初夏 東沢釜ノ沢西俣遡行 ~奥秩父の静かな沢旅 (甲武信岳南面)

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2013年06月04日 (火)~2013年06月05日 (水)
メンバー
単独遡行
天候
晴→曇
コースタイム
▼ 6/4(火)
西沢渓谷入口(90分)山ノ神(50分)釜ノ沢出合(45分)両門ノ滝(40分)幕営地

▼ 6/5(水) 
幕営地(120分)水師直下稜線(徳ちゃん新道にて下山210分)西沢渓谷入口
コース状況
■ 西俣は東俣と違い、赤布や印は全くありません。
■ 釜ノ沢に入ると水温が低くなります。
■ 西俣の幕営適地はゴーロの始まりの辺りに多くみられますが、その先はあまり期待できません。
■ 奥ノ二俣を含め、分岐となる沢は全部で3つ。全て右に進みます。
■ 今回は沢を忠実につめ、わずかな石楠花藪コギで登山道に出ました。
難易度
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感想コメント

日本でも屈指の渓谷美を誇る笛吹川。
国師岳から甲武信岳、雁坂峠に至る奥秩父の中核の全てを水源とし、白く輝く花崗岩のナメと、南に面する明るさに満ちた谷が広がります。

この笛吹川水系で最もポピュラーな沢が「東沢釜ノ沢」です。
渓谷美で知られる西沢渓谷を二俣で分け、乙女滝や東のナメ滝などの名瀑を眺めつつ、魚留ノ滝を越え、釜ノ沢の白眉である「千畳ノナメ」を辿り、さらに両門ノ滝を越えていくこのルートは、様々な美しい渓相に出合える珠玉のコースです。
両門ノ滝で沢はメインルートである東俣と、マイナーな西俣に分かれます。
東俣は甲武信岳へと続く笛吹川本流であり、甲武信岳への最も古典的な登山ルートとして古くから知られています。

今回私は何となく今まで敬遠していた西俣を辿ってみました。
西俣は、甲武信岳の西にあるピーク「水師」に突き上げる沢で、メジャーな「東俣」に比すると訪れる人は稀ですが、奥秩父らしい野性味溢れる静かな秀渓です。
両門ノ滝を越えると、東俣以上に多くのナメが連続し、上流部では適度に登れる滝が多くあり、東俣とは趣が異なりますが、思っていた以上に変化に富んでいました。特に苔の美しさが際立っていたように思えます。
ただ東俣同様ゴーロ歩きが長く、倒木がとても多いのが幾分残念でした。
なお、西俣はメディアで取り上げられることも少ないのですが、「岳人」誌では2008年8月号に紹介されておりました。

「東沢釜ノ沢」は首都圏在住の者にとって、第一級の泊まりの沢旅を約束してくれる奥秩父の名渓です。
無尽蔵の美しい清流と原始性を色濃く残す豊かな緑に包まれながら、初夏の眩い日差しに満ちた明るい渓相を旅すると、日頃新宿という夥しい数の人に満ち溢れた世界で、無意識に埋没してしまう自分の心が解放され、美しいものを素直に美しいと愛おしむ感情が自然と甦ってきます。
東沢の旅は、まだまだ自分にもこんな瑞々しい感性が残っていることを、いつもストレートに教えてくれます。

フォトギャラリー

「両門ノ滝」が西俣(左)の入口となります

釜ノ沢の白眉「千畳ノナメ」

右岸を高巻きます

高巻きを終えて滝上から

西俣は深い釜や淵が多くあります

滝上はナメと滝が連続します

水温が徐々に低くなっていきます

さらにナメが続きます

ナメが終わるとゴーロ歩きに 左岸台地が幕営適地です

二日目はゴーロ歩きから始まります

長いゴーロ歩きのあとに現れるナメ滝

奥ノ二俣

小滝が続き、ぐんぐん高度を上げていきます

苔に美しさを感じます

さらに上流へ

最後の滝らしい滝 多段10m

倒木帯を突破しなければなりません

最後のツメ 奥秩父らしい森のなかを進みます

甲武信岳山頂より東沢を俯瞰する

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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