冬の八ヶ岳核心部を歩く/長野県【八ヶ岳山域】
- 投稿者
- 好日山荘スタッフ
- 日程
- 2014年03月10日 (月)~2014年03月12日 (水)
- メンバー
- 天候
- 1日目/曇天、2日目/晴れ、3日目/晴れ
- コースタイム
- 【1日目/天女山ロ~三ツ頭と権現岳の中間コル】
天女山ロ⇒(210分)前三ッ頭山頂⇒(120分)三ツ頭と権現岳の中間コル
【2日目/コル~行者小屋】
コル⇒(60分)権現岳山頂⇒(120分)ツルネ山頂⇒(180分)赤岳と阿弥陀の分岐⇒(45分)行者小屋
【3日目/行者小屋~美濃戸口】
行者小屋⇒(20分)赤岳鉱泉⇒(140分)美濃戸口
※歩行時間のみ表記。積雪状況により行動時間は大幅に変わります。
- コース状況
- 前三ツ頭までは樹林帯なので危険箇所なし。そこより稜線に上がるので視界不良などルート失に注意です。当日も強風とガスの中ホワイトアウト。コルの樹林帯に入るまではルートファインディングでした。
さらに赤岳までは権現岳キレットの通過など稜線上での長時間の行動が続きます。
エスケープルートもなく状況判断が重要です。
赤岳から残りは下りで樹林帯にもどるので安心です。
権現梯子の下降直後かなり急な斜面をトラバースしますので数名で行かれる場合はザイルがあると安心です。感覚的には雪崩れても不思議ではない箇所でした。
全体を通してタフなコースです。
- 難易度
感想コメント
1月に赤岳から横岳、天狗までの赤岳主稜線を歩いたので、自分の中での冬の八ヶ岳締めくくり山行として今回のルートを選びました。
まず感想としてはタフで歩きごたえのあるルートで、冬山としても貴重な経験値が少しはついた事に感謝です。八ヶ岳は自分の中での“冬山道場”です。こんなにアクセス良くピリリとした山歩きが出来る山域は本当に登山者としてはありがたい山です。
天女山口まではタクシーで1000円前後(JR小梅線甲斐大泉駅より)で入山できるのでオススメです。前三ツ頭までなら樹林帯なので日帰りスノーシューハイクなども快適に歩けそうな雰囲気でした。
そこから先が本格的な冬山の感じ。随分と慣れましたがやはり一歩踏み出すのには勇気がいります。アイゼンの緩み具合やバラクラバ、ザックの背負い間の調整など道具の再点検をし、自分に気合いを入れます。
運悪くこの日はガスと急風の稜線歩き、コースの幅も広く雪庇も長く張り出しているので大変でした。短時間のホワイトアウトが繰り返しあり、ゆっくりですが確実に進んでいきます。GPSにも助けられました。
昔の方は本当に辛い思いでの登山だったんだと改めてレポート編集しながら…
やはり心強い道具です。
一泊目は三ツ頭を過ぎ、権現岳との間に樹南西方面に広がる林帯の中でテント設営しました。今回はツエルトではなくテントを選択。
この幕営地は星野秀樹さん著書の『雪山放浪記』を参考にさせていただきました。すごく楽しい本なのでオススメです。
二日目は権現岳の登頂とキレットの通過、今回の核心部分でしょうか。
雪のつく様は神々しくもあり素晴らし景観でした。けっこう大変な事をやっている筈なのですが、忘れ去ってくれる瞬間があります。
ここまでずっと一人でしたが、青年小屋から権現岳の合流地点でワンパーティーと遭遇。ここから赤岳を目指す目的は同じでしたが、特に合流などはせず自然に自分のペースで歩きました。途中で少し休憩が欲しかったのでツルネの手前あたりで先に行っていただきました。
この辺りずいぶんとペースダウンしてしまったので、より強くならなければと実感しました。
キレットは高度感もあり爽快かつダイナミックなルートです。
かなり経験者むけの印象を受けますが、自分の中では楽しい場所でした。また再訪する価値が十分に感じられました。いつかは身内の山登りをしている者と一緒に歩いてみたいと感じました。
赤岳への登りは遠くから見ると威厳のある姿で出迎えられます。まさに雪と岩の鎧をまとうような様子です。剱岳ではありませんが、「あれどこから取り付くのか?」一見すると分からないのですが一歩一歩近づけば難解なパズルが解けるようでした。
あと少しの感覚でしたが、先が長く感じられる時間でもありました。
ようやく阿弥陀方面への分岐まで上がれば、残りは下るのみ。
ここまで歩いた心境としては淡々たるものがあり、さっぱりした想いが支配しました。
核心部ではアドレナリンが出るので、いつも一段落終えると妙に落ち着いてしまいます。
山登りを始めた頃と比べると、この辺りの感覚が薄くなってしまったのが良いのか?悪いのか?わかりません(笑)。
とりあえず今回もテーマ完了ですし、次なる山へと情熱を高めたいと思いました。
冬ヤツの入山口南側では編笠山からは未経験なので、これは次回の機会として、来シーズンでは北八ヶ岳も楽しそうです。
使用した道具の感想としては、バラクラバでは防風繊維が入った口元部分的が凍りフリース部分は無事だったので用具の再考の余地がありそうです。キレットの稜線歩きでオーバーグローブはマイナス18度想定のものでしたが、天候も安定しており調度使いやすかったです。ただ少し荒れてしまえば更なる保温性がやはり必要です。
道具の選択は迷うところですが、実際に山で使うことで見えてくる部分がほとんどです。
八ヶ岳レベルになると、その辺りも山が教えてくれます。
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