雪の長沢背稜

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2024年01月22日 (月)~2024年01月23日 (火)
メンバー
単独
天候
1日目/曇 2日目/晴れ
コースタイム
【1日目】鳩ノ巣駅(100分)大ダワ(70分)川苔山(70分)日向沢ノ峰(70分)蕎麦粒山(80分)一杯水避難小屋(120分)酉谷避難小屋
【2日目】酉谷避難小屋(25分)酉谷山(150分)長沢山(160分)芋ノ木ドッケ(80分)お清平(65分)三峯神社バス停
コース状況
・川苔山は頂上付近に雪があります。今のところチェーンスパイクで問題なさそうです。鋸尾根はしっかり三点支持で登りましょう。
・雲取山に近くなるほど積雪量増えます。多いところで踝くらいの深さになります。長沢背稜~雲取間は6本爪アイゼンが望ましいです。冬靴の必要はありませんが3シーズンの、足が冷えないようアッパーが厚めのものがおすすめです。ゲイターもあると良いです。
・蕎麦粒山~酉谷山は南側の狭い斜面のトラバースが多数あります。雪も付いてるので滑落しないよう細心の注意を。
・一杯水、酉谷共に今は水出ていません。どちらもトイレ付き、5~6人がゆったり横になれるスペースがあります。
・三峰側の登山道はお清平まで来れば積雪無くなります。
難易度
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感想コメント

 奥多摩と秩父の間、どちらから向かっても日が暮れてしまう奥まった場所にある静かな尾根、それが長沢背稜。いつか歩いてみたいと何度か計画しましたが、お天気や朝寝坊により去年は行けず仕舞いでした。秋が深まると小屋の水が枯れてしまうので、荷を軽くしたいのであれば冬が来る前に登るべきと言われています。そのように忠告を受けていたのに、雪がしっかり積もったこの時期になって、ようやく訪ねてきました。
 拠点にしたのは酉谷避難小屋です。綺麗に管理されており、泊まる人は多いと聞きます。荷物は増えますが、避難小屋ステイを一人で満喫するには、静かでかえってちょうど良い時期でした。
 長沢背稜には他に一杯水避難小屋があり、雲取山に近いのが今回泊まった酉谷避難小屋です。どちらの小屋もトイレやすぐ近くに水場があり、内部は適度に広いので多くの登山者に利用されているそうです。避難小屋なので少しのマットや毛布も常備されてますが、今回は3シーズンの寝袋+ゴアのシュラフカバーに薄手のインフレータブルマット、水を3Lちょっと担いで上がりました。
 
 登山口はいつくかあり、どこも奥多摩駅からバスでアクセスできます。今回はバスは利用せず鳩ノ巣駅から川苔山経由で登りました。川苔山は奥多摩でも人気の界隈で、曇り空でも山頂には数人の日帰りハイカーの方がいました。まだ序の口だったので休憩はせず先を急ぎます。ここまではうっすら雪が積もってましたが、スパイク無しでなんとか歩けました。川苔山から北側の縦走路には急な箇所もあるので、ズッコケ防止にチェーンスパイクを装備しました。
 先に行けば行くほど風が冷たく視界が霞んできて、寂しさに拍車がかかります。雪はみるみる深くなり、狭いトラバースも出てくるのでスパイクの足元に少し不安を感じてきました。滑ることはなかったですが、雪が底に付いて団子になるので若干面倒臭かったです。
 最初の小屋、一杯水避難小屋に着いたのが14時頃。中を覗いてみると、大の字になって寝転べる広さでトイレもちゃんとあります。もうここで良いかと考えましたが、明日は余裕をもって下山したかったのと、昔この小屋で山賊被害があったので、今は安全だと思いますが念のため酉谷小屋まで歩み進めることにしました。
 長沢背稜から見える景色や植生など、じっくり味わいながら歩きたかったのですが、今は葉が落ちて雪も積もって白と黒の世界。茶色や緑が恋しくなりました。そんな状況なのでひたすら雪道を歩きます。たまに鹿の足跡を辿ったり、割りと大きめの足跡を見つけて辺りを警戒したり、フィールドサインを楽しみに酉谷小屋まで歩き通しました。
 
 酉谷小屋にはやはり誰もいませんでした。小屋の外には東京の夜景といくつかの星、寒さに震えながら目に焼き付けてさっさと中に入りました。
 長年使ったイスカのダウンシュラフ・エア450Xとゴアテックスシュラフカバーに潜り込んで、温かいお茶を飲めば体はもうぽかぽか。シュラフカバーで覆ったのは暖気を逃さない目的もありますが、お茶や食べ物の汁でシュラフを汚さないためでもあります。うっかりな私には大事なアイテムです。食べ物は簡素でしたがしっかり栄養を摂りながら、山の生活を楽しみました。
 一度も目覚めることなくぐっすりと眠った2日目の朝。外に出ると夜景でキラキラしていた辺りが、紫からピンク色に変化し始めていました。今日は良く晴れそうだ。伸びをしてから朝食と片付けに取りかかりました。
 日の出と共に私も登り始めました。最初のピークは小屋のすぐ上の酉谷山。白と黒の世界に今日は青空と日の出のオレンジが加わりました。昨日と違って気分も明るくなり、雪の上に踏み跡をテンポ良く刻んでいきます。長沢山などいくつかのピークを越え雲取山にだんだんと近付いていきました。余裕があれば雲取山も行きたかったですが、時間がなく今回は芋ノ木ドッケまで。奥多摩の山は独特の言い回しがあり、ドッケはピーク、タワは鞍部、コルを指します。どれも愛着の湧くネーミングで、地図を眺めているだけで楽しくなります。
 芋ノ木ドッケまで来たら人の足跡がようやく出てきました。ひと安心してお昼ご飯。さあ後は下り、と思ったらこの後も結構登りました。白岩山までは雪がしっかりとありましたが、お清平まで来ると地面はすっかり茶色に。ここでスパイクを外して後は三峯までのんびり歩きました。
 神社に近付くにつれ参拝客らしき人々が増えてきました。この寒い時期に山道を歩いて来るなんて、さすが関東随一のパワースポットです。麓に近くなるほど、整然とした杉並木や鳥居など神聖な空気が濃くなっていくのを感じました。特に何もしてないのに浄められたような気分。ゴールを三峯にして良かったです。

 帰路は三峯から西武秩父駅までバスに乗ります。冬は登山客より観光客の方が多いようです。バスに揺られること1時間、駅に着いたら日が傾いていました。懐かしの秩父駅でお土産と下山後のご褒美ご飯を堪能してから家路に就きました。本当は祭りの湯で温まりたかったのですが、替えの靴下を忘れてしまったので今回は残念ながらお預けです。
 念願の長沢背稜を歩けて満足でしたが、反省点もいくつかありました。雪山なのにサングラスを忘れたことが今回の一番の失敗。目から入る紫外線から肌を守るためにも、サングラスは欠かせないアイテムです。帰宅後忘れないうちにファーストエイドキットと一緒にしておきました。愛用のアイテムのお手入れをしながら、スキンケアはいつもより入念に。そしてお肌の為にも早めに就寝しました。

【着用アイテム】
(上)今回はミレーで固めました。インナーはドライナミックメッシュに相性の良いメリノウール150のベース、その上にアルファライトスウェットを重ね着。朝一歩き出しや休憩中には3シーズン用のティフォン50000ジャケットを羽織りました。
(下)フォレストワードローブの新作ウォームパンツで。夕方や朝一は上からティフォン50000ストレッチトレックパンツを重ねて。ゲイターも忘れず装着。下山後は電車に乗るので、泥汚れがつかないように薄手のティフォンパンツをよく履いています。薄くて嵩張らないので重宝してます。
(手)末端が冷えにくいメリノウールインナーに、寒い時はアクシーズクインのレイングリップを重ねてました。どちらもオールシーズン、夏にも使える厚さです。
【使用ギア】
寝具はイスカの3シーズンダウンシュラフ。現行品では撥水性のあるエアドライト480ショートがおすすめです。マットはサーマレストのプロライトWR。オーソドックスなインフレーターマットでこちらも長年愛用しています。
バーナーはプリムスのウルトラスパイダーストーブ。重さ200g以下で、トランギアのTR325ケトルにスタッキングして運びました。

フォトギャラリー

昨日と違って今日は良いお天気。木には霧氷が付いてました。

川苔山の南に延びる鋸尾根。ルート誤ると復帰が面倒です。

川苔山を東側から眺めています。

この下りは滑りそうな予感。

チェーンスパイク着けました。カンプのアイスマスターライトです。

登山道は左側の斜面についています。滑らないよう注意しながら。

白が基調の一杯水避難小屋。

東京の夜が輝いています。

お鍋はケトルのみ。山専ボトルはたっぷり安心の750mlで。

翌朝。日の出はもうすぐ。大岳山らしきシルエットが見えます。

お世話になった酉谷避難小屋。入口は反対側です。

小屋内部。コンパクトですが掃除が行き届いて居心地最高でした。

朝一番の酉谷山山頂。雪は締まって登りやすかったです。

朝陽を浴びる雪の稜線。清々しさに満ちてます。

滝谷ノ峰ヘリポート。雪で一面覆われています。

長沢山山頂1738m。意外に標高ありました。

雲取山方面も青空です。

たまにデブリが堆積して道を塞いでました。雪崩れないか一応様子見てから歩きます。

三峯に下り立つと立派な鹿がのそりと出現。

秩父名物の豚味噌丼を下山後のご褒美に。

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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