錫杖岳 北沢大滝~本峰正面ルンゼ
感想コメント
コンディションに恵まれず、行きたいと思いつつも中々行けなかった冬の錫杖にやっと行くことができました。
北沢大滝~正面ルンゼは「見張り塔からずっと」の冬季バージョンといえるルートで、無雪期に「見張り塔...」を登った際に冬もまた来たいと思っていました。
初日は快晴で雪崩のリスクが大きかったので、クリヤの岩舎への移動日に。
前衛壁を眺めてたら案の定スノーシャワーが頻発していました。
とくに1ルンゼは激しく、爆音とともに雪煙を巻き上げていました。
2日目は晴れ/曇りの予報でルンゼを登るには絶好のコンディション。
当ルートは南東面で日射の影響を受けやすいので、なるべく早い時間から行動しました。
前衛壁の基部を巻いて取付きへ。
ヘッデンの明かりを頼りに北沢大滝をダブルアックスで登っていきます。
大滝のルンゼ内は雪崩で磨かれた堅雪帯と氷が入り混じったコンディションで、アイス慣れしたパーティならロープ無しで大洞穴あたりまで行ってしまうところですが、今回我々は傾斜の強くなる上部からロープを出しました。
スタカットからコンテに切り替えつつ、雪壁をトラバースして本峰フェースの大洞穴へ。
寝不足でペースが上がらなかったり、穴を踏み抜いたりしたせいでたどり着くまで少々時間をくってしまいました。
大洞穴は完全に埋まり氷瀑が発達していて、WI3程度のアイスクライミングが2P続きます。
このころから日差しが強くなり、1P目はスノーシャワーを浴びながらのクライミングになりましたが、ここの2Pがルート上で一番面白い部分でした。
途中本峰フェースのクラゲ氷が落ちてこないかヒヤヒヤしましたが...
幸い天気は予報どおり曇りになり、スノーシャワーに悩まされたのはここだけでした。
その後はブッシュ登り、ラッセル、ミックス帯を2Pこなして稜線へ。
若干ライン取りを間違えたようでここでも時間をくってしまいました。
稜線直下のミックス帯は頼りない枝を掴んでハイステップの乗り込みや、腕力に頼ったブッシュ登りなど中々登り応えがありました。
稜線に出てからは西側を巻きながら北峰へ。
雪質は登ってきた南東面とはうってかわってパウダーの胸~腰ラッセル。 樹林帯なので落とし穴が多く、何回か踏み抜いて穴にはまり大変でした。
やっとの思いで北峰に着き、休憩してから2100mのコル経由で下山。
コルからは雪質の良い時に滑ったら楽しそうな斜面でした。
クリヤの岩舎でテントを撤収し中尾高原の駐車場へ。
撤収時間含め行動時間13時間と、思ったよりも時間がかかってしまいましたが充実の山行となりました。
本ルートは南東に面していて日射の影響を受けやすく、ルンゼ内にいる時間も長いので雪崩などに細心の注意が必要です。 当日は曇りで抜群のルンゼクライミング日和でした。
露岩からプロテクションを取ることが多いので、スクリュー数本の他にカムやナッツ、ハーケン等は必須です。 カムは細かいのがあると便利です。
ロープは50mダブルで行きましたが、60mあった方が有利です。
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