涸沢初冬 ~ 静寂の上高地を越えて

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投稿者
伊藤 岳彦
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日程
2011年11月28日 (月)~2011年11月30日 (水)
メンバー
単独行
天候
曇時々晴
コースタイム
【1日目】 中の湯(12:30)-上高地(14:00)-徳沢(16:00)
【2日目】 徳沢(7:00)-横尾(8:00)-本谷橋(9:00)-涸沢(12:00/13:15)-           本谷橋(14:30)-横尾(15:30)-徳沢(16:30)
【3日目】 徳沢(9:00)-上高地(11:00)-中の湯(12:30)
コース状況
上高地から横尾まで、通常のコースタイムで歩くことができました。
梓川には全く雪がありません。

雪道らしくなるのは横尾を越えてからです。
本谷を渡渉した後にアイゼンを装着。トラバースを越えてから雪質が変わったので、ワカンに切り替えました。
さすがに涸沢直下はラッセルらしくなりましたが、それでも膝下くらいまででした。

師走前の涸沢としては、気温が高いだけでなく、明らかに寡雪です。
雪質も安定し、デブリもない状態だったので、気軽に行って来れましたが、今回は例外と考えるべきでしょう。

週末に上高地まで行かれる方も多いと思います。釜トンネルから先、凍ったアスファルトで思わぬ怪我をしないよう、ご注意下さい。

明神、徳沢はまさに「猿の惑星」状態です。
人馴れした猿に必ず出会えるのではないでしょうか?
難易度
  • スタートナビ
  • おとな女子登山部

感想コメント

29日は天候が崩れるという予想だったので、当初は悪天候下でも危険の少ない蝶ヶ岳を、徳沢をベースに時計回り(横尾→蝶ヶ岳→長塀尾根)で回ってくるつもりでした。
しかし、29日は晴れてしまい、見たところ蝶ヶ岳方面の雪も少なかったので、横尾まで行く途中に気が変わり、トレーニングとしては涸沢に行く方が賢明だと判断。雪質も問題なさそうでした。
この日の好条件を予め予見できれば、横尾避難小屋をベースに少し無理をして、北穂高へ行くことも可能だったかもしれません。

屏風岩や前穂の美しさに魅せられたように横尾橋を渡ってしまうと、その先はトレースもなくただ獣の足跡が続くのみ。
本谷を渡渉してからはさすがに雪も多く、涸沢まで無数の獣の足跡に導かれながら、ワカンで進みました。

今年10月には1日に1200張ものテントがあったというほど大人気スポットの「涸沢」。
その場所にただ独りで立ったときに感じたことは、ちっぽけな優越感など吹き飛んでしまうほど、圧倒的な穂高連峰の神々しさと、一人の人間の小ささです。自分が関わる人たちに対して、仕事や生活に対して、つねに「謙虚」であれ、と諭されるような感覚。
自身の内から自然と湧き上がってくるこうした感情を得るために、もしかしたら私は山に登り続けているのかもしれません。
とか何とかカッコいいことを言って、職場に2日もいると山で感じたことなどキレイさっぱり忘れてしまうんですよね。

従来の山の常識からいうと、11月末の涸沢は本来タブーであり、何かあれば(=雪崩に遭えば)社会的に多く非難されるのは免れ得ません。
その意味でこれは例外的な登山情報として捉えて頂きたいと思います。

久しぶりに「冬の徳沢」でテントを張らせて頂きましたが、やはり最高の環境です♪
明るく開放的で、ロケーションが抜群!
設備的にも流水があり、ペーパー付き冬期トイレまであるというのも勿論ですが、そこそこのアプローチが必要なので、本当に山を愛する人しか来ないところも魅力なのかもしれません。
何より優しく流れる梓川と、豊かで情緒あふれる森を愛でながらのアプローチは他では味わうことができない素晴らしいものです。
また、登山者を温かく見守って下さる小屋番の方が愛らしい番犬とともに迎えてくれます。
昨今の登山ブームでテント泊を初めた方も多くいらっしゃると思いますが、初冬のこの時期、徳沢キャンプだけを目的に来ても、多くの感動が得られるのではないでしょうか?

フォトギャラリー

涸沢初冬

朝の徳沢から

横尾から本谷方面を望む

前穂アップ

横尾から雪道らしくなります

屏風岩

北穂の雄姿 1

北穂の雄姿 2

本谷渡渉点

横尾本谷右俣

獣の足跡が続くトラバース

涸沢到着!吊尾根から陽が射します

北穂全容 (南稜と東稜)

奥穂を見上げる

涸沢岳アップ

涸沢でお昼寝 ♪

下山開始!

徳沢キャンプ場 二晩お世話になりました

最終日に山を振り返る

人間など眼中にない猿 餌に夢中です

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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