忍びの道を歩く 東床尾山~西床尾山 / 出石

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投稿者
上田 哲也
京都河原町店 店舗詳細をみる
日程
2018年05月06日 (日)~2018年05月06日 (日)
メンバー
グランフロント大阪店:上田
天候
晴れ/曇り
コースタイム
奥山・黎命の家~15分~茗荷谷・入口~30分~本覚寺跡~60分~茗荷滝~60分~東床尾山(839.1m)~50分~西床尾山(843m)~70分~立町金山跡~30分~奥山・黎命の家
コース状況
茗荷滝から先の道が迷いやすいです。
東床尾山への登りと西床尾山からの下りに、45度ぐらいの急傾斜の所があります。

水場:なし
WC:奥山集落の徳神社前にあり
難易度
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感想コメント

兵庫県豊岡市出石町奥山にある茗荷谷から東床尾山と西床尾山を縦走してみました。

西床尾山のある奥山は一昔前まで金山として栄えていたといい、鉱山周辺は「立町千軒」と言われたほど多くの鉱夫が住んでいたそうですが、現在は静かな山里になっています。慶長17年(1612)に出石藩主の小出吉英が奥山金山として本格的に開坑し、金のほか銀や銅も採掘。後に朝日鉱山では通称「黄金の霜柱」と呼ばれる見事な自然金の塊が採取されています。

奥山の茗荷谷には戦国時代から江戸時代にかけて、元の本覚寺(現在は出石町にある)に忍者が住んでいたといい、出石の城下町に出掛けてからかい半分で藩士に試合の勝負を挑んだという伝承が残っています。この忍者との関係は不明ですが、奥山の集落から茗荷谷の林道に入り、少し進んだ所の道端に忍者のものとされる自然石に文字を刻んだ古い墓があります。

奥山は元々「隠し金山」だったという説があり、茗荷谷にも平家の落人伝説が残る事から、昔から隠れ里だったのではないかと思われます。伊賀平内左衛門家長(伊賀忍者の祖とされる)に仕えていた平家の残党の一部は、壇ノ浦の戦いの後、茗荷谷から30kmしか離れていない豊岡市の伊賀谷に隠れ住んだと言われています。天正伊賀の乱の後、全国に散った伊賀忍者が平家の末裔の縁故を頼ってやって来たのが茗荷忍者だったのかもしれません…。

奥山の「黎命の家」から出発。集落にある徳神社にまずは参拝。ここでは「なんじゃもんじゃの木」と呼ばれるカゴノキが、縁結びの御神木として祀られています。15分ほど歩くと、茗荷谷・入口に到着。林道を少し進んだ所に忍者のものという自然石の墓あり(下山後に地元の方の案内で見つけました)。

沢沿いの林道を歩いて行くと所々に棚田のような石垣跡が現れ、作物を育てていた場所のように見えます。30分ほど歩いた所で五輪塔を発見。石垣が高く積まれ、沢に降りる階段なども残り、ここに元の本覚寺があったようです。本覚寺は茗荷谷の住居や金の精錬施設、金の採掘坑などのある地区の入口に位置しており、ここにいた忍者は余所者に対する警備警戒の役目を務めていたものと思われます。

沢沿いの登山道を歩いて進んで行くと、驚くほど奥地まで護岸整備や住居用に石垣が組まれており、苔むした様子は古代遺跡のようでした。1時間ほど歩くと茗荷滝に到着。茗荷忍者もここで修行をしたのかもしれません。さらに沢に沿って進む途中、地図の登山道から外れている事に気が付き、直登して正規ルートに復帰。そのまま尾根筋のかなり急な斜面を登って東床尾山の山頂へ。三角点あり、展望360度!気温25度だが風が抜けて涼しい。

見晴らしの良い山頂を後にすると、尾根伝いに適度な起伏のある道を歩いて西床尾山へ。山頂には消えかけた標識があるのみで、展望は南北にあり。そのまま尾根伝いに下って行くと「堀場↑奥山↓」の分岐があり、奥山方向へ。45度ぐらいある急斜面を下った後は、道が細く険しく滑りやすくなり慎重に進んで行くと「床尾陽光の森」の遊歩道に合流。

案内板によると、この辺りではトキワイカリソウ(碇草)やオオモミジといった日本海側多雪地帯の植物が見られるとの事。薬学に詳しかった忍者も碇草をいつでも使えるよう家の周辺に植えていたと言われており、滋養強壮に効く秘薬の原料に使用したそうです。忍者の伝承がある山の中に、忍びの秘薬として用いた植物が生えているというのが興味深いところです…。

帰路は立町金山跡を経由して、奥山・黎命の家へ下山しました。

フォトギャラリー

東床尾山から出石方面を望む

徳神社

なんじゃもんじゃの木

奥山は静かな山里

茗荷谷の由来を記した案内板

忍者のものとされる自然石の墓

元の本覚寺

大規模な石垣跡

石垣による護岸

古代遺跡を思わせる

金の採掘坑

縦坑には水が溜まってました

茗荷滝…忍者が修行していたかも

東床尾山の山頂へ

東床尾山の山頂

東床尾山の山頂からの眺め

床嶺の家…休業中のようです

西床尾山の山頂

立町金山跡

花の季節です

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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