滝谷 クラック尾根

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投稿者
高野 優
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日程
2011年12月13日 (火)~2011年12月16日 (金)
メンバー
高野 他1名
天候
コースタイム
1日目
新穂高温泉(7:00)~涸沢岳西尾根取り付き(8:45)~蒲田富士(14:30)~F沢のコル(15:30)~涸沢岳(18:30)~穂高岳山荘(18:45)
2日目
穂高岳山荘(8:00)~最低のコル(10:30)~北穂高岳(13:45)
3日目
北穂高岳(7:30)~B沢下降点(7:45)~登攀開始(8:30)~北穂高岳(16:30)
4日目
北穂高岳(6:30)~涸沢岳(11:30)~蒲田富士(13:30)~西尾根取り付き(15:40)~新穂高温泉(17:20)
コース状況
入山は蒲田富士までトレースがありました。
蒲田富士からF沢のコルの間でところによって股下のラッセルでしたが、それ以外は積雪は少なかったです。

クラック尾根は末端からトレースしたわけではありませんので、詳細は分かりませんが、
冬期に関してはB沢の下降、旧メガネのコルから上部は特に問題ありません。
クラックも安定していました。
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感想コメント

時期的には早いですが、「面白い」「楽しい」との記録が多い、滝谷クラック尾根を登ってきました。
アプローチはオーソドックスに涸沢岳西尾根とし、4日間の計画であわよくば2ルート登ろうと考えていましたが・・・。甘かったです。

初日、天気は最高でしたが、涸沢岳が果てしなく遠かったです。樹林帯を抜けると雲海が広がり、奥穂高、ジャンダルム、滝谷、バックに抜戸岳、年末年始の山行で2度敗退をしている私にとっては思い入れのある笠ヶ岳も望むことが出来ました。寝不足の身体にはこたえる12時間行動。涸沢岳に着くころには立ったまま寝られる状態でした。
そのため翌日の行動は北穂高岳への移動のみとし、クラック尾根の取り付きであるB沢の下降点の確認を行いました。B沢は概念通り、北穂高小屋から大キレット側へ雪壁となった縦走路を150mほど下った地点にあります。

クラック尾根
「冬期クライミング」では50~60m程下った地点にバンド(現在は崩壊)がある。と記載されていますが、感覚的にはもう少し下るように思います。
今回は天候の問題もあり、1ピッチ目を旧メガネのコルに突き上げるルンゼ状の雪壁を詰めて取り付きました。
1ピッチ目 45m
ルンゼ状の雪壁を詰める。コルの直下がいやらしかったので右側の岩場に抜けてピッチを切る。
2ピッチ目 20m
旧メガネのコルの岩場を回りこみ、ロープの流れを考えコルから少し登った安定したところまで。
3ピッチ目 20m
傾斜の強いフェースを数メートル登り、正面のクラックを右から回り込み、ジャンケンクラックの取り付きへ。
4ピッチ目 45m
ジャンケンクラックの左側、クラックのあるジェードルを登る。ルート上で技術的な核心部。ロープを伸ばし、上部の凹角もつなげる。正面の岩を左から回り込むようにガレ場の基部まで。
5ピッチ目 40m
雪で埋まったガレ場をつめ、やさしい岩場を超え、大きなバンドまで。
6ピッチ目 20m
バンドを右上し、上昇バンド基部へ。
7ピッチ目 40m
上昇バンドを稜線直下まで。
8ピッチ目 30m
稜線に出て北穂小屋へ。

グレードとしては優しいのですが、なかなか手間取ってしまい、日没ぎりぎりになりました。
下から吹き上げる風が強く、岩だけでなく眉毛にこびりつく氷を落としながらの登攀でした。
「天候が荒れれば登攀そのものが滝谷からの脱出行になりかねない。」
まさに最後はそんな感じになってしまいました。なかなか登り応えがありました。

4日目は下山。来た道を戻るだけ。さっさと下って温泉に入ろう・・・。
という予定だったのですが、今回は下山が核心でした。
昨日にも増して滝谷からの吹上が強く、殺人的な強風。トレースは消え、ルートを見失わないよう視界が開けるのを待ったり、風収まるのを待ったり、時に稜線を四つん這いになりながら、感覚の無くなった手をマッサージしながら涸沢岳まで。涸沢岳から蒲田富士辺りまでは逃げ場の無い吹きさらしの稜線です。気合を入れなおし樹林帯を目指しました。標高が下がると風はやや収まりましたが、今度はラッセルが・・・。

今回は4日間でしたが非常に充実した内容でありました。
過酷な状況の中で活路を見出せるものは、その物事に対するモチベーションであり、仲間の存在であるように思います。
こんな登山があとどれくらい出来るのだろうか。たまにそんなことを考えます。
限られた時間の中で試行錯誤しながら、自分のインスピレーションを大切にしながら登山と向き合って行きたいと思っています。
それが日帰りハイキングであっても、冬期登攀であっても。

フォトギャラリー

初日は晴天。風も穏やか。涸沢岳西尾根を登る。

蒲田富士から滝谷(左)、正面に涸沢岳。

F沢のコル。正面の岩峰は右のルンゼから上がります。

2日目。白出しのコルから奥穂方面。

涸沢岳直下の鎖場はロープを出します。

その後も要所要所でロープを使用しました。

滝谷側は風が吹き上げクラスト。涸沢側は雪崩に注意が必要です。

鎖場ではPASを使いながら北穂を目指します。

涸沢側トラバース。

滝谷側の吹き溜まり。

松濤岩。

北穂高岳山頂。

大キレット。

滝谷。

3日目。滝谷クラック尾根。

旧メガネのコルにて。

技術的な核心部。4ピッチ目のジェードル。

上昇バンド。稜線へ抜ける。

4日目。穂高からの脱出行。

早く帰りたい。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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