越後三山 水無川探勝 ~ デトノアイソメを越えて

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2018年09月12日 (水)~
メンバー
単独行
天候
コースタイム
越後三山森林公園駐車場(30分)オツルミズ沢出合(30分)カグラ滝(50分)十二平(60分)デトノアイソメ(30分)暗峡(25分)オカメ沢出合(往路戻る150分)越後三山森林公園駐車場
コース状況
平水であれば危険個所ありません
難易度
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感想コメント




水無川探勝



水無川は、越後三山に囲まれた山域の水を集めて西進する渓流で、古くから険谷として知られてきました。
鉱山採掘のための山道作りから流域の開拓は始まったそうですが、戦前すでに遡行されており、その明るく開放的な渓相は古くから岳人の心を熱くさせていたことが分かります。
痛快な大滝登攀が味わえる水無川本流である真沢しんざわをはじめ、支流にもその名の通り水が急峻に落ちるオツルミズ沢や、広大なモチガハナ沢などがあり、第一級の遡行ルートを数多く有します。
今回はあこがれの渓谷の一端を覗く本流探勝。
オツルミズ沢にかかるカグラ滝を訪れた後、本流のデトノアイソメを越えて、オカメ沢出合まで。
単なる川歩きに過ぎないものですが、知られざる渓谷美をご覧いただければ幸いです。




 ↑ 越後三山森林公園駐車場

国道291号線から県道265号線に入り、荒山集落を経てゲートのある終点まで。
感覚的には里山ですが、山の深さは一級品です。
タクシーでもJR浦佐駅から20分ほどだそうです。舗装路。


 ↑ 工事中のため迂回路あります

近年継続的に護岸工事がされているようですが、きちんとした迂回路があり、登山への支障はありません。


 ↑ 林道からカグラ滝が見える

荒れまくったナンチャッテ林道を進んでいると、突然正面に白いカーテンのような大滝が現れ、度肝を抜かれます。


 ↑ オツルミズ沢出合

オツルミズ沢は水無川支流の中では最も長いもので、越後駒ケ岳直下から流れ落ちる極めて急峻な渓。
下部にあるカグラ滝80mはほんの序の口に過ぎず、中流部に5段150mのサナギ滝があり、長大なスラブをはじめ、尋常ではない自然の造形美に圧倒される第一級のルートとして知られます。


 ↑ オツル滝

沢へ降りてオツル滝下まで行くのにも神経を使います。


 ↑ 巻き道あります

決して一般的な遊歩道的探勝路ではありません。


 ↑ 危険すぎるトラバースでした

物凄い急斜面に付けられた巻き道は、途中で2つに分かれ、どうやらカグラ滝下とカグラ滝上に通ずるようです。
これらはおそらく地元の?山岳会の方が滝登攀の練習に使う目的で作られたのではないかと推察されます。
このトラバースでは、短い鎖が何本か垂れ下がっていますが、気軽に通過できる場所ではありませんでした。


 ↑ カグラ滝80m

とても優雅な滝で、下部は傾斜が緩くなっていますが、上部は完全なフェースです。


 ↑ 林道の奥へ

寄り道を終えて、本来の道に戻りました。


 ↑ 凄い!まだ雪渓がある

今年の尋常ではない酷暑でも残っているなんて、驚きです。


 ↑ モチガハナ沢出合

越後駒ケ岳より派生する極楽尾根とマキグラノツルネに囲まれた水を集める広大な渓で、出合より1時間ほどのゴーロ歩きで三俣となるようです。


 ↑ 十二平登山口

越後駒ケ岳への一般登山道入口。エアリアマップで山頂まで7時間20分。
各遡行終了後にここを降ると膝がガクガクになるそう。
それで名前が『極楽尾根』というのは、イケてるというか凄いセンスです。


 ↑ この堰堤は左岸巻き

十二平の先で林道は消滅し、以前デトノアイソメまで通じていたという右岸の道も当然のようになく、仕方がないので渓に降りると現れます。
道があったんだから右岸越えかと思いきや、正解は左岸藪漕ぎ越え。
何気に赤布の目印がありました。


 ↑ 笹花沢出合

滝とスラブが程よくまとまった渓で、八海山に詰め上げています。


 ↑ 釜もあります

今日は寒いので、右岸巻きです。






 ↑ デトノアイソメ

十二平から1時間ほどで、デトノアイソメに到着。



デトノアイソメ?



変な地名で上位にランクされる場所として、ネットでは有名のようです。
漢字では「出戸でと」の「逢初あいそめ」。
「山の端」の「二つの川の合流地点」を指すようです。

登山体系では、

“例年ここは豊富な雪渓が残るのであるが、貧雪の年はただの川原である。ここの雪の量からその年の雪渓状態が推し量れる”

とあります。


 ↑ ミニ雪渓


 ↑ デトノオオナデ沢

上部に広がる赤スラブが印象的な短急な渓で、フリーで楽しく登れるとのこと。
因みにこの沢の左岸にある鉱山道尾根にはかつて道があったそうです。


 ↑ 東不動沢と西不動沢

ともに大滝を抱く登攀的な渓。ここまで来ると地形のスケールが大きくなります。


 ↑ 平凡な河原歩きが続きます


 ↑ 滝沢出合

その名の通り連瀑帯をもつ登攀的な渓。


 ↑ 暗峡へ

名前からしてもっと暗く恐ろしいゴルジュを想像していましたが、とても穏やかな淵でした。


 ↑ 昔は深かったそうですが、今は浅い


 ↑ 一番深いところ


 ↑ 暗峡を振り返る


 ↑ 本流をもう少し先へ

この辺りまで来ると空が晴れ上がり、午後の陽射しを浴びながら気持ちのよい川歩きができるようになりました。


 ↑ 美しい小滝


 ↑ 巨岩帯を越えます

空身なので腕力で乗り越えられますが、泊まり装備だと結構大変かも。


 ↑ オカメ沢出合

オカメ沢はオカメノゾキに突き上げる急峻な渓。
それにしてもオカメとは何なのでしょうか。


 ↑ 今回はここまで

この先には、関門ノ滝50m・幣ノ滝150m・白龍ノ滝50m・祓川大滝200mと想像を絶するスケールの滝が続きますが、もういい時間になったので、探勝はここまで。


 ↑ 往路を戻ります


 ↑ よい気分転換になりました



川歩きというか、本流探勝は、比較的気軽に楽しめるものです。
過去には丹沢で『ウォーターウォーキング』を勧める書籍もありました。
ガチの沢登りが毎回できればよいですが、いつもベストコンディションで臨めるとは限りません。
時には、のんびりとした気持ちで、穏やかな流れを遡り、まだ見たことのない風景に出会う、そんな楽しみ方があってもよいように思えます。
もちろん最低限のルートファインディングや下降技術が求められますが、いつも緊張感を強いられるものではありません。
ただ関東近郊の山域では、川に並行して大概林道があり、中には川であっても傾斜のある沢と同じ感覚になってしまうものが多く、不向きなものが多いように思えます。
その点谷川連峰や越後の山々は、スケールが大きい分、本流が穏やかなものが多いような気がします。
思いつくままに挙げると(異論もあるかもしれませんが)、


湯檜曾川 赤谷川 宝川 毛渡けど沢 清津川上流 三国さぐり川水系 など


いかがでしょうか。

まだ見たことのない世界を求めてプチ冒険するのもいいものです。



フォトギャラリー

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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