飯豊は良いで~。弥平四郎から本山へ

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投稿者
齋藤 千春
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日程
2014年07月14日 (月)~2014年07月15日 (火)
メンバー
単独
天候
曇→快晴
コースタイム
1日目 弥平四郎登山口(180分)疣岩山(30分)三国小屋(120分)
     切合小屋(30分)草履塚(20分)御秘所(30分)本山小屋
    (往復20分)飯豊本山

2日目 本山小屋(20分)御秘所(20分)草履塚(20分)切合小屋(100分)
     三国小屋(30分)疣岩山(120分)登山口
コース状況
 本山へ入るルートとしては最も行程が短いですが、やはり飯豊なのでアップダウンの繰返しでした。天気が良いと切合まで直射日光の厳しい稜線上を歩かなくてはいけないので、水分補給をこまめにして日射病にならないよう注意が必要です。上ノ越経由ルートは序盤から急登なので、登りも下りも滑らないように慎重に。
 弥平四郎口は豪雨被害で車道陥没の為、20分程駐車場まで徒歩で向かいましたが下山したら既に復旧していました。
難易度
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感想コメント

 昨年敗退した飯豊登山。今年は別ルートで本山を目指しました。
登山口まで雨が降ったり止んだり。去年の二の舞になるのではと不安に駆られながら、静かな弥平四朗集落を車で抜けていきました。舗装道が砂利道に変わると、一週間前の豪雨のせいか道がぼこぼこで完全に陥没している場所もありました。林道歩きを強いられるかもと覚悟しましたが、登山口駐車場まで歩いたのはせいぜい20分。この日も寝坊したのでそれ程時間を取られずホッとしました。

 早く稜線に出たかったので、祓川山荘は経由せず30分行程の短い上ノ越から上がることにしました。(登山口の駐車場には簡易トイレもあります。祓川へ行くには駐車場から5分程戻ることになります。)風の無い鬱蒼とした急登を汗をダラダラと流しながら登ること30分。息が切れ頭がクラクラ、まずい、完全にバテてしまった...。気持ちが急いても足が一歩も前へ出ないので、取りあえずザックを降ろして休憩することに。10分程水分や塩分を補給するとみるみる元気が湧いてきました。いきなり撤退⁉と絶望的になりましたが、単にオーバーペースだったようです(^^ゞ

 すっかり気分も良くなり、相変わらずの急登、アップダウンを繰り返し、漸く稜線に出た!と思ったらガスで展望ゼロ。しかし空気はひんやり、陽射しも無く、さらにニッコウキスゲ、ヒメサユリ、ミツバオウレンやハクサンチドリなどが道を彩っていたので、花々を愛でながら快適に歩くことができました。
 三国小屋へ着く頃にはガスが取れ始め、目指す本山への稜線が長く長く天空へと続いていました。気さくな小屋番の金子さんからこれから先のルート状況や近況を教えてもらい、本番前に良い休憩をとることができました。

 切合までは鎖・梯子が一か所、へつり数か所、雪渓が三か所出てきます。雪渓はアイゼン無しでも何とか行けますが急な下りが一つだけあるので、キックステップをしっかり効かせるか、時間帯によってはアイゼンをつけた方が良いと思われます。そして相変わらずアップダウンの繰り返し、それらを乗り越えると、地蔵岳からの稜線と交わり、ケルンの立つ砂地の広場に出ます。ここは絶景の休憩ポイント、雪渓を抱いた大日岳が正面にどーんと構え、右手には御坪のダケカンバがそよそよと風に揺れていて、その下の雪渓で去年迷ってひどい目に遭ったとはとても思えない長閑な時間が流れていました。

 切合で水を補給していよいよ未踏のルートへ。(本山では雪渓の水を取りに行かなくてはならないので切合で補給しておくと後が楽です。)草履塚までは未だ夏道は出ていないので雪渓を登ります。気温は高くステップがしっかり効いたのでストックだけで登れました。(翌日の下りは軽アイゼンつけました。)背中の切合がみるみる小さくなり、完全に見えなくなった所で草履塚に到着。ここから一気にまた下ることとなりましたが今までとは景色が一変、多種多様の花が咲き乱れ、大日岳から御西、本山へと続く美しく大きな稜線が、まるで私を手招きしているかのように暖かく迎えてくれました。自分は今天国にいるのではないかと思う程の絶景で、御秘所の岩場でザックを下ろし30分以上も見とれてしまいました。

 日もかなり傾いてきたのでそろそろ小屋を目指して最後のガレ場を登ります。長時間歩いてきた疲れがここにきて出始め、少しばかりヘロヘロになって本山小屋へ辿り着きました。これまた気さくな小屋のご主人・渡辺さんに挨拶をし、(渡辺さんはお店にも度々来てくれています(^^))夕焼けの本山へ今日のうちにアタックすることにしました。なだらかな一本道を一度下り再び登ると、フィナーレにはヒメサユリの花道が。飯豊本山の道標を目にした時は感無量で、登山をやっていて良かった、生きていて良かった、様々な思いでいっぱいになりました。

 日没までまだ時間があったので小屋へ戻り夕食の支度にかかります。渡辺さんが、2日前にきたお客さんが残していったという野菜で醤油炒めを振舞ってくれました。山の上で葉物野菜が食べれるとは!実はこの野菜、残していったのは好日山荘の常連のお客様でした。下山した次の日たまたま来店されて、本山小屋に野菜を残してきたとのこと!それを私が食べたなんて!とても不思議な縁を感じました。
 お待ちかねのアーベントロートもしっかり目に焼き付け、夜は煌々とした月明かりの下、星空と喜多方の夜景を満喫して、翌日の日の出に間に合うように就寝しました。

 次の日、外は一面雲海で、ガスも良い具合にかかっていたのでブロッケンを期待してスタンバイ。雲が太陽を隠したり、ガスが晴れたりしましたがチャンスを窺うこと数十分、後光は見えませんでしたがガスの中に自分の薄い影を捉えることができました。初めてまともなブロッケンを見ましたがとても神秘的でした。
 その後、もう一つ見ておきたかったイイデリンドウを探しに、小屋と本山の間のコル周辺を強風の中探すこと数十分。たった一輪だけ見つけることができました!ブロッケンもイイデリンドウも見れたし、大満足で下山の準備に取り掛かります。しかし本当に名残惜しくあと1週間くらい滞在していたい気分でした。
 標高が低くなるにつれ、ガスはすっかり取れ真夏の陽気に。下山時もアップダウンの連続でひいひい言いましたが、昨日と違って本山や大日がどこまでも見守ってくれていたので、またおいでよと手を振ってくれているような気がしました。

 今回の旅で一層飯豊に惚れ込んでしまいました。未踏のルートもまだまだ多いので、また違った季節にチャレンジして更なる魅力を見つけていきたいと思います(*^^*)

フォトギャラリー

イイデリンドウ。咲いていたのはこの一輪のみ。!

豪雨の爪痕。元通りになって居るのでご安心を。

三国小屋手前はヒメサユリ街道に。

三国小屋はのんびりとした時間が流れています。

この蜂たちは汗を舐めるだけで決して刺しません。

切合まで岩場のアップダウン。

切合手前のケルン広場。ここまで来たぁ~。

草履塚までの雪渓はなだらか。

ヨツバシオガマと大日岳。別天地。

御西の稜線。

姥権現様にご挨拶。

雄大な大日の眺め。

チシマギキョウと御秘所の岩場。

遂に本山へ!カメラの調子がおかしく逆さになってしまった。

感動の夕焼け。

ああ日が沈む…。

翌朝。微かにブロッケン‼

雲海の中に磐梯山が(右上)!

モルゲンロート。

帰りはどピーカン!

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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