奥秩父の美渓 大常木谷遡行 ~美しくも深いゴルジュを旅する

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2013年07月23日 (火)~2013年07月24日 (水)
メンバー
単独行
天候
曇のち雨
コースタイム
▼7/23(火) 曇
一之瀬川下降点(30分)大常木谷出合(210分)会所小屋跡

▼7/24(水) 曇のち雨
会所小屋跡(大常木林道経由180分)二ノ瀬車道(45分)一之瀬川下降点
コース状況
■ 下降点の駐車スペースは2台ほど。少し下にも広場があります。
■ 一之瀬川への下降路はよく踏まれており、枝尾根を忠実に辿れば問題ありません。
■ 大常木谷は全般的に岩が滑りやすい気がします。
■ 五間ノ滝8mは右壁にフィックスありです。
■ 千苦ノ滝25mの高巻きはしっかりとした踏跡があり、落ち着いて行動すれば問題はないと思われます。
■ 山女魚淵に倒木はないので、泳いで突破するしかありません。
■ 2段不動ノ滝は上段もフリーで登れそうですが、枝沢を上がり懸垂で沢床に降りました。
■ 会所小屋跡は広く、焚き火跡も沢山ありました。
難易度
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感想コメント

大常木谷(おおつねぎだに)は、奥秩父主脈縦走路上、飛龍山の北西にある大常木山を水源として、深いゴルジュやナメ滝、淵を連続しながら、多摩川源流の一之瀬川に注ぐ深山幽谷の秀渓です。
多摩川水系の多くの谷で堰堤が築かれ、伐採や植林が行われてきたなかで、大常木谷だけは人の手の入った跡のない圧倒的な自然美を今に伝えることから、多摩川源流域随一の美渓として名高いことでも知られます。
五間ノ滝8mや大常木谷最大の千苦ノ滝25m、山女魚(やまめ)淵、早川淵、不動ノ滝など見所満載で、色濃く原始性を残す森に身体を溶け込ませながら、奥秩父の深淵な谷の美しさを体感することができます。
上流部に会所小屋跡という絶好のビバーク適地(石垣に囲まれた台地)があるので、1泊の沢旅が望ましいと思われますが、大常木林道を帰路に使えば弾丸日帰りも十分可能です。

今回の遡行では、山女魚淵など深い淵を泳ぐことを強いられるので、対策としてプラティパスのプラティウォータータンク4Lを携行しました。
空気を入れ、ハーネスに連結し、顎の下に当てながら泳ぐと、溺れるという恐怖感がなくなりとても有効であったように思います。
小さなことですが、ある困難を克服するために自分で試行錯誤し、それを実践し成果を確かめることは、登山において大変重要な行為であるような気がします。

二日目は当初の予定ではさらに源流部まで遡行を続けるつもりでしたが、朝から小雨がぱらつき気持ちも乗らないので、エスケープである大常木林道を辿り下山しました。
この林道はかつて東京市が大正から昭和の初期に伐採と植林の為に築いた林道で、現在でも東京都水源林巡視路として保全の手が入っているので、意外によく整備されていてとても歩きやすかったです。
途中目を見張るほどに美しい苔が広がるなど、奥秩父らしさを体感できる、知る人ぞ知る隠れた名ルートであるかもしれません。
因みに、ルートは余慶橋(青梅街道)を起点にし、岩岳尾根を登り、会所小屋跡で大常木谷を横切り、モリ尾根をシナノキノタルで越し、竜喰谷遡行終了点を経て一之瀬集落に至るもので、だいたい標高1500mのラインに作られているようです(一般的に地図に掲載されていません)。

結果的に終始雨雲を気にする慌ただしい遡行となってしまいましたが、大常木谷は聞きしに勝る美渓でした。
短い時間のなかに美しい風景がめくるめくように現れては消えゆくさまは、独りであるが故に強烈に記憶として脳裏に焼き付けられますが、そこに形容しがたい儚さも感じてしまいます。
沢登りであれ、雪山であれ、ハイキングであれ、その儚さに美しさと愛おしさを感じてしまうからこそ、我々はまた次の旅を求めるのでしょうか?
真夜中、絶え間ない瀬音と鹿の哀しい夜啼きを聞きながら、ふとそんなことを思ってしまいました。

フォトギャラリー

大常木谷は多摩川水系随一の美渓です

入渓点と駐車スペース

一之瀬川への下降路 しっかりとした踏跡があります

一之瀬川の入渓点 ここから少し下降します

やや薄暗い大常木谷出合

水がとてもきれいです♪

渓に奥深さを感じます

忽然と現れる五間ノ滝8m

右壁にフィックスがありますが、快適に登れます

千苦ノ滝25m 左岸に立派な巻き道があります

山女魚淵 かなり深いのですが、ここは気合を入れて泳ぎます

淵の奥から振り返る フィックスに頼らざるを得ません

さらにゴルジュが続きます

早川淵の辺り

2段不動の滝 下段は左壁を登り、上段は右岸を巻きました ひどい写真ですね(><)

上段の巻きで唯一ロープを使用しました

きれいなナメ滝が続きます

カンバ谷より上流は苔むしたゴーロになります

会所小屋跡は絶好のビバーク適地 焚き火跡が沢山あります

帰路大常木林道にて 苔の美しさに魅了されました

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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