滝谷 第一尾根

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投稿者
高野 優
池袋西口店 店舗詳細をみる
日程
2013年01月20日 (日)~2013年01月27日 (日)
メンバー
高野 他1名
天候
コースタイム
20日 新穂高温泉(8h)涸沢岳西尾根1800m付近
21日 涸沢岳西尾根1800m付近(6.5h)涸岳沢(3h)北穂高岳
22日 停滞
23日 滝谷第一尾根登攀(8h)
24日 北穂高岳(6h)南岳(2h)槍ヶ岳の肩
25日 停滞
26日 停滞
27日 槍ヶ岳の肩(3h)槍平(2h)滝谷出合い(2.5h)白出し沢出合い(3h)新穂高温泉
コース状況
例年通りの積雪だったように思います。
滝谷第一尾根は正規のルート以外は岩が脆いです。
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感想コメント

昨シーズンに登った滝谷が厳しくも非常に充実したので、今年も滝谷へ。
どうせならもう少し足を伸ばして槍ヶ岳まで行き、憧れのルート、槍の西稜も登ろう!いう計画でしたが、寒波の影響で西稜には手を付けられませんでした。
それでも10日間の食料を背負い入山し、厳冬期の滝谷、キレットを問題なく越えられたことは今後、更に大きな計画を立てるにあたっての収穫となりました。

滝谷の第一尾根は今から70年近く前、大学の先輩が冬期初登したとうルートでいつかは登ってみたいルートの一つでした。終了点は北穂の頂上という素晴しいルートです。
初見だったこともあり、正規の取り付きよりもかなり左の方から取り付いてしまいました。そのため下部3ピッチは残置支点が殆ど無く、しびれるクライミングとなりました。
左にクラック尾根、右に第二尾根を見ながら非常に気持ちの良いクライミングでした。
70年前ここに挑んだ先輩の心情はどのようなものであったか。
今でこそ超クラシックルートですが、当時は間違いなく第一級のルート。その強さと情熱は計り知れません。

大キレットは私もパートナーも初めてで、途中ルートが釈然としない箇所もあり、思ったよりも時間がかかってしまった印象です。やはり北穂の下りは神経を使いました。
槍の肩では寒波に震えながら2日間停滞し西稜に取り付くチャンスを伺いました。27日の午前中、冬型が緩み唯一のチャンスとなりましたが、この機を逃すと下山が危うくなる為、泣く泣く下山。下山もなんと寒波の後のため新穂高までトーレースが無く、久々に疲れましが、その分充実した山行となりました。

これは個人的な感想ですが、長期山行はやり充実します。
肉体的な疲労感と精神的な緊張感が継続することにより、動きや思考はシンプルで無駄の無いものになっていきます。限られた装備と食糧で計画した行程を天気、ルート状況を考慮しながら、目標にじりじりと迫っていく感覚は長期山行ならでは醍醐味です。
長期山行で目標を達成する為には、事前の準備とパートナーシップを大前提として、与えられた条件の中で目標達成への可能性を常に探り続けることが必用不可欠です。ようは「ねばり」が重要だと思います。
寒さや空腹に加え、状況が悪化していくと精神的に追い込まれます。
私も何度かシュラフで寝ているのに、家の布団で寝る夢を見た事があります。
客観的な評価はどうあれ、そういった様々な不安や障害を克服し、目標を達成できた登山は価値がありますし、一生ものです。

フォトギャラリー

入山日。雪原の穂高平。

2日目にしてようやく森林限界。

蒲田富士手前の雪稜もラッセルになる事が多いです。

北穂高岳頂上。

滝谷へ。B沢を目指します。

左に第一尾根、右に第二尾根。滝谷の腹の中に入りこんだ感覚。

第一尾根と取り付きへ。

取り付きが分からず、登れそうな所から登攀開始。1ピッチ目。45m。

2ピッチ目。簡単そうに見えましたが、しびれました。

60mいっぱいでピッチを切ります。

残置無しでボロボロの3ピッチ目。進退窮まったら非常に危険な所でした。大いに反省。30m。

3ピッチ目フォロー。4ピッチ目からから正規のルートに合流。

4ピッチ目、傾斜の強いフェース。25m。

全7ピッチで終了点の頂上へ。後半3ピッチは比較的簡単です。

キレットの朝焼け。

朝日の染まる南岳が美しかったです。

振り返ると滝谷。北穂の小屋があんな所に・・・。

北穂からの下り(登り)は神経を使います。

槍ヶ岳へ。この後2日間の停滞の後下山しました。

槍平。新穂高温泉への長い道のり。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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