雪崩にドキドキ 春の白毛門
- 投稿者
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るんちゃん(おとな女子登山部)
浦和パルコ店
- 日程
- 2025年04月18日 (金)~2025年04月18日 (金)
- メンバー
- 単独
- 天候
- 高曇り
- コースタイム
- 土合駅ホーム(15分)土合駅改札(20分)白毛門登山口(150分)松ノ木沢ノ頭(30分)1500m地点(20分)松ノ木沢ノ頭(90分)登山口(10分)土合駅
- コース状況
- ○土合駅は無人駅なのでスイカ使えません。手前の水上駅で支払いしました。ホームから462段の階段を登りつめます。エスカレーター、エレベーターはありません。トイレは改札出ないとありません。土合駅から谷川岳ロープウェイや、水上駅や上毛高原駅までバス便があります。
○白毛門登山口はまだ除雪されておらず駐車は出来ません。土合駅もしくは隣のドライブインか、上のインフォメーションセンター(トイレ有)に駐車して登山口まで歩きます。
○下部は夏道が出ています。アイゼンは松ノ木沢ノ頭の手前の急登が始まる前に装着しました。上部の岩は完全に露出している所もあれば、白毛門沢側にはべったりと雪が付いている箇所もあります。アックスを打ち込み、アイゼンを蹴り込んで登る壁も出てきました。
- 難易度
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感想コメント
急登な上に、岩や木の根が張り出し無雪期はただでさえ歩きにくい白毛門。難路ゆえトレーニングにはもってこいの山なので、年に数回は訪れています。そんな白毛門も雪が積もると均らされて多少歩きやすくなりますが、今回は時期が少し遅すぎました。雪溶けが進み、なだらかだった雪面にはクラックが走り、岩は半分以上露出し難路に拍車がかかっていました。白毛門に限ったことではありませんが、雪山は厳冬期の方が遥かに登りやすい場合もあります。前半は急登に大汗かき、後半は雪壁越えに冷や汗かかきながら登ってきました。
近くて良い山と昔から親しまれ、多くの登山客が電車で通い詰めた谷川岳。その拠点となった土合駅から今回はスタートしてみました。地下深くに造られた通称モグラ駅は、上の改札まで行くのに462段の階段を登らなくてはなりません。暗く冷たいトンネルの中に浮かび上がる階段は、遥か上まで延びておりどこが終点か判りません。天井にこびりついた緑の苔だけが異様に鮮やかで、歴史を物語っていました。
階段を登りきって、続く無機質な廊下を歩いてようやく改札です。コンクリートの廊下には窓があり、覗いてみると下には谷川岳ロープウェイへと続く道路が走っていました。何度も車で通ったこの道、土合駅から謎の回廊が延びているなと不思議に思っていましたが、ホームから改札へと続く通路だったのですね。何年か越しに判明して少し感動を憶えました。
改札を通過したら誰もいない待合室のベンチで装備を整えます。登山口は雪で埋まっているので、ここで支度して軽く補給しながら靴を履き、ゲイターも付けて準備完了。湯桧曽川の流れる登山口まで道路を少しばかり歩きました。年末や年明けは道路がツルツルなので、その時期はチェーンスパイクがあった方が良いかもしれません。
スタートとなる橋の上には雪はもうありませんでした。厳冬期はどこが歩けるか判然としない程雪で覆われている橋も、すっかり雪が溶けていました。
最初のブナ林はどこから取りついても抜けられますが、次第に夏道に沿って歩かないと藪が濃くなっていきました。たまに雪に埋まっていた枝が解き放たれ、勢い良く跳ね上がってビンタされました。残雪期あるあるの一つです。
気温は上昇しても、身に付けた装備は冬靴にレインウエアで暑さが辛いです。せめて上はウインドウシェルにして手袋も外して登りました。
谷川岳東面が良く見える松ノ木沢ノ頭まで、えらく急な雪の斜面を越えると、ようやく白毛門の頂上部が見えてきます。それでも見えてからが遠いのが白毛門です。まだまだかかるだろうと一息入れていると下ってきた男性がいました。この先は自分の力量ではとても無理だから引き返してきたとのこと。そんなことを言われて、私も途端に自信が無くなりました。
行けるところまで行ってみようとミックスの壁を越えると、完全に立った雪面が現れました。アックスは一本でしたが、雪は緩くアイゼンの爪もしっかり刺さったので、グローブをした左手をしっかり食い込ませつつ四点で確保しながら這い上がりました。ここだけはダブルアックスで登りたかったです。
嫌らしい雪壁をクリアし一息付いて歩き出すと、前方から凄まじい轟音。先程から雪崩れていた箇所が、さらに範囲を広げて一気に剥がれ落ちました。山頂のちょうど真下辺りです。
よし、帰ろう。雪崩を目の当たりにしてすっかり意気消沈、潔く引き返すことにしました。
まずは例の雪壁を下りなくてはなりません。確実にクライムダウンし安定した場所まで何とか下りました。雪面が緩くて助かりました。難所が終われば後はのんびり下りるだけ。最後に谷川岳の勇姿と周りの山々を一通り眺めました。上州武尊山や子持山、群馬の山だけでなく尾瀬の燧ヶ岳や日光の山々もうっすら確認できました。
久しぶりに汗だく登山をしたので、早く下山して冷たいアイスが食べたくなり一目散で駆け下りました。
出発時にはオープンしていなかった土合駅前のカフェの灯りが点いていたので、バスが来るまでお茶することに。駅で装備を解除し最低限の身なりを整え、いざお洒落なカフェに足を踏み入れました。数年前の土合駅前には無かったお洒落カフェ、ANDo&CAFEさんはグランピングも出来る施設のようで、周りにそれらしき球体形のテントが張られていました。
谷川岳ロープウェイが星野リゾートに代わってから、いつの間にかお洒落なエリアに変貌していったようです。
今まで通りの泥臭い登山も良いけれど、リゾート地らしくお洒落で優雅なハイキングを楽しむ方が今の時代に合っているのかもしれません。
【使用ウエア】
(上)
アンダー▶ミレー/ドライナミックメッシュ
ベース▶ミレー/クータイウールクルー
アウター▶ノースフェイス/スワローテイルフーディ
(下)
パンツ▶ミレー/ビオナセパンツ...汗をかく残雪期ソフトシェルパンツとして超快適
ゲイター▶ノースフェイス/アルパインゲイター
グローブ▶テムレス02
【使用ギア】
バックパック▶ノースフェイス/ノーム28
アックス▶ブラックダイヤモンド/バイパーアッズ
シューズ▶スポルティバ/ネパールキューブ
アイゼン▶グリベル/エアーテックニューマチック
フォトギャラリー
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・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。