奈良県 大台ケ原 千石嵓 『サンダーボルト』
- 投稿者
-
戸田 竜也
アミュプラザみやざき・やま館店
- 日程
- 2013年05月09日 (木)~
- メンバー
- GRAVITY RESEARCH NAMBA 戸田
GRAVITY RESEARCH UMEDA 越川
GRAVITY RESEARCH KOBE スタッフ1名
- 天候
- 晴れ
- コースタイム
- 大台ケ原駐車場→(60分)『サンダーボルト』取り付き→(480分)『サンダーボルト』抜け口→(30分)大台ケ原駐車場
- コース状況
- 取り付きまでのアプローチがまず困難。
シオカラ谷に向かって下ってからトラバースして取り付きへ、というと簡単ですが、無数の小さい涸れ沢に阻まれ、時間がかかります。とにかく歩きやすい場所を行くのがいいでしょう。壁が見えればあとは基部に向かうだけです。すっきりとしたフェイスが『サンダーボルト』の取り付き。
- 難易度
感想コメント
300mの高さを誇る千石嵓の2つのルート、『サマーコレクション』と『サンダーボルト』。
今回はメンバーに恵まれ、『サンダーボルト』を登ることになりました。
千石嵓のある西大台は利用調整地区に指定されており、立ち入るには事前の申請が必要で、かつ大台ケ原ビジターセンターで事前レクチャーを受けなければなりません。一番早い時間でも8:30からなので、どうしても登り始めの時間が遅くなってしまうのがつらいところです。巷では、事前レクチャーは登攀後でもオッケーというような言われ方をしていますが、ビジターセンター側がそれを認めているわけではありませんし、立ち入り後のレクチャーでは意味がありません。
ちゃんと受けてから入域しましょう。
アプローチで迷いやすいと聞いていた通り、壁取り付きまでは困難な道のりでした。シオカラ谷へはあまり降りすぎないようにトラバースしていくのがいいようです。沢が見えるくらいだと降りすぎな気がします。
壁が見えたら基部に向かって進みます。踏み跡はあるようなないような・・・。あまりアテになりません。
GPSがあると少しマシかも。
取り付きはブッシュがなくすっきりとしています。ピカピカのステンボルトが直線的に並んでいるフェイスが『サンダーボルト』のスタート。
ではいってみましょう!
〈1P 5.10-〉 戸田リード
かなり長いですが、快適に登れますので素早く抜けたいところです。
〈2P 5.10 〉 戸田リード
次もシンプルで快適なピッチ。5,10ノーマルがこれくらいなら楽だなぁと余裕が出てきます。それが間違いだと気づくのは後の話。
〈3P 5.9 〉 戸田リード
長いトラバース。とにかく怖いです。素直に真横へトラバースするわけではなく、少し降りたり登ったりをしながら進みます。そして岩が脆い。全ピッチ中一番の脆さです。フォローの1人は、ホールドが大きく欠けてあやうく落ちかけました。余裕のなくなった私はここで大きなミスを犯してしまい、フォローには迷惑をかけました・・・。
〈4P 5.10 〉 神戸スタッフリード
ここからリード交代。初っ端からカブり気味で見るからに難しそうです。ホールド探しに手間取るとパンプすること必至です。
〈5P 5.10 〉 神戸スタッフリード
傾斜はさらに増します。単純な難しさではこのピッチが一番かもしれません。とても2Pと同じグレードとは思えない。ホールドは手も足も小さく、傾斜は垂直を軽く超えています。
〈6P 5.9 〉 神戸スタッフリード
このあたりで残りの水が不足していることがわかり節約モードに。3人で3Lではかなりしんどいです。気温は25℃、南面に照り付ける日、暑すぎます。汗を大量にかいているので無理にでも行動食を食べました。もさもさした行動食は喉の渇きを促進し、辛いことこの上ないです。ピッチはというと、ようやく気が抜ける難度。
〈7P 5.10- 〉 神戸スタッフリード
顕著なコーナークラックを利用して登るピッチ。ホールドが乏しくて見た目よりは嫌らしい。注意深くホールドを探すとうまいムーブが見つかったりします。
〈8P 5.10 〉 越川リード
リード交代。コーナークラックの続きを登ります。途中、コーナーから1本木が生えていてこれがまた邪魔です。しかし、実はそれを避けてフェイスに活路を見出そうとすると詰まります。越川さんはここでまさかの1フォール。全ピッチ、リード・フォローを通して喫したフォールはこれのみです。悔やまれます。
〈9P 5.9 〉 越川リード
右上する易しいピッチ。テラスへの乗越が少し悪いくらいです。9Pと10Pは終了点にアンカーがなく、立木で支点を作ります。
〈10P 5.10- 〉越川リード
ついにヘッドウォール。本当は5.11bのラインを登る予定だったのですが、すでに暗くなってきていたので左巻きの5.10-に。初っ端の5級ボルダームーブが疲労した体に堪えます。しかしフィナーレに向けて心は躍ります。今にして思えば、ヘッデン登攀になっても5.11bを登っておけばよかったです。
登り切った後は尾根伝いに駐車場へ戻ります。駐車場へ着いた時には真っ暗。今まで味わったことのない充実感に包まれました。もちろん、自販機で買った飲み物を各自ガブ飲みしました。いいルートでした。開拓者の情熱を感じずにはおれません。
“注意”
アプローチが悪く、長大なルートのため、途中でトラブルがあった時は致命的です。安易に取り付いてはいけないルートだと思いました。天気、パーティーの状態、登攀時間を考慮した上で行くべきです。
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