新緑 癒しの島々谷南沢を歩く (北アルプス・徳本峠越え)
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2012年05月10日 (木)~2012年05月11日 (金)
- メンバー
- 単独行
- 天候
- 曇
- コースタイム
- 【1日目】 新島々駅(11:25発) - 島々宿(12:05発) - 二俣(14:00着) - 岩魚留(16:15着)
【2日目】 南沢上流散策 - 岩魚留(10:30発) - 二俣(12:30発) - 島々宿・安曇 支所バス停(14:20着)
- コース状況
- 近年台風の影響により崩落個所が随所にありましたが、殆ど修復され、危険個所は特にありませんでした。
渡渉を強いられる箇所もありません。
雪は一切残っていませんでした。
釣師の方も入渓されるところです。
トラブルがないようお互い気持ちよく過ごしたいものです。
- 難易度
-
感想コメント
所謂「徳本(とくごう)峠越え」は梓川の支流・島々谷と上高地との間を結ぶ、歴史のあるルートです。
戦国時代の落人伝説にはじまり、江戸時代からは木材伐採や炭焼きなどの仕事場として人々の生活を支え、明治以降もウェストンや小島鳥水、芥川龍之介、高村光太郎・智恵子夫妻らが歩いたことで広く知られるところです。
昭和8年に旧釜トンネルが開通した後も、廃れることがなかったのは、峠を愛する人々による支援と、深田久弥が「峠に立った時、不意にまなかいに現れる穂高の気高い岩峰群は、日本の山岳景観の最高のものとされていた。その不意打ちにおどろかない人はいなかった」(「日本百名山」)と書き記しているその景観にある、とされます(徳本峠小屋HPより)。
あまり天候に恵まれないときに、眺望はなくとも、しっとりと森のなかを歩くことも山の楽しみの一つではないでしょうか?
「折角の連休なのに天気が…」というときに必ず思い浮かぶのが、この「徳本峠越え」です。
ちょうど新緑の時期をむかえ、森と水に囲まれた渓谷道を歩き、岩魚留で一夜の夢を預けるとタイムスリップをしたような感覚を味わうことができます。
十代の頃歩いたときの瑞々しい感性を思い起こすことは、もはや叶うべく術もありませんが、やはり何度訪れても北アルプスらしからぬ山の佇まいがとても新鮮です。
真夜中、月光の明るさに目を覚まし、外に出るとすぐそばにカモシカがいました。
さすがにギョッとしましたが、ヘッドランプを向けてもただ見つめ返してくるだけ。
雪山で威嚇されたことはありましたが、こんなに人馴れしたカモシカは初めてでした。
今回は峠を越えて上高地まで行ってしまうと、何となく興ざめしてしまうので、朝方ゆっくりと南沢上流を散策したのち、往路を戻りました。
交通機関の発達した現在、わざわざテントを担いで島々谷を往復してくるという行為は、釣師は別にして、マニアックな領域を出ないかもしれません。
しかし、とかくアプローチを省略することが当たり前とされる、或いは省略していることさえ自覚がないクルマ社会において、現代人が遠く彼方に置き忘れてきてしまった「何か」を思い起こさせてくれるルートとして、「徳本峠越え」はとても貴重な存在です。
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・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。



















