谷川岳 東尾根 登攀

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投稿者
田渕 幹敏
日程
2013年03月12日 (火)~2013年03月12日 (火)
メンバー
千葉パルコ店 向山
横浜西口店 髙野 (TL)
ららぽーと横浜店 田渕
天候
コースタイム
谷川岳ベースプラザ ⇒ (60) ⇒ 一ノ倉沢 出合 ⇒ (90) ⇒ シンセンのコル ⇒ (180) ⇒ 第一岩峰 ⇒ (90) ⇒ オキの耳 ⇒ (75) ⇒ 谷川岳ロープウェイ 天神平駅

※ 単位は分、途中休憩含む。
コース状況
谷川岳ベースプラザから一ノ倉沢 出合までは、夏道が多く出ており概ね良好。
但し歩道の入口付近は降雪と崩落で全面埋もれており、崩落ヶ所を越えて歩道に出るまでが非常に分かり難かった。
特に、ヘッデンで行動する場合には注意が必要。

一ノ倉沢から一ノ沢を経由しシンセンのコルまでは、デブリが多く出ている。
行動する時間帯や雪の状態には要注意。
一ノ沢に入ってしまったら、気温が上がれば戻るのも非常に危険になる。
シンセンのコルから先もエスケープルートは無いので、行くか行かないかの判断は迅速に行う必要があるだろう。

東尾根の稜線から頂上直下の雪壁を越えて山頂までは、例年より多い積雪が晴天で緩んでおり若干不安定。
表面がクラストし充分な雪がある様に見えても、内側がスカスカなヶ所が多い。
雪庇の崩落やシェルンドも見られたので注意。

オキの耳から天神平は、大きな危険ヶ所は無い。
急な天候の変化には注意。
難易度
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感想コメント

谷川岳 東尾根。
一ノ倉沢からアプローチして急な一ノ沢の雪渓を遡り、鋭く切れたナイフリッジを辿る。
幾つかの岩峰を登攀し一ノ倉沢側に切れたリッジをトラーバス。
最後に待つ山頂直下の大雪壁とその上に覆い被さる巨大な雪庇を越えると、不意に景色は雪の丘へと変わり…目の前にオキの耳が現れる。

この素晴らしい尾根を積雪期に登攀出来る機会は、けっして多くはありません。
比較的天候が落ち着く二月末から雪崩のリスクが高くなる三月半ばまでの、僅か一ヶ月にも満たない間だけ挑戦する事が出来るのです。
勿論、この期間であっても天候や雪のコンディションが悪ければアプローチすら諦めざるを得ません。
初めてのチャレンジで快晴の登攀をさせて貰った僕らは谷川岳に愛されているのかなと、独り考えてみたり。
こんな勘違なら、それもまた楽しいものですね(笑)

ただ今回は、体調があまり良くなくトレーニングも不足気味。
テクニカルなパートはまだしも、フィジカルに頼る一ノ沢の登りはクタクタでした。
いつもより明らかに多い発汗と喉の渇き、早く浅い呼吸…。
幸い稜線に出てからはかなり良くなりましたが、体調をきちんと調整出来なかった時は山に入るべきでないと大いに反省。
お医者様にも叱られました。
慎重に判断しているつもりでも、ちょっとした見通しの甘さで未だにこんな基礎的なミスが出ます。
常に勉強し失敗を繰り返さない様にしなくてはと肝に銘じました。

さて…そんな訳で一ノ沢は登るのに精一杯でしたが、この日は晴天無風で天候は最高!
気温が早く上がった為スノーシャワーも多く沢内では気を遣いましたが、稜線に出てからは絶景の連続でした!
両側のマチガ沢と一ノ倉沢を流れ落ちる雪崩や、風景に似合わぬ優しい陽光に春の訪れを感じます。
弛んで中層の抜けた雪壁には気を遣いますが、それでも本当に気持ちの良い登攀でした。

ただ、シェルンドも見られましたし、メンバーの一人は雪壁を登攀中に「ピシッ」と雪の割れる音を聞いたそうです。
まだ古くはないトレースが、トレースごと崩落したヶ所を見た時はドキッとしました。
東尾根は谷川岳の冬期バリエーションとしては入門ルートと言われていますが、易しいと言う印象ではありません。
色々な要素が詰まった、充実した好ルートでした。

今積雪シーズンの谷川岳 一ノ倉沢 周辺の登攀は、もう直ぐ終わりを迎えます。
来週にも、谷川岳遭難防止条例に従って天神尾根を除くルートが入山禁止になるでしょう。
今年も無事に雪の谷川岳に登る事が出来て、本当に嬉しかったです。

春山のシーズンはまだ暫く続きます。
もう幾つか、雪の山を登れたらと思います!!

フォトギャラリー

一ノ倉沢への歩道は雪で埋まっていた。道が分かり辛くGPSで現在位置を確認しながらルートを探す。

歩道上にも大きなデブリがゴロゴロ。

一ノ倉沢 出合の避難小屋。多くのクライマーがココから一ノ倉沢の難ルートへ挑戦した。

朝焼けの一ノ倉沢。

一ノ倉沢には大きなデブリが出ている。

一ノ倉沢から左へ駆け上がる一ノ沢。東尾根へのアプローチルートだ。

一ノ沢の急な登り。クタビレました…^^;

雪が緩んでちょっと怖いトラバース。のっけからカッコ良いルートです!

雲一つ無い青空をバックに雪壁を登攀する向山氏。きっと空へ登っている様な気持ちでしょう!カッコ良いですね!

雪壁登攀中に突如仲間の足元に開いたシェルンド。後ろから抱え何とか落ちずに済んだが、底は深く凍える様な冷気が上がって来て肝を冷やした。

まだそれ程古くないトレースが、トレースごと崩落している。シェルンドの開いた軟雪を避けてルートを変更していた僕らは運が良かった。

雪壁のトラバース。険しく、厳しく、…そして美しい。この風景が、春の谷川岳 東尾根。

第一岩峰の登攀。手がとても冷たい。少し前掲していて出だしは厭らしい。髙野氏が的確なリードで導いてくれた。

歩いてきたリッジを振り返る。とてもシャープで、綺麗な稜線。

山頂直下の大雪壁を登る。上には巨大な雪庇が待っている。

山頂まであと僅か。さぁ、雪庇を越えよう!このあと高野氏が奮闘的なクライミングを見せてくれるが、僕は落氷の中のビレイで写真を撮る余裕はなかった。

西黒尾根の急斜面にシュプールがついている!

山頂より。雪庇の隙間から東尾根を振り返る。

名残惜しいが山頂を後にする。

帰路は天神尾根を降った。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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