槍で会いましょう~白出沢から槍穂縦走

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2022年09月13日 (火)~2022年09月15日 (木)
メンバー
1,2日目 単独 
2,3日目 山仲間2名
天候
晴れ
コースタイム
【1日目】新穂高温泉(60分)穂高平小屋(40分)白出沢出合(130分)荷継小屋跡(150分)穂高岳山荘
【2日目】穂高岳山荘(120分)北穂高小屋(180分)南岳小屋(130分)槍ヶ岳山荘(20分)槍ヶ岳(15分)槍ヶ岳山荘
【3日目】槍ヶ岳山荘(120分)槍平小屋(140分)白出沢出合(60分)新穂高温泉
コース状況
・深山荘の登山者無料駐車場は土日はすぐ満車になるようです。初日は空きがあったものの下山後は満車でした。仮設トイレあり。駐車場から登山口まで15分ほど。
・穂高平小屋へのショートカット道は急でガレています。下山時は滑りそうなので使いませんでした。
・白出沢ルートは通行できます。難所には鎖や梯子設置されています。荷継小屋跡から穂高岳山荘は大きなガレ谷となり落石や浮石注意。ペンキマークを頼りに歩きます。
・穂高岳山荘テン場代2000円。水は無料で小屋外の蛇口からいつでも汲めます。30張ほど。クレカ対応。
・大キレットは狭いのですれ違い注意。素手だと手が鉄臭くなるのでグローブ推奨。
・槍ヶ岳頂上へは上りと下りでルート別れます。
・槍ヶ岳山荘テン場代2000円。現金のみ。水は1L200円、小屋内の蛇口から汲めます。5:30~18:00まで。時間外は玄関の自販機が利用できます。500mlのペットボトル400円。
・槍平小屋、穂高平小屋、共に営業中。
難易度
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感想コメント

 槍ヶ岳のバリエーションルートとして有名な北鎌尾根。自分にはまだまだそこを歩く力がないので、今回はいつもの仲間とは別行動。末端の湯俣から長大なルートを経て槍登頂を目指す仲間の為に、新穂高からの回送役を買って出ました。私は新穂高温泉から白出沢、大キレット経由で槍ヶ岳へ。2日目に槍の山頂で会う約束をして、仕事終わり寝不足のまま新穂高まで車を走らせました。
 駐車場に到着したのは朝7時過ぎ。気が張っていたせいか、思ったより眠気はなく無事に歩けそうな予感。コースタイムは9時間と長丁場なので、途中でバテないよう心拍数を意識しながらゆっくりと歩きました。

 白出沢は昨年の地震で大きな被害が出て、最近まで通行止めとなっていました。異例の早さで修復されたのは、穂高エリアの山小屋の努力のおかげ。ありがたく使わせていただきました。
 長い林道を歩いてようやく白出沢の出合。山小屋のHPと同じ注意喚起の看板を目にして少し緊張が走りましたが、意外に下ってくる方が多く安心しました。崖のトラバースや崩れそうな箇所には、きちんと鎖、梯子、鉄のステップが取り付けられ問題なく歩けます。白出沢を遡行するように登っていくとやがて荷継小屋跡。石を積み上げたような跡が僅かに残っていました。
 大好きなイワツメクサが咲く草付で大休止した後は、色付き始めたナナカマド、ダケカンバの間を縫って巨大なガレ谷へ。時折ガスが立ち込めては、あの世のような雰囲気に一層拍車がかかります。下を向いて黙々と登っていると、歩き易かった道がいつの間にかザレていたり、岩が立ちはだかったり。復帰は容易ですが、落石を起こすと厄介なので、マーキングをなるべく見落とさないように集中しながら歩きました。
 ふと見上げた先には、穂高岳山荘らしきの石垣と電灯のシルエットが。あと少しと思ってもなかなか距離が縮まらず、見えてからはえらく長く感じました。なんとか到着してとりあえずテント受付。山荘前から戻ると広場には小屋泊まりらしき人々、仲間と語らい飲み交わし、とても楽しそう。寂しい気持ちを圧し殺し、さっさとテントを立てに行きました。
 私ももとはソロを楽しんでいたのに、いつの間にこんな寂しがり屋になったんだろう。チーム北鎌は今頃どこに?悶々とした気持ちでザックを整理していると突然の雨。ガスが晴れれば奥穂アタックする気でいましたが、完全に気持ちが萎えてしまいました。と同時に急な眠気が襲ってきてそのまま一眠り。小一時間ほど経った頃、テントの外から賑やかな声が聞こえてきて目を覚ましました。
 顔を出すと少しピンクに染まった前穂と常念。スマホを確認すると時刻は16時過ぎ。北鎌チームから無事2400m付近のビバーク地に到着とのメッセージが入っていて、続いて酒宴の様子が送られてきました。何だかイラッとしましたが、寝たことで元気になり、明日槍ヶ岳でジュースを奢ってもらう約束を取り付けさせました。

 翌朝もこの上ないお天気。最近雨続きだった私にとっては久しぶりの御来光。モルゲンに染まる奥穂に別れを告げ、一路北を目指しました。
 2日目は大キレットを通って槍ヶ岳まで。大キレットは10年前、それも登山を始めて間もない頃、兄に連れられ泣きながら歩いた道です。槍に行きたいとせがんだ所、中房から東鎌経由で槍ヶ岳、なぜかセットで大キレットまで歩かされ、吊尾根を通って上高地に下山するという大縦走をしました。当時はガスで大キレットから槍の勇姿を拝むことは叶わず、ただただ恐怖でしかありませんでした。怖い思いをしたにも拘わらず人生初の大冒険を達成し、山にのめり込むきっかけとなったあの大キレット。当時に比べ山に慣れた今なら、どんな風に景色が変わって見えるのか。期待を胸に楽しみながら歩くつもりでいました。
 が、この日はとても暑く余韻に浸る余裕がありません。おまけに北鎌チームが予想より早く、こちらもスピードを上げないと山頂でのハイタッチが夢に終わりそう。頂上で出待ちされる側になるのは癪だったので、必死になって歩きました。自力で上がれず苦労した飛騨泣き、ウエストベルトが岩角に引っ掛かって慌てた長谷川ピーク、何度もつまずいた中岳のガレ場。あの時の苦労を噛み締めながら歩くはずが、気が付いたら既に槍のテン場が見え始めていました。あれ?私の美しい思い出はいずこに?と、ここで北鎌組からこれからチムニー取付くとの連絡が。チムニーってどこ?察するに槍は目前に迫っている様子。へとへとでしたが気合いを入れ直し、槍ヶ岳山荘へ一先ず到着。ザックをデポして槍ヶ岳頂上へ向かって走り出しました。
 
 急いで登ったので山頂では若干酸欠気味。辺りを見回すと...よし、2人はまだいない。悠々綽々と迎えてやろう。待つこと数分、まだ来ない。北鎌尾根を歩いているパーティーは見えるが2人ではない。少し不安になってきたところで「あ~間違えた~」と聞き覚えのある声。すかさず「お~い、お疲れ様、こっちだよ」と私。もうどっちが早いかなんてどうでも良い、無事に顔が見れた嬉しさでいっぱいになりました。直下で微妙にルートミスしたようで、私の声が聞こえて助かったとのこと。少しでも役に立てて良かったです。
 祠の前で一頻り喜びの握手を交わしてから山荘へ。ビールやジュースを買い込み、テン場で乾杯しながら楽しい一晩を過ごしました。

 翌朝、常念から昇る日の出を見ながら下山開始。次の山や来年の北鎌の話などをしていると、長い行程もあっという間でした。仲間同士、わいわいお喋りしながら歩くのはやっぱり楽しいです。昼前には新穂高まで下りてきました。
 ここから高瀬ダムまで約2時間、車を回す大役を務める予定でしたが、2人とも私の運転に不安がある様子。それならいっそ運転は任せて私は夢の中へ。飲食店の中休みで昼ご飯難民にならないよう、途中大町に立ち寄ってお昼ご飯。高瀬ダムで車を回収してから、日帰り温泉で3日分の汗を流して全ての行程が終了。帰路に就いた頃は15時を回っていました。
 たまには1人も良いけれど、やっぱり信頼できる仲間と歩く方が何倍も楽しい。今回はそれを深く実感した山行となりました。

フォトギャラリー

10年振りに槍登頂しました。

白出沢はピンクテープやペンキあるので比較的安全です。

橋渡るのちょっと怖い。

ガレガレ。ガスって1人だと寂しさ倍増。

アビナイね。

穂高岳山荘とガスの中からジャンダルム。疲れたので山頂はまた今度。

翌朝。モルゲン奥穂と前穂。

今日は槍でランデブーする予定です。

最低コルから前穂北尾根。

北穂に着きました。良いお天気!

南岳小屋。喉が乾いたのでGokuriを買ってイッキ飲み。

槍が近くなってきました。王様の貫禄。

テン場も見えてきました。あと少し。

北鎌チーム発見。お疲れ様!

槍クッキー奢ってもらいました。

テン場は大賑わい。背後は大喰岳。

翌朝はのんびり出発。

下ります。やっぱり仲間と一緒がいいね。

影槍が笠に映ってます。

無事下山。これから回送、まだまだ旅は続きます。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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