誇り高き日本だったころの道〜大峰奥駈道北部〜

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2016年09月05日 (月)~2016年09月07日 (水)
メンバー
天候
9月5日:曇りのち雨 6日:曇りのち雨 7日:晴れのち曇り
コースタイム
9/5
吉野駅(30分)金峯神社(90分)奥千本(20分)青根ヶ峰(70分)四寸岩山(40分)二蔵宿小屋(50分)大天井ヶ岳(40分)五番関(130分)山上ヶ岳(30分)小笹宿

9/6
小笹宿(25分)女人結界門(50分)大普賢岳(70分)七曜岳(60分)山上ヶ岳避難小屋(50分)奥駈道出合(60分)弥山小屋(25分)八経ヶ岳(140分)楊子ヶ宿避難小屋

9/7
楊子ヶ宿避難小屋(150分)八経ヶ岳(120分)栃尾辻(80分)川合(40分)天の川温泉
コース状況
【吉野~青根ヶ峰】
吉野の街並みや鳥居をくぐりながら表参道を登る。ほぼ舗装されている。
青根ヶ峰手前辺りから未舗装のトレイルになる。

【青根ヶ峰~山上ヶ岳】
歩き易いトレイルが続く。二蔵宿小屋から大天井ヶ岳の登りは結構キツイ。
女人結界門の五番関からは漢の世界。宿坊の手前辺りから岩場と鎖場が出る。

【山上ヶ岳~八経ヶ岳】
大普賢・国見・七曜岳辺りは激しい鎖場が多くあまり早く進めない。七曜岳を超えると走ることもできるくらい単純なトレイルになる。
太子像がある聖宝ノ宿跡から弥山小屋への登りは結構キツイので、この手前で補給することをオススメします。弥山小屋で飲み物やカップ麺があるが、食事の提供はなし。
八経ヶ岳の周辺はオオヤマレンゲを保護するため柵で囲まれている。

【八経ヶ岳~楊子ヶ宿避難小屋】
トレイルが細くトラバース気味なので、非常に歩きにくい。時間がかかった上に、ここで雷雨に会う。

【八経ヶ岳~川合】
あまり登山者がいないと思われるが、きれいに整備されている。
最初はシラビソ・トウヒ林。次第にブナ林から人工林になっていく。
標高差1,200mほどあるが、比較的緩やかに下って行く。

水の確保は小笹宿近くと行者還小屋の手前にあります。それ以外はないと思っていいでしょう。あとは弥山小屋と大峰宿坊でペットボトルが買えます。
食料の確保は弥山小屋のみです。エネルギーを使うので食料と行動食は多めに持っていかないと厳しい。
難易度
Google Map
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感想コメント

4日間のお休みをもらって、熊野古道の大峰奥駈道の全路を縦走してくる予定でしたが、悪天候に見舞われ、予定の行程を満たせなかったため3日目の釈迦ヶ岳手前で撤退しました。

私の山への憧れは北アルプスの表銀座や裏銀座の縦走でも、屋久島の縦走でもなく、
この大峰奥駈道全行約100キロを歩くことでした。
それだけ念願の縦走路の撤退なので、ちょっと悔いが残りますが、残りの行程と今後の天気、エスケープルートを考えた上で懸命な判断ができたと思います。

かなり厳しい道のりの故、体力と時間とお金がかかるのでなかなか踏み入れられませんでしたが、去年から揃えだしたファストパッキングの装備がある程度整ったのと、トレランで山道を速く歩くのに慣れてきて、山を駆け抜ける力がついたので、本来は6日間かける道のりを4日に圧縮した計画が立てられました。

計画では
【1日目】
吉野→山上ヶ岳⇒小笹宿or行者還避難小屋
【2日目】
小笹宿or行者還避難小屋⇒大普賢岳⇒八経ヶ岳⇒釈迦ヶ岳⇒深仙小屋
【3日目】
深仙小屋⇒地蔵岳⇒涅槃山⇒笠捨山⇒キャンプ適地or玉置山
【4日目】
キャンプ適地or玉置山⇒熊野本宮
の予定でした。

あまり焦った山行をしたくなかったので、これでもゆとりのある計画を立てたつもりでしたが、蓋を開けてみれば思った以上に速く歩けず、詰め詰めな内容になっていました。

4日間を通して天候があまりよくないと踏んでいたので、厳しい山行になるとは予想していましたが、1日目・2日目ともに朝から正午ぐらいまでは晴れ間も見える。しかし、両日とも13時を過ぎてから、特に2日目は弥山小屋を過ぎてから天気が急転し、雷雨になりました。

【1日目】
下市口から一番の電車に乗って吉野を7時に出発。ちょっと遅い。
調理用の水2ℓ・飲料用1ℓと食料4日分、ツェルトとシュラフなどを合わせて約9kgの荷物でしたが、あまり速く歩けていない。水場と山小屋の少ない山域なので、そんなに消費できないけど、結構お腹が空くし、のどが渇く。やっぱ厳しいな~

なんとか予定より1時間ほど遅れて大峰宿坊に到着。ここで雨が降ってきたので、最低ラインだった小笹宿に宿泊。小さな小屋ですが中は快適で、水も確保しやすかったです。

【2日目】
夜目が覚めると結構雨が降っている。停滞か柏木へエスケープすることも頭にありましたが、4時頃には上がって5時40分出発。

大普賢岳から七曜岳の辺りは鎖場が多く、なかなか進めない。それでも七曜岳を越えると快適に歩けるようになるので弥山小屋には正午前に到着。ここで食料と飲料を充実させる。

この時点では空に青空も広がっていましたが、八経ヶ岳を越えてから急変。進む方向ではカミナリがなっている。雨も強くなり、しかもかなり細く、トラバース気味で歩きにくい。
レインウェアや靴もビショビショになるぐらいの大雨。なりふり構わず歩く。

カミナリが鳴る中、山を歩くのはかなりの恐怖です。
楊子避難小屋が近くにあったので、間一髪逃れられました。しかも楊子ヶ宿の小屋はかなり立派な避難小屋。

この時点で予定の泊地(深仙避難小屋)よりも2時間半ほど遅れてしまったので、最終日のバスに間に合わないと判断したのと、3日目の夜から大きな低気圧(結局台風になる)が来ることが予想できたのと、これより南部はエスケープしても交通機関が皆無なので、来た道を引き返して天の川天温泉方面にエスケープしました。

体はまだまだ動かせたのに残念で仕方ありませんが、これが縦走、修験道の難しさでした。

【3日目】
快晴。頑張れば遅れを取り戻せたでしょうが、昨日同様昼過ぎから天候が悪くなるだろうし、昨日諦めると決めたので、迷うわずまた八経ヶ岳へ。釈迦ヶ岳を経由して前鬼に下る方法もありましたが、バスの本数が少なそうなので除外(8時台に一本だったので大正解)。

八経ヶ岳に戻る途中は、昨日見えなかった釈迦が岳から南の縦走路や七面山など素晴らしい景色が終始広がっていました。

3日目は誰ひとりと会わずに川合というところに下山。その後温泉を求め天の川温泉まで3キロのアスファルト歩き。
到着すると9/1~来年の4月までまさかの改修工事中。全行程の中で一番の脱落感でした。

山行中は本当にきつくて「なんでこんなことやっているのだろう?」と自問自答したくなりますが、終わってみるとまだまだやれたなぁって感じです。
なかなか踏み込みにくい縦走ではありますが、リベンジしたいです。
(次回は予備日含め5日で)

フォトギャラリー

大峰山脈最高峰の八経ヶ岳。

スタートは吉野から。桜の展望で有名な上千本の展望台。

金峯神社の鳥居。文字通り修行の道です。

修験道ではあるが非常によく整備されている。

古銭や祠、石塔など歴史を感じさせるトレイルです。

女人結界門。山上ヶ岳周辺は漢の世界。

洞辻茶屋と陀羅尼助茶屋。どっちもシャッター商店街。

大峰の宿坊が見えてきた。

東の覗きから。この辺りは修験者の行場。

大峰山寺とルートから外れて山頂(?)の山上ヶ岳

1日目の泊地。小笹宿。ほったて小屋ですが、中はきれい。

2日目。天気はいまいちだけど、ザ・吉野という雲海が広がる。

大普賢・国見・七曜岳周辺は鎖場の連続。雰囲気がよい。

行者還避難小屋。手前200mほどのところに水場がある(左)。

聖宝ノ宿跡(左上)から弥山への登りは結構キツイ。

雷雨が去って穏やかな夕景。

3日目は晴天。十津川方面はきれいな雲海。

左)八経ヶ岳 右)七面山

釈迦ヶ岳より南の縦走路。本来はこの稜線を歩くはずだったのに・・・

紀伊山脈らしい立ち枯れ風景。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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