三郡山系を歩こう!!Vol.6『篠栗駅起点!深緑の犬鳴山系縦走』【裏 三郡縦走】

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投稿者
好日山荘スタッフ
日程
2017年06月01日 (木)~2017年06月01日 (木)
メンバー
天候
コースタイム
●序盤
篠栗駅(20分)龍泉堂(45分)飯盛山(20分)樹芸の森(25分)横峠(35分)三ッ頭山(15分)柳原方面分岐
●中盤
柳原方面分岐(20分)車道出会(25分)藤七谷登山口
●終盤
藤七谷登山口(50分)犬鳴山(100分)椿峠(35分)番兵跡(40分)薦野峠(20分)西山山頂手前(75分)西山登山口(25分)薦野バス停
行動時間 計).550分


↓参考資料↓
●分県登山ガイド 福岡県の山 犬鳴口バス停-犬鳴山-西山-薦野バス停CT
行動時間 計).365分

*すべて休憩時間を含みません
コース状況
●序盤 篠栗駅〜飯盛山〜三ッ頭山〜柳原方面分岐 縦走区間
飯盛山周辺は落葉により踏み跡不明瞭、テープ少ない
他は、踏み跡、ピンクテープ、標示あり 特に問題なし
●中盤 柳原方面分岐〜藤七谷登山口〜犬鳴山(熊ヶ城)
・柳原方面分岐の沢沿い、一部踏み跡不明瞭、ピンクテープあり、標示なし、途中通行止め
犬鳴方面ルートは右記MAPを参照(古犬鳴ルートまたは南犬鳴尾根ルート)
・藤七谷登山口~山頂、大半は踏み跡不明瞭、ピンクテープあり、標示あり
●終盤 犬鳴山(熊ヶ城)~西山(鮎坂山) 縦走区間 薦野峠~西山登山口
大半は踏み跡不明瞭、テープ、標示あり
地図携行&地図読みスキルがあった方が良い


↓参考資料↓
●水平移動距離
25.8km
●累計標高差(登り・下り)
2,980m(1,515m・1,465m)

*投稿者調べ
難易度
Google Map
  • スタートナビ
  • おとな女子登山部

感想コメント

前回の『三郡山系を歩こう!!シリーズ Vol.5』はオーソドックスかつ定番の「三郡縦走」。
今回は広範な三郡山系の北部に位置する『犬鳴山系』を絡めて、篠栗駅から薦野に抜ける南北縦走に行って参りました!
若杉山〜三郡山〜宝満山は福岡市近郊の縦走路では一番人気、まさしく『表の顔』。題して【表 三郡縦走】
対して犬鳴山を含めた篠栗以北の山々は圧倒的に入山者数が少ないマニアックな山域、まさしく『裏の顏』のイメージです。
今回は篠栗駅から飯盛山〜三ッ頭山〜犬鳴山〜西山を縦走し薦野に抜け降りる。題して【裏 三郡縦走】
勝手な私見で【表】だの【裏】だの冠してしまい恐縮なんですが…

個人的にどの様な所に表裏のイメージを持つかというと,
・篠栗を境にして南北でゴロっと変わってしまう山の雰囲気と登山者の数。
・「犬鳴山は行く度に迷ってしまう」「人が全然いない」とたまにお客様からも噂を耳にする彼の犬鳴山。その犬鳴山系は「犬も鳴く(泣く)ほど山深く険しい」という。←どれだけだよっ!と思わずツッコミたくなります
・低山ながら山深さがある分、手付かずの原生林が多く残る。
・華やかさと荘厳さのある太宰府側と比べ、一部近寄りがたい所がある。←犬鳴と言えば…自重します^ ^;
と言う事で、若杉ー宝満と比べてなんとな〜〜〜く地味で辛気くさく陽の目を見ない印象がある犬鳴連峰。
同じ三郡山系内でもまさに裏!!←個人の勝手なイメージです(笑)

そんな三郡山系北部ですが、立花・三日月山塊と挟まれる様に位置する好日山荘トリアス店。
来る日も来る日もその山容を遠目に見ては、心の何処かでその縦走が気になっていたのであります。
満を持して?遂に挑んでみました!!


実は昨年秋の「畝原山-鉾立山-三ッ頭山-飯盛山 周回」は、今回の縦走コースの為の下見も兼ねたものでした。篠栗駅-飯盛山-三ッ頭山と来て犬鳴山方面に抜けられないものかな〜と。
地形図には登山道の表記が殆ど見当たらないのですが、じっくり読み取ると地形的な道筋は何通りか見えてきます。インターネットなどで調べると情報は少なくてもやはり飯盛山から犬鳴まで縦走は出来る模様。

問題は中盤のコース選択。
ある程度消耗が進んだ後半戦に位置する犬鳴-西山。
踏み跡が薄いと聞くので実際にどれだけ時間を取られるのかも不安要素です。
そのハイライトを直前にして、コース中で入山者数と情報が最も少ない三ッ頭山から犬鳴山までの中盤区間をどの様に通過するかが最大のネック。心情と計画としては可能な限り時間・体力を節約して通過したいところ。
そこで最短ルートで行くとなると地形図に記載のある三ッ頭北東付近の稜線から柳原方面に下る分岐を利用する案。古犬鳴ルートの尾根を跨ぎ、車道でそのまま犬鳴山藤七谷登山口にアプローチする構想です。
畝腹-飯盛周回の際にその分岐は確認済み。ただ気になるのがそこが妙な分岐だった事です。
尾根沿いに南西方向に進む方向から見ると、立ち木2本に水平に木を咬ませて立入禁止の様相、でもその奥の柳原方面にはピンクテープが撤去されずに残され目視出来る。
逆に尾根沿いに北東方向に進む方向から見ると、特に人為的に進路を塞ぐ物は設置されておらず柳原方面に普通に進入出来る様相。
『 ? ? ? ? ? 』
普通、立入禁止にするならトラロープでも何でも使って明確に立入出来ない様にしますよね。
機会があれば柳原に続くその道の様子を確認してみようと目論んでいた折に、最近そのルートを利用して犬鳴方面へ縦走した登山者を確認しました。
それならば吉と出るか凶と出るか、今回思い切って選択してみる事に。←上記MAPの赤線
その時はまさかあんな事になるとは露として知らず…。


●序盤
篠栗駅〜飯盛山〜三ッ頭山〜柳原方面分岐 縦走区間
龍泉堂で登山の安全を祈願し、いざ参ります!
意気揚々と登山道に入ってしばらく、何やら目の前に得体の知れない物体が?
なんと子鹿が道のド真ん中で蹲っていて、目の前に来るまで全く気が付かず不意に声を上げてしまいました。
豊富な落葉に体毛が上手にカモフラージュしてるんだもん!!(;´Д`A 
この子は一体どういうつもりなのか???
幼い故にただただマイペースなのか(まるでウチの愛犬の様に)、そもそも臆病なはずなのに体調を崩して弱ってしまっているのか…。どうしようもないので若干後ろ髪を引かれつつ先を急ぎます。なんとなく幸先悪い。
そしていきなり落葉でズルズルの45度はありそうな急坂!分かっていたけどやっぱり幸先悪い!
飯盛山、樹芸の森展望台からの眺望。天候が曇りの為、決して高望みはしていなかった期待通りの景観。
今日はこんなもんでしょう、むしろ暑くなりすぎず絶好の縦走日和です。
その後、柳原方面分岐までは年甲斐もなくスキップなんてしませんけどスキップしたくなる様な快適な縦走路が続きます。

●中盤
柳原方面分岐〜藤七谷登山口〜犬鳴山(熊ヶ城)
個人的に今回1番問題の区間。
分岐から沢地形を降りて行きますが、やはりピンクテープは付いていて踏み跡はある模様。
ただ通行量が少ないのは見て取れます。程なくして林道&車道に出ます。
この林道出合で何十年前から放置されているのか分からないボロボロの廃車を発見。正直言って怖い…。
林道沿い100mほど先に見えるポツンとした古民家?からは、数匹の犬がこちらに反応してけたたましく吠え続けています。山奥なので先程の車と相まって恐怖心に拍車がかかります…。
事前調査ではこの民家の手前辺りで尾根に乗る入口があるはず……が!なな、なんと!綺麗な『通行止め』の看板!!恐らく私有地なのか厳重に封印されていました。通行止め情報なんて事前に得られず看板も真新しい、これは流石に面喰らってしまいましたが、まあ登山だと事前に調査しても現地の状況が予測以上に異なっている事はたまにありますよね〜。
すぐに気を取り直して、他に尾根に乗る入口がないか古民家の方向に歩を進めますが……ここで戦慄する光景を目の当たりにしてしまいます。内容は伏せさせて頂きます(T . T)
幸い民家にお住まいの方から例の分岐についての情報を仕入れ、特別に尾根を横断する道も教えて頂きました。
やはり柳原方面分岐は一応立入禁止の体裁ではある様です。加えて民家手前の尾根への入口も新たに立入禁止と発覚しましたので、柳原方面分岐から一般登山道での犬鳴山系進出は事実上不可。
調査対象の分岐から柳原方面登山道はほぼ利用価値のないエスケープルートでしかありませんでした。
上記MAPの赤ラインは今回のルート、紫ラインが正規ルート候補。これにて紫ラインの古犬鳴ルートで藤七谷に向かう道程が最有力候補に確定しました。
しかし、赤ラインルートが最も楽で距離も短いので、紫ライン→赤ラインじゃダメなの?と思う方もいらっしゃるかも知れません。それは《あのトンネルの前》を通ってもよければO.Kです!!
細かい土地勘のない自分はそうとは知らずに通ってしまいました・・・
その後、誰一人として出会わないこの縦走路で、たまに背後からの気配を気にしたのは言うまでもありません(笑)
しばらく車道を歩いて終に現れる藤七谷登山口以降は事前の調査で得た通りの内容です。
噂の通り山と森の深さがあり、やはり踏み跡が極端に薄くなりますが、所々に見え隠れするピンクテープを見逃さない事。
またはテープも踏み跡も見当たらない所は地形図から進路の地形を読み取り、要所要所で取るべきルートのポイントを抑えておけば先ず間違う事はありませんでした。
虫の多い中、犬鳴山頂にて纏まった休憩を取ります。

●終盤
犬鳴山(熊ヶ城)~西山(鮎坂山) 縦走区間
犬鳴山頂周辺の斜面が急坂の為、いきなり見下ろす様な急坂の下りからスタート!
事前に地形図から犬鳴山~西山でざっと見ても大なり小なりの27ピークを確認していたので気合を入れて臨みます。意外にも30分程トラバース道が続きありがたく体力を温存♪
登山道の状況は噂通り踏み跡が薄く、場所によってテープの有無に差があります。
こちらも基本的に地形図で地形を観察しながら歩けば、見通しの利かない小ピークからの下りで方向を間違うなんて事もないでしょう。
猪野越から椿峠までしばらく間が空きますが、椿峠以降からは鹿見岐れ、鉄塔、御別館跡分岐、P529、番兵跡、そして薦野(こもの)峠と分かり易いポイントが続きます。※上記MAPにエスケープルート起点になる所は注釈付き。
この間様々なUP&DOWNを経過しますが、P529から見える連山の最奥に高くそびえ立つ西山の見た目の雰囲気と言ったらもう…。
いかんせん天候が曇りで山容がぼやけている分、不要なラスボス感を醸し出してくれています。もうよかよ…。
薦野峠に到着してからは西山方面と薦野方面の下山路も確認!
ラストの仕上げに意気揚揚と西山に続く最後の斜面に向かいますが、最後にしてまさかの本日1、2を争うかなりの斜度&落葉でズルズルの路面に登り下りとも辟易します。
西山山頂周辺のあまりの斜度に犬の様に鳴く(泣く)登山者のネット記事を見かけてはいましたが…これはなるほど!!
山頂方面は立入禁止と分かっていたので今回の縦走はここまで!入ったらいかんとよ〜っ!!
西山登山口に出る薦野方面の登山道も明瞭・不明瞭の差があり慎重に周囲を観察しながら下山しました。
最後の最後、登山道終点付近の堤防にて、右岸の林道への渡渉点がやや分かりにくい;
西山登山口からほどなく歩いた所に西山周辺図があります。登山前にルート概念が確認が出来ます。
この付近にはこの時期に嬉しい自動販売機もあります♪
薦野からはJR古賀駅までバスが出ていますよ~。


今回休憩を含めて山中にいた時間は9時間弱ほどでしたが、1人として登山者に出会わず、噂通り標高の割に山深さを素で感じられる登山でした。進めば進むほど変化する山容と独特な周辺の様子。
特に犬鳴山周辺からは自然そのままの原生林・照葉樹林帯の中で静かな山歩きをお腹いっぱい堪能出来ました。「犬が鳴く険しさ」というのも、ちょくちょく現れる急坂がその特長をより醸し出している気がします。
所々で江戸時代の交通の要所跡、古城址が残る犬鳴山系はひっそりとした中に歴史の残り香があり、厳かで地味なイメージながらも味わいのある印象でした。
今回は総合的に初心者向きの登山ではありませんが、やはり【表】とは何もかも180度変わる印象。たまには【裏】の登山も楽しいものですね♪

フォトギャラリー

下山後のご褒美は綺麗なエゴノキの花でした

篠栗駅から龍泉堂内の登山口へ、そして先ずは飯盛山を目指します いきなり45度近いトンデモな急坂!

落葉が多く踏み跡が見えない為テープを辿って 山頂からは篠栗~福岡市方面が見えます もうここらで帰ってもいいかなと思ってしまう (´・ω・`)

樹芸の森の展望台へ 若杉・三郡の稜線は小雨が降ってそうな空模様

九大の森~横峠は非常に歩き易いです

のびのび歩ける稜線 三ッ頭山にはなんとセルフタイマー撮影用の切株が! はたして年間何回使われているのか(笑)

問題の分岐 三ッ頭山方面から来るととそのまま下れてしまいます ここは直進で紫色のルートへ⇒上記MAPを参照

旧犬鳴トンネルへ続く車道沿いの小滝 暑くて飛び込みたくなる衝動を抑えるのに必死!!!!

藤七谷側の登山口 お昼前だというのにこの不気味さ… ここからは落葉が多く極端に踏み跡が薄くなっていきます

堤防は右岸から巻きます(写真左側から) 所々ザレぎみなだけでも嫌なのにかなりの斜度をトラバース、転落注意!

手前の谷線1が藤七谷ですが尾根越しの谷線2の方へ

谷線2を詰めすぎないように注意です!東側の尾根に最低鞍部から乗り込みます テープを見逃さない様に

急坂を詰めやっと犬鳴山頂へ。ふぅ~! エゴノキに群がる虫達の中、強い心でもって粛々とパンを食みます そして右下隅 進行方向の下りの斜度がまた・・・

西山までの序盤は写真右奥へ続くトラバース道がおすすめ 左奥は未確認ですが稜線 & 古犬鳴ルートの分岐にも続く様です 

危うく見落としそうになったギンリョウソウ 標示は所々に出てきます テープのない区間は地図から読み取って地形を意識して歩けば問題なし

名の付くコルはまだしも、地図に未記載の人工物は現在地確認に利用できないので残念 鹿見岐れは分岐のある小ピークで進行方向(右奥)以外に釣られない様注意!

ラストコルの薦野峠 西山目前にして類を見ない急坂が尋常じゃない&超滑る落葉のコンボ! 不意に久々の尻餅を付いてしまう(T . T) 西山山頂は立入禁止

薦野峠からの下りは予想を裏切って序盤踏み跡なし ラストの堤防は茂って林道への道が分かりづらく、直進すると右岸に渡れます

林道に入るとエゴノキの花がお出迎え ここの花が一番きれいでした

ふむふむ♪ ありがとうございます

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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