、四駆以外の進入は不可。
暗い植林帯を進むと20分ほどで北口登山口。四十八滝沢の下部は堰堤ばかりなので、ここから入渓点までは登山道を辿ります。
↑ 北口登山口に入ります
↑ 静かな登山道
30分ほど登ると、「ここより千段の滝始り」の看板。
↑ 千段の滝始り
暑さに耐えきれず、早く水を浴びたくなったので今回はここから入渓しました。
↑ 入渓点
少し倒木が気になりますが、序盤はナメ床と小滝が続きます。
【↓】 序盤の渓相
しばらく進むと最初のハイライト「初滝」です。
【↓】 初滝
↑ 初滝が見えてきました
直登できそうですが、右岸に登山道があるので無理せず巻き上がります。
↑ 看板のある山ノ神
山ノ神から鉄梯子を登り、右へ細いトラバースをすると、三段の滝2段目で登山道が横断。
ガイドブックではここが入渓点として記されています。
↑ 登山道横断点
ここから爽快な滝登りが始まります。
【↓】 三段の滝から滝登りが始まります
湧き水のせいか水が思っていた以上に冷たいですが、苔むし渓相はとても美しく、思わず滝を登る足が止まります。
ただ滑ぬめっている箇所が多いので、注意が必要です。
やがて次のハイライト「大滝20m」へ。
【↓】 大滝20m
↑ 大滝が見えてきました
↑ 左にガレの押し出しの沢
大滝の登攀ルートは左から取り付き、中段で水流をシャワーで横断。その後、水流右を直上。
高巻きは左のガレ沢を少し上がり、明瞭な踏み跡を辿ります。
今回は無理せず、安易に高巻いてしまいました。
↑ 巻きながら大滝を見る
↑ 高巻きは踏み跡明瞭です
↑ 大滝上へ
大滝を越えると、次なるハイライト「七福の滝」。
4m→6m→2段15mと続くきれいな連瀑です。
【↓】 七福の滝
【↑】 七福の滝全容
遠目に見るとこんなところ登れるのかなと心配になってしまいますが、いざ取り付いてみるとホールド、スタンスともに豊富。快適にグングン登っていくことができます。美しい苔の階段を登る感覚が新鮮でした。
七福の滝を越えると、どこからどこまでが滝なのか区別がつかないような連瀑帯へ。
【↓】 連瀑帯へ
小滝をひたすら登らなければなりませんが、難しい箇所はありません。
↑ ふと上を見上げると緑がきれいです
連瀑帯を越えると最後のハイライト「白竜の滝」へ。
【↓】 白竜の滝
2段スダレ状大ナメ滝15m→2段15m滝と続く美しい連瀑。
この滝も遠目に見ると難しそうですが、実際に取り付いてみるとホールド、スタンスはともに充分。
傾斜のキツさをあまり感じることなく、グングンと登ることができます。
【↑】 白竜の滝全容
最下段のスダレ状の大ナメ滝は左の水流ぎわを上がります。
↑ 最下段
ここのホールド、スタンスはともに細かく、しかも剥がれやすいので注意が必要。
爪先の置き場をしっかりと見切ることが重要です。
試しに右の水流ぎわも登ってみましたが、途中で行き詰まってしまいました。
やはりガイドにあるように左を登るのが妥当なのでしょう。
↑ スダレ状大ナメ滝上段
続く上段は左の泥壁から容易に越えることができます。
そのすぐ上に現れる2段15m滝は下段がナメ滝、上段が5m直瀑。
↑ 2段15m滝
下のナメ滝は右の水流沿いを直上。
↑ 5m直瀑
5m直瀑は右側を攀じ登りました。左のルンゼから巻くこともできるようです。
【↓】 源頭部へ
白竜の滝を越えると渓は源頭の趣を見せ始めます。
↑ 滝上には次の斜滝が続きます
↑ 出合の滝は右を登ります
↑ トイ状の滝
この先が最後の二俣。本流のように見える左のガレ沢には水流はなく、水流のある右に入るのがセオリー。ここは忠実に水流を辿ります。
複雑に枝分かれしていく渓と違い、ただ一つの水源湧き水を目指すだけなので、迷うところがありません。
↑ 忠実に水流を辿ります
水流を忠実に辿ると、水源湧き水へ。
大岩の下から滾々こんこんと絶え間なく湧き出る水の不思議さに、自然の神秘を感じてしまいます。
ふと口に含んでみると、冷たく澄んだ美味しさが広がります。
↑ 大岩から水が湧き出していました
【↓】 詰めと下山
水源湧き水で遡行は終了。ここからは登山道を目指して詰め上がります。
↑ 遡行終了点
詰めの踏み跡は不明瞭。獣道を頼りに歩きやすそうなところを見極めて枝尾根を直上しますが、土がもろい箇所もあり意外に苦労させられます。
↑ 鹿の獣道を辿ります
↑ 稜線が見えました
↑ ウオー!道だ!
登山道に出てホッとしますが、電波塔がいささか興ざめ。
山に人工物があるとどうしても違和感を覚えてしまいます。
↑ 下山します
帰路は北口登山口を利用します。
途中自分が登ってきた滝を遠く眺めるポイントが随所にあるので、「こんなところを登ったんだな」と何となく感慨にふけてしまいました。
2 遡行を終えて
新緑の森を彷徨う沢歩きとは異なり、滝滝滝...とひたすら滝が続く沢登りもとてもスリリングで楽しいもの。
遠目に見るとこんなところ登れるのかな!?という連瀑が眼前に立ちはだかりますが、冷静に弱点を見つけてグングンと攀じ登っていく楽しさがこの渓の醍醐味でしょうか。
思っていた以上に苔が豊富で、新緑の緑と相まって緑の耀きが印象的。
湧き水特有の冷たい水に触れながら、苔の階段を思い思いに越えていく感覚は爽快そのものでした。
短い距離のなかにこれだけの滝が続く渓は、首都圏では大変珍しいのではないでしょうか。
滝を登り滝を歩く楽しさに満ちた渓として、一度は訪れる価値があるところだと思います。
1 三ツ峠の沢
日本登山体系4「東京近郊の山」では以下のような紹介があります。
三ツ峠山を分水嶺としてみると、北面の沢は大幡川へ、南面の沢は柄杓流しゃくながし川へと注ぎ、どちらも相模川水系上流部の桂川の支流。
この地域の岩層は御坂層群と言われる凝灰角礫岩か凝灰質砂岩で構成され、短い距離のわりに高度差があるのが特徴。
遡行対象として、大幡川支流では「四十八滝沢」「八十八大師沢」、柄杓流川支流では「コウモリ沢」「マムシ沢」「大船沢」があり、いずれもアイスクライミングのゲレンデとしても人気がある、と紹介されています。
2 四十八滝沢
四十八滝沢は、別名千段ノ滝とも称され、その名の通り無数の滝を抱く滝のオンパレードといってもよい大変ユニークな渓。
見所は「初滝」「三段の滝」「大滝20m」「七福の滝」「白竜の滝」など名のある瀑の数々で、そのほとんどを直登することができます。
下流部は堰堤が多いものの、一般登山道でのショートカットが可能。
登山道横断点が入渓点とされますが、「千段の滝始り」の看板があるところから少し早めに入渓するのもよさそうです。
大岩からの湧き水が水源となるので、源頭に至っても水量が豊富。水が冷たい!
登山道への詰めは獣道を辿ることになりますが、踏み跡は不明瞭。
稜線を目指して登りやすいところをガンガン登り詰めます。
下山は北口登山道という一般登山道を利用することができます。
技術的には沢登りの初級ルートですが、短い距離にこれでもかというくらいに滝が凝縮されているので、冗長さ単調さが全くないのは嬉しいところ。
苔むしたぬめった滝が多いですが、概ねホールドが豊富で快適な滝登りが楽しめます。思っていた以上に苔が豊富で美しい。大滝の高巻きは容易。
難点は小さな虫がとても多いこと。血を吸われるような実害はありませんが、集中力を乱されないよう気を使います。虫除けスプレー必携かもしれません。
ややマイナーな山域ですが、アプローチと下山が便利であり、滝を登る遡行の楽しさを十二分に味わえるので、総合的には初めての沢登りにもオススメしたいコースです。
3 アプローチ
【交通機関利用】
富士急山梨バス都留市駅発宝鉱山行終点下車(乗車時間20分)。
入渓点まで徒歩約80分。
都留市駅発バス-時刻表はこちらをご覧ください
都留市駅発バス-運賃表はこちらをご覧ください
【マイカー利用】
中央自動車道都留ICから、県道705号線に入り宝鉱山へ。
宝鉱山バス停そのものが広大な無料駐車場(緊急ヘリポート)。トイレなし。
四駆であれば北口登山口駐車スペースまで進入可。
【↑】 宝鉱山無料駐車場
【↑】 北口登山口前のスペース
【入渓点まで】
宝鉱山バス停先の橋から林道歩き。まずは北口登山口まで。約20分。
荒れた林道なので、四駆以外の通行は不可。
↑ 道の凹凸が一部激しい
さらに北口登山口から通常登山道を辿って初滝上の入渓点まで。約60分。
初滝下「千段の滝始まり」の看板から入渓してもよいでしょう。
4 下降ルート
遡行の帰路に登山道を利用できるのは、四十八滝沢遡行の便利なところ。
開運山電波塔から宝鉱山無料駐車場まで北口登山道利用で下り約150分。
大滝周辺は傾斜があり、固定ロープもあります。
5 立ち寄り湯の情報
ご参考にして頂ければ幸いです。
三ツ峠グリーンセンターの情報はこちらをご覧ください
都留市温泉 芭蕉月待ちの湯の情報はこちらをご覧ください
最後までご一読いただき、有難うございました。
※ HTMLを使用したレポート掲載については許可を得ております。
フォトギャラリー
・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。