忍びの道を歩く 小谷山 / 長浜

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投稿者
上田 哲也
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日程
2018年06月04日 (月)~2018年06月04日 (月)
メンバー
グランフロント大阪店 上田
天候
晴れ
コースタイム
JR・河毛駅~30分~追手道・登山口~65分~小谷城・本丸~25分~月所丸~10分~P365~10分~月所丸~20分~大嶽城・小谷山(494.5m)~25分~山﨑丸~25分~清水神社~25分~JR・河毛駅
コース状況
熊出没注意。
城址は全て登山道になりますので、しっかりした登山装備が必要です。

水場:なし
WC:追手道・登山口
難易度
Google Map
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感想コメント

滋賀県長浜市にある小谷山に行ってみました。

小谷山は戦国大名の浅井長政と妻のお市が居城とした小谷城があった事で知られており、日本五大山城のひとつに数えられるほど大きく堅固であった為か、元亀元年(1570)に浅井・朝倉勢と織田・徳川勢が衝突した「姉川の戦い」に勝利した織田信長でさえ城攻めを断念し、離反工作を行って少しずつ付城(前線拠点)を設けながら、3年かけて包囲して落城させています。

北陸で取れた米穀や若狭湾の魚介類を都に運ぶ北国街道と、それらを美濃方面に運ぶ北国脇往還という流通を掌握する地点に築かれた小谷城は、小谷山の尾根を巧みに利用して築かれており、最高所の大嶽城を中心に馬蹄形にいくつかの城や砦を配置。中央の清水谷には重臣らの屋敷が軒を連ねていた事が分かっています。

清水谷の入口近くに屋敷を構えていた遠藤直経(喜右衛門)も長政の重臣でしたが、浅井軍の諜報担当を務めていた人物とされており、伊賀忍者とも関わりがあったと言われています。「姉川の戦い」で浅井軍の敗色が濃くなると直経は派手な甲冑を着て織田軍の武将を装い、味方の頸を掲げて敵陣に潜り込み、信長と刺し違えを謀ります。「我敵陣ニマギレ入、信長ト引組討チ果ス」と「浅井三代記」に記されており、合戦の当初から直経はこの計画を考えていたようです。

「遠藤喜右衛門此頸、竹中久作是ヲ討とる」と「信長公記」が記すように、馬廻(護衛)であった竹中久作に討ち取られ計略は失敗しましたが、信長の傍まで肉薄していた様子が分かります。興味深いのは伊賀甲賀に伝わる「万川集海」が直経の最期の様子を詳しく記している点で、「此遠藤、紛忍ニハ変姿賤卒ノ術ヲ用ルコトヲ、不知カ故也」と失敗談から教訓を得るよう諭しており、遠藤直経は昔から忍者に知られた存在だったようです……。

JR・河毛駅を出発。右手に信長が布陣した虎御前山を見ながら歩いて行くと、30分ほどで小谷山の登山口に到着。出丸跡に向かう山道の傍らに浅井軍の重臣・磯野員昌の屋敷跡有り。清水谷から城へ上がる所には猛将・磯野員昌の屋敷、清水谷を直上する所には謀将・遠藤直経の屋敷があった事から、両者に対する長政の期待が強かった事が分かります。

柵を開いてしばらく山道を登って行くと望笙峠に到着。樹間に竹生島方面の展望あり。金吾丸、番所跡を経由して虎御前山展望所に到着。ここからは虎御前山の全景がよく見えます。さらに登ると御茶屋跡があり、名前と違い軍事施設だったそうです。続いて馬洗池のある御馬屋跡あり。首据岩からは少し道を外れて赤尾屋敷跡へ。ここは本丸に一番近い重臣の屋敷があった所で、浅井長政最期の地となったそうです。

黒金門の辺りから石段などが出てきて城址っぽくなってきます。展望の良い桜馬場跡、大広間跡を経て、石垣の残る本丸跡に到着。展望はなし。さらに色々な施設跡を見ながら登山道を登って行くと大石垣のある山王丸跡あり。この辺り青もみじが綺麗でした。少し下って清水道との分岐から主道を外れ、小谷城の裏手を守る月所丸へ。ここは近年まで名前の無い砦だったといい、二段の曲輪と土塁、複数の空堀で構成され非常に堅牢に築かれているのが見所です。

江戸時代に描かれた「小谷城跡絵図」には月所丸の付近に「越前山續忍道」とあり、越前から小谷山に通じる山続きの間道が記されています。忍びの道が記されている稀な例ですが、越前の朝倉氏と小谷城の浅井氏の間で忍者や伝令を走らせ、当初は重要な連絡を取り合っていたものと思われます。後に朝倉氏の来援部隊も「越前忍道」から小谷山の大嶽城に入り、山﨑丸、福寿丸を築いたとされ、忍道の途中に築かれた月所丸は存在を秘匿する為に名前を付けられなかったのかもしれません…。

標高365mのピークを往復後、分岐に戻り少し傾斜のある階段の道を登って行くと見晴らしの良い岩場があり、さらに進むと大嶽城のある小谷山の山頂へ到着。三角点あり、少し離れた所に展望あり。気温26度で暑い。岐路は福寿丸、山﨑丸を経由して清水神社に下山。「小谷城戦国歴史資料館」に立ち寄ってから、JR・河毛駅に戻りました。

フォトギャラリー

小谷城から伊吹山を望む

大手門と小谷山

追手道・登山口

金吾丸へ

現代版「小谷城跡絵図」

展望所から虎御前山を望む

御茶屋跡からの眺め

御馬屋跡

巨大な植物の葉…行動食のアミノショットと大きさを比較!

浅井長政最期の地

黒金門の石段跡

桜馬場跡から見た御馬屋跡

本丸跡の石垣

本丸跡から見た大広間跡

青もみじ

月所丸の案内板に記された「越前忍道」

小谷山の山頂へ

大嶽城址

竹生島方面の展望

遠藤直経の屋敷跡

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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