南伊豆ロングトレイル
- 投稿者
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るんちゃん(おとな女子登山部)
浦和パルコ店
- 日程
- 2025年01月16日 (木)~2025年01月17日 (金)
- メンバー
- 単独
- 天候
- 1日目 雨→曇/2日目 曇・晴
- コースタイム
- 【1日目】石廊崎オーシャンパーク(30分)トレイル入口(30分)中木深草神社(60分)入間バス停(40分)千畳敷(50分)富戸ノ浜(45分)吉田浜
【2日目】吉田浜(80分)妻良港(30分)子浦バス停(40分)落居口(70分)伊浜集落(40分)モンキーベイ駐車場(50分)高通山登山口(30分)山頂(60分)雲見入谷バス停(10分)浅間神社(25分)浅間神社展望台(15分)雲見温泉バス停
- コース状況
- ○伊豆急下田駅を起点に、石廊崎までバスで向かい松崎まで北上しました。松崎から石廊崎まで南下する逆コースも可。下田駅か松崎バスターミナルのコンビニで食料補給し、飲料は各地の自販機にて。トレイル中にコンビニはありません。バス停に併設しているトイレもあります。トイレはどこも綺麗でした。
○宿泊は各地の民宿かキャンプ場が利用できます。入間キャンプ場や雲見オートキャンプ場がハイカーに多く利用されているようです。要予約。海岸付近は6月から9月までキャンプ禁止となっています。
○中木から入間で熊らしき生物目撃情報、吉田から妻良間では猪注意の看板がありました。トレイル上は鹿の糞や角が落ちており、鳴き声も頻繁にしていました。
○吉田から妻良は一部不明瞭な登山道歩きます。左に海を見ながら尾根沿いに歩けば問題なし。
○妻良から小浦まではロード歩き、短いトンネル3本通りますが歩道あります。
○落居口から伊浜までは地図上は海岸沿いに道ありますが、私有地のようで通れませんでした。136号線を長いこと歩きました。歩道はないので車に注意して下さい。
○伊浜から波勝崎へは落石だらけの狭い舗装道を通ります。集落の端に入口があり、落石注意のロープ張られてますが通行可能です。波勝崎側の通行止の看板も避けられていました。
○波勝崎のある南側から登る高通山登山道は、土砂崩れにより通行止めです。東に回り込みごみ処理場の先にある遊歩道から山頂へ行けます。
○トレイル途中で下田駅へ戻るにはバス便が少ないので、松崎まで出た方がアクセス良くなります。
- 難易度
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感想コメント
年の始めに相応しい魅惑のルート、南伊豆ロングトレイルを歩いてきました。泊まりで一気に歩くも良し、かいつまんで日帰りで楽しむも良し。このトレイルの魅力は何といっても眼前の大海原。海を見ながら気持ちの良いトレッキングができるので、山歩きを始めて間もない方にもおすすめです。
1月といえば雪山しか思い浮かびませんでしたが、暖かい地域ならではの爽快なトレイルを満喫してきました。
計画を思い着いたのは一週間前。気温は?装備は?交通手段はあるの?そしてどこに泊まる?キャンプ場もあるけど微妙な距離だし、それなら日帰りにするか?山の中で過ごすいつもの登山とは少し勝手が違うので、準備にあたふたしてしまいました。
結局選んだスタイルはビバークもとい野宿。キャンプ禁止期間外とはえ季節は冬。その辺にしれっと張ってぐっすりというわけにはいかないだろうから、海風の当たらない森の中で。トイレが近い場所となると吉田付近が妥当と判断し、初日はそこを目指して出発しました。
当日の朝は寒く、伊豆急の電車の中でホッカイロを握っていました。車窓からどんよりとした伊豆大島を眺めているとポツポツと嫌な雨音が。下田駅で石廊崎行きのバスに乗り換えると、海が近付くにつれ雨が激しくなり、スタート地点の石廊崎オーシャンパークに着いた頃には本降りに。雨が止むまで取り敢えずお茶することにしました。
今回は青い海を見ながら歩くのが目的なので、窓の外の冬の日本海のような灰色の海を見てすっかり意気消沈。雨のテントも嫌だしもう諦めて帰ろうか。下田駅に戻るバスがやって来たので慌てて外へ出ると、いつの間にか雨が止んで青空が。コロコロ変わる天気に呆気にとられているとバスは既に走り出していました。この感じならいけるかもしれない。足は石廊崎の灯台へ向かっていました。
石廊崎は伊豆半島の南端に付き出した岬で、そこから見下ろした断崖は足の竦む高さ。打ち付ける波はサスペンス映画のクライマックスのようでした。時間は既に10時を回っており、これから歩くのはテント泊装備で歩き切れるかもわからない未知のトレイル。誰かに「私行けますかね?」なんて野暮な質問をしたい衝動を押さえて、とにかく行動を開始しました。
石廊崎から戻って道路脇のトレイルからスタート。まずは中木を目指します。コース上には看板があるので迷うことはありませんが、所々わかりにくかったり、ロード歩きがいやに長かったりと、メジャーではない故の整備されていない印象を受けました。ただ歩きやすくても冒険要素が薄れるので、せめて波勝崎からの高通山登山道は早く復旧してほしいです。
最初の港町・中木に着いたら、海岸を通って再び山の中に分け入ります。このように海抜0メートルまで下っては山道を登り返すので、シートゥサミットを何度か繰り返すことになります。登れば大海原を見渡せ、下っては水平線を眺めることができるので、景色が良い分しんどい登山のアップダウンとは全く違うわけです。こんなアップダウンなら何度続いても頑張れそうだ。そう思ってどんどん歩きましたが、さすがに最後の方は疲れました。
初日のお楽しみは入間の先の千畳敷海岸。地層の鮮やかな模様と荒波が織り成す色彩豊かな場所です。トレイル自体は早足で歩いていましたが、ここに来たらゆっくり見学しよう。そう決めていたのにまさかの雨。なんとか小雨で済んだので、時間の許す限りダイナミックな造形美を楽しみました。
この後は吉田へ向かうのみ。相変わらずのアップダウンでしたが、雨はすっかりあがり海がこの日最も美しい眺めを見せてくれました。金色に輝く太陽と海に描かれた光の道、こんなに優しい表情の海は久しぶりです。ようやく伊豆の海に受け入れてもらえた気がしました。
富戸の浜を過ぎ最後の急登を登ると、目指す吉田の海岸が見えました。吉田には小さな集落があります。集落から離れた海岸近くにトイレがあり、風の影響が無さそうな林の木陰をこの日の宿としました。夜は星が瞬き、雨の心配も無いのでぐっすりと眠りに就きました。
翌日早朝、ピンク色に染まる海を眺めながら妻良を目指しました。妻良の集落に着くと自販機を発見、水分を調達していると奥の商店から店主のおじさんが出てきました。「どこまで行くの?1人?寂しいね~」と声をかけてくれて、ありがたいことに空いたペットボトルを回収してくれました。水を入れて少し重くなったザックを背負い、次の子浦へ向かいました。
子浦の海は青く、様々なレコで素晴らしい場所と紹介されていましたが、その通り穏やかで美しい場所でした。いつまでもこんな道が続けば良いのに。思いとは裏腹にしんどいロード歩きが始まりました。
長い道路をヘアピンしながら、下って下ってたどり着いたのは伊浜の集落。次の波勝崎へ行くのに通過する海辺の町です。狭い住宅街を抜け、いつの間にか波勝崎とは違う方向に向かっていると、住民のお母さんが親切に道案内してくれました。「どこから来たの?あら、うちの娘は埼玉に嫁いだのよ~」なんて気さくに話してくれました。地域の方とお話できるのも、里山を歩くロングトレイルの魅力の一つなのだと気付きました。
落石だらけの狭い道を歩いて行くと再び道路に出ました。少し登ると南伊豆の最高峰・高通山が見えてきます。そのまま南側から登れたら良かったのですが、そちらの登山道は土砂崩れにより通行止め。東に回りこまないと道が無いので再びロード歩き。登山口には駐車場、トイレがあり、日帰りで楽しんでいる方もいました。木段が整備され非常に歩きやすい道を登るとあっという間に山頂へ。展望が良く、伊豆諸島が良く見えました。ここからだと富士山は半分隠れているので、全貌を眺めるにはもう少し先へ進む必要があります。
北へ向かって雲見まで下り、終点の浅間神社まで行くと富士山だけでなく、雪を被った南アルプスも見えました。この浅間神社は各務原の本田さんが12月に上げていたレポートの通り、急で狭い何十段もの階段を登らなくてはなりません。頂上はかなりの絶景ですが、下るのも一苦労で疲れました。せめてザックをデポすれば良かったです。
雲見を満喫したら終点の松崎まではあと少し。トレイルはまだまだ続くのですが浅間神社への参拝でぐったり。バス停も目の前にあることだし、お腹も空いたし、松崎までバスで向かうことに決めました。今回もし逆コースだったら、前半に登山があるのでバテずに最後まで歩けたかもしれません。
これにて今回のトレイルは終了。早めに切り上げたことだし駅でゆっくりお土産を選ぶつもりでしたが、松崎にはコンビニしか見当たらず、終点の下田駅のお土産屋さんも悲しいことに全て閉まっていました。
初めてのロングトレイルはいろいろ失敗もありましたが、絶景も見れたことだしなかなか楽しい旅でした。1泊2日できつめのスケジュールでしたが、2泊3日あれば余裕を持ってお土産や温泉、観光も楽しめると思います。ロングトレイルは余裕のあるプランで、優雅に楽しみ尽くすべきだと感じました。
【使用ウエア】
上半身は全てミレーです。
(アンダー)ドライナミックメッシュ
(ベースレイヤー)クータイウール
(中間着)スルーウォームフーディ
(アウター)ティフォン50000ストレッチジャケット
(パンツ)フォレストワードローブ/サーマルストレッチパンツ
(靴)ノースフェイス/ベクティブファストパックフューチャーライト
【使用ギア】
(テント)アライテント/SLドームソロ
(シュラフ)イスカ/エア450Xショート
(マット)サーマレスト/プロライト
(ザック)ミレー/プロライター30+10
(ライト)レッドレンザー/ML4
(バーナー)プリムス/ウルトラスパイダー
ペットボトル飲料はプラティパスのウォーターボトルに入れ替えて持ち運びました。
フォトギャラリー
・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。