忍びの道を歩く 尾開山 / 弘前(青森県)

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投稿者
上田 哲也
京都河原町店 店舗詳細をみる
日程
2018年03月28日 (水)~2018年03月28日 (水)
メンバー
グランフロント大阪店 上田
天候
晴れ
コースタイム
弘南鉄道・石川駅~20分~大仏ヶ鼻城(97.6m)~60分~お茶の水~60分~尾開山・東稜(508.8m)~5分~尾開山・西稜~45分~お茶の水~50分~弘南鉄道・石川駅
コース状況
山頂直下の急斜面は、踏み抜くと腰近くまで雪に埋もれます。
熊出没注意。

水場:お茶の水
WC:大仏公園にあり
難易度
Google Map
  • スタートナビ
  • おとな女子登山部

感想コメント

青森県弘前市にある尾開山へ行ってみました。

尾開山は弘前市街の南端に位置しており、青森県認定の名水「お茶の水」がある事で知られています。中世の頃には修験道で栄えたという西隣の堂ヶ平山と尾開山にて修験者が心身の修行を行い、忍者もこの地形を利用して修行を行なったと言い伝えられており、東北自然歩道「名水と忍者修験道のみち」が整備されています。また弘前藩で一刀流を指南していた山鹿一族も、この山中で修練していたといいます。

「弘前城」築城の際には尾開山の西側に生い茂るヒバ(ヒノキ)や、山の東側にある石川地区の栗の木を用材として伐り出したといい、「種栗」という幹周り5mもある栗の木が山頂の直下に残っています。この木は修験者や忍者がこの場所で修業したことを後世に伝えるため残され、他の木が伐採されてもこの木だけは大事に保存されたのだと言われています。

弘前藩の家老として活躍した服部長門守康成は「弘前城」築城にも関わっていますが、「津軽記」には「康成、元ハ甲賀忍の達人なるが、慶長初の頃、(津軽)為信公の英名を慕ひ来りし…」とあり、甲賀流の忍者であった康成が津軽家に召抱えられた事が分かります。康成は大垣城の戦い(関ヶ原の戦い)で抜群の戦功を上げ、徳川家康から「康」の字を使う事を許されたといいます。

また甲賀忍者の中川小隼人は、弘前藩に甲賀系中川流(小隼人流)忍術を伝承し「早道之者」と呼ばれた忍びの小集団を組織。明治初期に解散するまでの200年間、江戸から蝦夷まで情報収集や異国船対策などの活動をしていた事が分かっています。伊賀や甲賀の忍び同様に、「早道之者」も情報を素早く持ち帰れるよう修験の山を歩いて鍛錬をしていたのかもしれません…。

弘南鉄道・石川駅から出発。東北自然歩道「名水と忍者修験道のみち」の案内図に従い、まずは大仏公園へ。ここにはかつて大仏ヶ鼻城(大渕ヶ鼻城)があったとされており、地下にある洞窟は城の脱出口になっていたと言われています。階段の道を登って行くと、駅から20分ほどで山頂に到着。三角点あり、展望あり。気温10度。

三十三観音を巡ってから一旦山を下ると「文学の丘」を経て、広大なりんご園の中を歩いて尾開山へ向かう。りんご園の終点から先は積雪20~30cmぐらいの林道歩きとなり、ワカンを持ってこなかった事を後悔しつつ前進を続ける。青森県認定の名水「お茶の水」で、喉を潤しつつ小休止。

再び雪に埋もれつつ林道歩きを再開したところで、鹿でも猪でもない見慣れない動物の足跡を発見!道中で「危険!!熊出没につき注意」の看板を見たことを思い出し、熊鈴を用意…と思ったら宿に置き忘れて来た様子…。

雪解けの時期に熊の生息圏を何も無しで歩くのは危険なので、忍者の知恵を借りてその場で金属製カップと金属製スプーンを用いて鳴子を製作。「一器万用」が忍びの極意なり。紐でカップとスプーン(持ち手に吊るせる穴が開いたもの)をザックに吊るして歩くと、カランカランと音が鳴りますので、熊除け鈴を忘れた時に覚えておくと役立ちます。

弘前市街の展望のある林道の終点まで来ると、目印のテープもなく完全に雪に埋もれた分かりにくい山道を稜線まで登り、尾開山・東稜の山頂直下の急斜面をキックステップで足場を刻みつつ直登。踏み抜くと腰辺りまで雪に埋もれるので、樹木を掴みつつ登る方が賢明です。

尾開山・東稜に到着したものの三角点は雪に埋もれていて場所不明。展望は樹木に遮られてなし。気温14度。尾根道を伝って5分ほどで尾開山・西稜へ。三角点なし、山の由来を書いた案内板あり。山頂からは阿闍羅山が望めます。帰路は言い伝えの残る「種栗」を経由して林道終点に戻り、同じルートで下山しました。

フォトギャラリー

弘前城から夕暮れの岩木山を望む

東北自然歩道「名水と忍者修験道のみち」

大仏ヶ鼻城(大渕ヶ鼻城)跡

大仏ヶ鼻城からの眺め

三十三観音

阿闍羅山とJR奥羽本線

りんご園と阿闍羅山

「文学の丘」と尾開山

花が咲けば「春の小川」の景色に…今では貴重な風景です

広大なりんご園

一面雪景色に…

結構積もってます

名水「お茶の水」

忍びの極意「一器万用」…忍者の知恵を借り鳴子を製作!

弘前方面の展望

尾開山・東稜

山や忍者の言い伝えを書いた案内板

尾開山・西稜

山頂からは阿闍羅山が望めます

言い伝えの残る「種栗」

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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