新雪 五竜岳 ~ 静寂の北アルプス 遠見尾根から八方尾根へ

投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2013年10月30日 (水)~2013年11月01日 (金)
メンバー
単独行
天候
晴のち曇
コースタイム
▼ 10月30日(水) 曇のち雪
アルプスだいら(180分)大遠見山(120分)五竜山荘幕営地

▼ 10月31日(木) 晴のち曇
五竜山荘(90分)五竜岳(50分)五竜山荘(180分)唐松岳頂上山荘幕営地

▼ 11月1日(金) 晴時々曇
唐松岳頂上山荘(180分)アルペンクワッド
コース状況
■ 30日夜に降雪。1日は気温が上がったので少し融けたようです。
■ 五竜岳登頂には雪山装備必須。
■ 八方尾根はまだ秋山感覚でしたが、もう冬間近です。
■ 白馬五竜テレキャビンの秋運行は11/4までです。
■ 八方ゴンドラアダムの秋運行も11/4までです。
難易度
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感想コメント

無雪期から積雪期へ。
装備と思考のモードを切り替え、厳冬期に向けた体作りをするために、重装備での意欲的な縦走を試みる方も多からずおられると思います。
10月末にトレースのないそれなりの縦走をストイックにこなそうと思うならば、自然と行先は限られてしまうかもしれません。
11月号「岳人」誌で雲ノ平が紹介されているように、北アルプスならば晩秋でも水場が豊富な双六三俣蓮華方面は魅力的ですが、年によっては雪がとても少ないこともあります。
アイゼンとピッケルを使い、稜線に新雪がある(=水が作れる)山域となると、やはり晩秋の後立山連峰に足が向いてしまいます。

西遠見山を過ぎる頃より降り出した雨は、霰(あられ)から雪へと変わり、久しぶりに着た雨具も音を立てなくなりました。
シンシンと降り続く新雪のなかを黙々と歩くと、身の引き締まる思いと、また雪山に帰ってきたという感慨が交錯します。
新雪は何物にも代え難く美しく、触れる者の心を洗い、瑞々しい感性を蘇らせてくれるような気がします。
30日夕方より降った雪はそれほど多くはないものの、一晩で北アルプス全域を雪化粧で彩りました。
当初は鹿島槍への縦走を前提に念のためロープも装備していましたが、五竜岳山頂から鹿島槍を望んで、技術的には行けそうなものの、新雪をまとった鹿島槍北峰の登り返しで難儀するのがリアルに想像できてしまいました。
仕事に支障をきたすほど体力的にハードなものになりそうな予感があったので、結局怖気づいて唐松岳へ転進してしまいました。
独りだと何かと理由をつけて、楽な方へ流されてしまいがちです。
こんなとき「安全」の名のもとの賢明な判断と、弱気な心がいつもせめぎ合いますが、どれだけの情熱をもってその山行に臨んでいるのかが問われてしまうような気がします。
それでも唐松岳へと向かう途中、視界不良のなか雪の岩壁トラバースでは適度な緊張感があり、冬山に向けた良い予行演習になりました。

安全な雪山登山は一朝一夕にできるものではありません。
そのためには、身体を鍛え、心を整え、雪と風と寒さを知る必要があるように思えます。
この時期からできることを始めなければなりません。
もう今年の雪山は始まっています。

フォトギャラリー

新雪をまとった五竜岳

小遠見山付近より望む鹿島槍北壁

五竜山荘前より 雪が止み、快晴です

新雪の美しさにテンションが上がります

雄大な五竜岳が徐々に近付いてきます

山頂より鹿島槍を望む 一晩で吊尾根も白くなりました

遠く白馬岳方面を望む

五竜岳の登路を振り返る

五竜岳の下りは慎重に

唐松岳を目指します

気持ちのよい新雪の下り

昼頃からガスが湧いてきました

雪の鎖場は神経を使います

牛首のトラバース

最終日に唐松岳へ

山頂より望む五竜岳の堂回りは立派です

剱岳を望む

不帰嶮を望む

唐松岳頂上山荘を振り返る

八方尾根を下ります

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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