表丹沢最大 イイハシの大滝へ ~ 寄沢本流を遡る (鍋割山南西面)

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投稿者
伊藤 岳彦
横浜西口店 店舗詳細をみる
日程
2016年04月12日 (火)~
メンバー
単独行
天候
コースタイム
寄大橋ゲート(60分)入渓点(20分)イイハシの大滝(80分)広河原(55分)登山道(80分)寄大橋ゲート
コース状況
本文をご参照ください
難易度
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  • おとな女子登山部

感想コメント




イイハシ大滝


鍋焼きうどんで大人気の鍋割山の足元にありながら、ほとんど知られていない表丹沢最大の大棚“イイハシの大滝4段45m”。人知れず孤高に君臨する大滝で、爽快なマイナスイオンを浴びてきました。


11:15寄大橋ゲート発→12:20入渓点発→12:40イイハシの大滝着→14:00広河原着→14:55登山道着→16:15寄大橋ゲート着



目次


  • Ⅰ 寄沢本流遡行

  • Ⅱ 概要

  • Ⅲ 参考サイト




  • Ⅰ 寄沢本流遡行


    1 入渓点まで

    大倉が表丹沢登山口として大変な賑わいを見せているのに対して、やどろぎはとても静かな登山口です。
    それでも桜が見頃とあって、この日は寄沢沿いの桜見物をされる方が少しおられました。



    【↑】 ゲート前に駐車をしてスタート



    【↑】 桜が見頃でした

    途中“やどりき水源林周遊歩道コース”を交えながら登山道を辿ります。
    新道と旧道に分かれるところがありますが、沢沿いの新道の方が登りがない分楽でしょう。
    数回渡渉をしながらの河原歩き。堰堤が9つ現れます。道標が随所にあるので、迷うことはありません。



    【↑】 堰堤をからめた河原歩き



    【↑】 寄沢出合

    登山道が沢から離れるところが入渓点。
    ちょっと分かりにくいですが、本流は左に90度曲がったうす暗い方。
    奥に10m小滝があるのが、目印です。


    2 イイハシの大滝へ

    出合の河原で装備を整えて、入渓します。



    【↑】 入渓します



    【↑】 F1 10m斜瀑

    入渓してすぐに現れるF1は、立派な斜瀑ですが、倒木が非常に残念。
    直登は意外に困難のようですが、倒木を利用して左壁を登ることもできそうです。
    まだ体が温まってないので、右壁の固定ロープで攀じ登りました。



    【↑】 右壁に固定ロープ

    もう少し右から高巻くことも可能です。
    F1を越えると、両岸が切り立った岩壁となり、険しい渓相となります。
    F1から70mほど先で、沢は右折し、F2が現れます。



    【↑】 F2 4m

    右岸が段々状になっているので、容易に歩いて越えることができます。
    F2を越えるとすぐにF3です。



    【↑】 F3 5mスラブ滝

    一見難しそうに見えますが、水流の右にバランスをとれるホールドがあり、労せず攀じ登ることができました。
    F3を越えると、早くもハイライトのイイハシの大滝です。



    【↑】 イイハシの大滝に着きました



    【↑】 清流が気持ちいいです

    私には大滝登攀はとても無理ですが、最下段の5mは登れるので、もう少し上まで登ってみました。



    【↑】 優雅な大滝です



    【↑】 滝壺から上を見上げると...



    【↑】 水の美しさに魅了されます

    絶え間なく水を落とし続ける大滝を前にすると、水の不思議さを感じずにはいられません。



    【↑】 虹も見えました

    大滝でマイナスイオンをいっぱいに浴びた後は、高巻きを検討。
    右岸は断崖絶壁なので、左岸の大高巻きしか方法がありませんが、大滝周辺からでは斜度がきつく、ホールドも乏しいので、上部に抜けることができません。
    仕方なく取り付けそうなところまで戻ることにします。
    まずはF3を下降しなければなりませんが、ここはロープなしでは危険。
    左岸の立木を支点に、懸垂下降でパパッと降ります。20mロープで充分でしょう。
    続くF2は右岸を歩いて降りることができ、結局F1上まで戻ることを強いられました。



    【↑】 上部枝尾根まで急斜面を攀じ登ります



    【↑】 高巻き途中に大滝を見下ろす

    トラバースはかなり危ないので、結構な大高巻きとなってしまい、最終的には連続懸垂で大滝上に出るしかありませんでした。
    あるいは無理をせず、寄コシバ沢側に下降すればまだ傾斜が緩いので、もう少し楽に沢へ戻ることができると思われます。
    大滝の高巻きは先が分からないので、自分で地形を見極め、ルートを判断する面白味がありますが、場合によっては危険を伴う行為。
    不用意に枯木やもろい岩に体重を預けないなど、慎重さが要求されます。



    【↑】 やっと沢に戻れました

    大滝上の小滝を幾つかすぎると、堰堤が現れます。ここは寄コシバ沢の出合にもなっています。



    【↑】 大滝上の堰堤

    堰堤は右から攀じ登って巻きますが、こんなところに堰堤があることに驚いてしまいました。



    3 寄沢本流遡行と下山

    堰堤を越えると渓相はガラリと変わります。



    【↑】 広河原と呼ばれるところ

    広河原は表丹沢らしくない開放的な空間。休憩に最適な場所で、余裕があれば焚き火でもしたいところです。
    しかしここからはいたって平凡な河原歩き。ステルス靴に履き替えてから、登山道に出会うまで淡々と歩き続けます。



    【↑】 さらに上流へ



    【↑】 倒木のかかる4m滝

    4mの小滝は倒木を利用して、水流通しで突破。残念ながら、滝らしい滝はこれだけでした。
    その後は登山道を探して上を見上げながら歩いていると、運よく登山者の方が歩いているのを見かけました。
    すぐにそこからザレ場を強引に上がって登山道へ。



    【↑】 登山道に出ました



    【↑】 下山します



    【↑】 最後に寄大橋から上流を振り返る

    表丹沢の渓相は、東丹沢や裏丹沢のような奥深さはないものの、里山の雰囲気に満ちた優しさがあり、とても心休まるものでした。



    4 遡行を終えて

    ようやく春めいた気候になり、気持ちよく水と戯れることができるようになりました。
    イイハシの大滝は、さすがに他の丹沢の大滝、例えば“本棚”や“早戸大滝”のようなスケールの大きさやインパクトがある訳ではありませんが、滝壺から見上げた水の美しさはとても印象的なものでした。
    どんな大滝であれ、滝には心を清らかにしてくれる何かがあるような気がしてなりません。
    水と戯れた翌日は、どんなに忙しくてもイライラすることがなく、自然な笑顔で仕事をすることができます。
    良い遡行をすれば良い仕事ができる、このことを念頭に置きながら、今年も安全に沢歩きを楽しんでいきたいと思います。



    Ⅱ 概要


    1 寄沢

    昔はユーシンへ抜ける唯一のルートであった雨山峠を水源として南下、下流部で中津川と名前を変えて、四十八瀬川に注ぐやどろぎ
    表丹沢のなかでも訪れる人の少ない流域で、困難な滝が多いのが特徴です。
    日本登山体系では遡行対象として、滝郷沢左俣・同右俣・水棚沢・寄沢本流・小屋ノ沢・清兵衛ノ沢・地獄棚・山ノ神渡ノ沢が取り上げられていますが、いずれも登攀的なもの。昨今は堰堤だらけで水量も少なく、遡行される方は極めて稀なのではないでしょうか。
    これらの本流が寄沢ですが、寄沢本流遡行と言っても、中流部は堰堤だらけ(9個もあるそうです)で、上流部は平凡な河原。
    残念ながらイイハシの大滝以外の見所はありません。


    2 アプローチ

    【交通機関利用】
    小田急線新松田駅から富士急湘南バス寄行バスを利用。終点下車。寄大橋まで小1時間のアプローチとなります。

    【マイカー利用】
    セブンイレブンのある国道246号寄入口交差点から北上。県道710号で寄バス停を過ぎ、寄大橋まで。ゲート周辺に駐車スペースあり。



    【↑】 寄大橋 周辺の路肩にみなさん駐車されています


    【入渓点まで】
    寄大橋ゲートから入渓点までは、登山道を利用。数回渡渉あり。寄沢本流出合まで35分ほど。




    Ⅲ 参考サイト


    以下、参考となるサイトをご紹介致します。

    寄自然休養村管理センターの情報はこちらをご覧ください

    やどりき水源林の情報はこちらをご覧ください

    富士急湘南バスの情報はこちらをご覧ください

    立ち寄り湯の情報はこちらをご覧ください


    フォトギャラリー

    イイハシの大滝は表丹沢最大の大棚です

    爽快感が溢れます

    水の美しさに魅了されます

    マイナスイオンをいっぱい浴びました

    ・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
    ・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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