奥只見 癒しの美渓 恋ノ岐川 ~ 深緑原生林に包まれる珠玉の沢旅 (平ヶ岳北東面)

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2013年09月23日 (月)~2013年09月25日 (水)
メンバー
単独行
天候
晴時々曇
コースタイム
▼ 9月23日(月)
恋ノ岐橋(120分)清水沢出合

▼ 9月24日(火)
清水沢出合(180分)オホコ沢出合(270分)姫ノ池(60分)中ノ岐林道終点

▼ 9月25日(水)
中ノ岐林道終点(180分)雨池橋(80分)恋ノ岐橋
コース状況
■ 恋ノ岐橋には2ヶ所10台分程の駐車スペースがあります。
■ 釣り人も多いので、幾つかの滝には明瞭な巻き道があります。
■ 幕営適地は清水沢出合と、三角沢オホコ沢間に数ヶ所ありました。
■ オホコ沢はエスケープにも使えます。
■ 忠実に沢を詰めると、多少の笹藪漕ぎで姫ノ池直下の登山道に出ました。
難易度
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感想コメント

恋ノ岐 ――― こいのまた。何となく耳に残る、美しく可憐な響きをもつ名前です。
恋ノ岐川は、利根川源流域の最高峰である平ヶ岳(2,141m)の北東面を流れる奥深く長大な渓で、美しいナメやエメラルドグリーンの淵が織りなす渓谷美と、源流釣りの魅力を併せもつ、奥只見随一の美渓として知られます。
特に難しい滝の登攀や高巻き、ゴルジュの突破もないので、奥只見の沢入門としても最適です。

本来は尾瀬沼を源に阿賀野川に注ぐ只見川の支流ですが、現在は1960年竣工の奥只見湖(正式には銀山湖)に注ぐ形となっており、平ヶ岳北面の支流中ノ岐川や二岐沢のような林道による自然破壊を免れ、美しい原生林に包まれた渓の姿を今に伝えてくれています。
関東の人間からみると、平ヶ岳は利根川流域というエリアでみなしてしまいがちですが、恋ノ岐川が日本海に注ぐ川の一端であることを知ると、平ヶ岳が日本の「中央分水嶺」として地理的に大変重要な位置にあることも意識されます。

恋ノ岐川を遡るには、遡行だけで通常14~15時間、下山に4~5時間かかるため、夜行1泊2日でも強行軍となりますが、折角訪れるなら、2泊でゆとりをもって美渓を堪能したいところです。
技術的には難しい滝などはないので、初級者の方が泊まりの沢を体験するのにもオススメですが、ただ距離がとても長いので、相応の体力が要求されます。


9月の三連休の終日、関越トンネルを抜けると秋晴れの空が広がり、気持ちを高ぶらせつつ、初日は14時頃の遅い入渓。清水沢出合まで美しい渓相に魅せられながら、のんびり遡行しビバーク。半月が夜通し映し出す渓の白さが印象的でした。
二日目は歩けども歩けどもゴールが遠いとても長い遡行。オホコ沢出合を過ぎると陽光が射し、穏やかな浅瀬に魚影が走ります。上流でも幾つかの小滝を越え、源頭の詰めの笹藪漕ぎで結構体力を消耗しましたが、遡行の果てに姫ノ池から望んだ平ヶ岳が感動的でした。
最終日は中ノ岐林道を辿りました。この林道を歩こうなどと思う人は極めて稀だと思いますが、沢に興味のある人間には大変魅惑的なルートだと思われます。一大スラブ滝をもつ中ノ岐川は、恋ノ岐川が小川のせせらぎに思えてしまうくらい雄大そのもので、その支流にも西沢や灰ノ又沢など奥深く険しい渓が人知れずあることを知りました。

恋ノ岐川は聞きしに勝る美渓でした。そう何度も訪れることができないが故に、その穏やかな渓相がより鮮明に心に焼き付けられます。
普段何気なく山で「癒される」という表現を使っているところが私自身ありますが、恋ノ岐川は「癒し」の質が違うというか、心を洗われる風景とはこういうものだったのか、と思い知らされた気がしました。

フォトギャラリー

恋ノ岐川は癒しの美渓です

入渓から穏やかな渓相がしばらく続きます

最初に現れる滝らしい滝

軽快に登れる小滝が幾つもあります

清水沢出合付近は美しいナメ滝が連続します

ポッドホール(穴)のある滝もあります

エメラルドグリーンの淵が多くあります

美しいナメ床が多くあります

数えきれないほどの小滝を越えていきます

大きな淵に小滝がかかる場所が随所に現れます

オホコ沢出合を過ぎると、視界が大きく開けます

穏やかな流れに癒されます

魚影も豊富です

上流部にも小滝が幾つも現れます

紅葉の時期にも訪れてみたいところです

上流になるほど水温が低くなっていきます

右壁を慎重に登ります

源流部のハイライト、大ナメ滝40mの最上段部

長い遡行の果てに、平ヶ岳と姫ノ池が迎えてくれました

最終日、中ノ岐林道より雄大な中ノ岐川を振り返る

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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