奥多摩 鷹ノ巣谷 ~ 迫力ある大滝で遊ぶ(鷹ノ巣山北東面 日原川支流)
- 投稿者
-
伊藤 岳彦
横浜西口店
- 日程
- 2018年06月28日 (木)~
- メンバー
- 単独行
- 天候
- 曇
- コースタイム
- 東日原駐車場(15分)鷹ノ巣谷入渓点(80分)大滝上(110分)東日原駐車場
- コース状況
- ※ 本文をご参照ください
- 難易度
-
感想コメント
鷹ノ巣谷
突然大きな水聲こえが轟き、その薙の下端へ立つて窺くと、行手には凄い水煙が漲り、行き止りには高い瀑が懸つて居る。優れた姿態と云ひ高さと云ひ、この澤には過ぎたものである。勿論日原で聞いた大瀑と云ふものに相違ないと信じた。
原全教 『奥秩父』 紀行“新緑の日原” より
鷹ノ巣谷はハイライトに20mクラスの大滝を抱く、奥多摩を代表する初級者向けの沢。
奥多摩三大急登の一つとして知られる稲村岩尾根の東側を北進する渓で、こじんまりとまとまっています。
今回は核心と言われる“詰め”を避けて、大滝上までの往復遡下降。
翌日に疲れを残さない半日の沢歩きを楽しんできました。
2018/6/28(木) 曇
東日原駐車場[12:28]…巳ノ戸橋[12:40]…鷹ノ巣谷入渓点[12:50] …大滝下[13:58] …大滝上[14:22] …巳ノ戸橋[15:53] …東日原駐車場[16:09]
■ ワサビ田跡を行く
日帰りハイキングで、ある程度登りがいのある山として多くの方が訪れる奥多摩・鷹ノ巣山。
その北側の懐に大滝があることは、古くから知られていたようです。
昭和初期、奥秩父の礼賛に尽力した原全教(1900~1981)も日原探勝のなかで、鷹ノ巣谷を訪れています。
里山にある滝としてはとても立派なものであり、半日で訪れることができそうなので、一度は訪れてみようと思っていました。
休日は満車になるであろう東日原駐車場も、6月末の平日は車も疎ら。
登山者よりも釣人の方が多いようです。
↑ 駐車場外観
10数台ほど停められるスペースがあり、無人ながら¥500/日。
↑ 使用の注意
トイレは使用不可状態のため、少し先にある東日原バス停の公衆トイレまで行かなければなりません。
入渓点までは15分ほどのアプローチ。
↑ 階段を下ります
巳ノ戸橋を渡って、左の作業道を進むとすぐに鷹ノ巣谷です。
↑ 巳ノ戸橋
↑ 鷹ノ巣谷出合
出合にある朽ちた橋が入渓の目印となります。
この日は雲が多く、どんよりとした空模様。
里山らしいジメッとした渓相は気分がよいものではなく、テンションが全く上がりませんが、怪我をしないように気を引き締めて、小滝に取り付きます。
鷹ノ巣谷は奥多摩を代表する初級者向けの沢で、アプローチの容易さもあり、入渓者も多い人気ルート。
石尾根縦走路の中間に位置する鷹ノ巣山(標高1736.6m)を源頭とし、標高差1000m超を日原川に向かって一気に流下します。
美しい苔やワサビ田跡に彩られた奥多摩らしい渓で、ハイライトは中間部に君臨する大滝2段18m。
詰めが核心とされ、“沢登りは体力であることを思い知らされる”とガイドには書かれています。
入渓してすぐ小滝が続きますが、よいウォーミングアップとなります。
↑ トイ状5m滝
↑ ナメ滝8×12m
この滝は、登山体系では地蔵ノ滝3段10mと記されています。
すぐ上で、左岸より巳ノ戸沢が出合い、石積み堰堤が現れます。
↑ 最初の石積み堰堤
ここからはワサビ田跡が続く穏やかな苔むす渓相。
昭和の香り漂う石積み堰堤がさらに3つほどあり、それぞれ容易に巻き上がることができます。
堰堤を過ぎると、幾つかの小滝が現れますが、特に難所はありません。
■ 大滝を登ってみる
入渓から1時間半ほどで、ハイライトの大滝2段18mに到着。
森の奥深くにその存在感を強く示しています。
↑ 大滝2段18m
登攀ルートは右壁。
↑ ここを登ります
階段状でホールドがしっかりしています。
上部には太い灌木があり、これが登攀を安全なものにしています。
↑ ありがたい灌木
途中テラスというよりも小広場があり、一息つくのに最適。
↑ 小広場から
最上部の登攀も容易で、終了点には残置支点もあります。
↑ 最上部の様子
↑ 残置支点
↑ 滝上より
さて、ここからですが......。
まともに沢を詰めると、ガイド本では稲村岩尾根登山道まで3時間、さらに下山2時間ほど。
これが沢登りの体力をつけるにはうってつけであると記されています。
しかし、明らかに明日の仕事に影響が出そう......。
因みに登山体系には、
“直登は容易で右壁を越えれば、この谷の出合いから登ってくる仕事道に合する(この道を下れば出合いまで一時間半である)。”
と記されており、前述の原全教もこの道を辿っているようですが、当然のようにそんな都合の良い道はすでに存在しません。
沢登りらしく、ショートカットでここから枝尾根を詰める方法もありますが、見るからに大変そう。
という訳で、懸垂で大滝を降り、往路を引き返すのが最も体力的に楽だと思ってしまいました。
↑ 沢を下ります
要所要所でロープを使用しながら、1時間半ほどで入渓点に戻ってくることができました。
半日の沢遊びとしては、鷹ノ巣谷の大滝は格好のスポット。
時間があまりないときでも楽しめるルートとして、奥多摩では案外貴重なものかもしれません。
最後までご一読いただき、有難うございました。
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