裏岩手縦走

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投稿者
るんちゃん(おとな女子登山部)
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日程
2018年10月13日 (土)~2018年10月15日 (月)
メンバー
東北の友人5名
天候
【1日目】晴れ【2日目】曇/晴れ【3日目】晴れ
コースタイム
【1日目】馬返し登山口(150分)五合目(60分)八合目避難小屋(50分)岩手山山頂(40分)八合目避難小屋

【2日目】八合目避難小屋(100分)お花畑(60分)切通(120分)網張分岐(90分)大松倉山(40分)三ツ石山荘(35分)三ツ石山(70分)小畚山(75分)大深岳(45分)大深山荘

【3日目】大深山荘(40分)嶮岨森(90分)緒桧岳(70分)畚岳(70分)八幡平レストハウス(30分)八幡平山頂(20分)レストハウス(30分)藤七温泉
コース状況
【岩手山】馬返しコース、旧道は岩稜帯なので登降注意。

【八合目避難小屋】一泊1700円、食事は持参、毛布貸出あり、水場は向かいの御成清水、トイレ棟有。管理人さんは今回の土日はいましたが、今後は不在になると思います。

【三ツ石山荘・大深山荘】共に無人、無料解放、収容人数10名程度。小屋内にトイレ有。10分以内の場所に水場。(三ツ石は涸れることも)

【交通】馬返しまでは車かタクシーのみ。御神坂か網張温泉までは盛岡からバス出ています。八幡平・藤七温泉から盛岡駅行きのバス1日2便程度出ています。

雪はまだ降ってませんが、朝晩は0度近く、ガスに巻かれた稜線はかなり寒かったです。行動中はフリース+レインウエアか、ソフトシェル、インナーはウールがおすすめ。150くらいの薄手のタイツもあると安心です。中厚手の手袋、耳を覆うニット帽やネックゲイターも必須です。
難易度
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感想コメント

 2年前、八幡平のお土産コーナーで見つけた裏岩手縦走コースが描かれた手拭い。それを見てからずっとそのルートを歩きたいと思っていました。土地勘のないそんな私の希望に応えてくれたのは岩手在住の友人。コース状況やバス時間等詳しく調べてくれた上に、共に縦走することを快諾してくれたので、友人案内のもと、紅葉の盛りを過ぎた静かで雄大なみちのくトレイルを満喫してきました。

 仕事が終わってから東京駅で夜行バスに乗り込み盛岡駅へ。寝ている間に東北へ行けるなんて、新潟から運転して盛岡まで行ってた時よりも遥かに楽でした。
 駅でピックアップしてもらい快晴の空のもと一路北へ、市街地を抜けると早速岩手山が。盛岡から見る姿はまるで富士山、近づくにつれ存在感を増してゆきます。馬返しで全員集合、水を汲んだり八合目の小屋に届ける薪をザックに取り付けたり、それぞれ準備して明るい森の中に足を踏み入れました。

 二合目あたりまではまだ綺麗な紅葉が残っており、その先はいかにも火山といった様相の露岩帯となります。振り返ると眼下には先程通った赤茶に染まる森、その先に小さくなった麓の街並、視線を上に移すと一際抜きんでた高峰・早池峰山と三角が特徴的な姫神山が聳えていました。岩場を登り切り七合目に着くと、いきなり現れる台形の頂上。私以外は何度も登っているはずなのに、つい皆が歓声を上げてしまうほどの堂々した姿でした。
 八合目の小屋で休憩してから頂上へアタック。一時曇っていた空も、私たちを誘う様にみるみる晴れていきます。ジグザグを何度か繰り返して外輪山の端に出ると再び皆が大興奮。火口丘を中心とする荒涼とした赤黒い大地から静かに白い水蒸気が上がっていて、山そのものが生きているような感覚を覚えました。御鉢をぐるっと反時計回りに周回、北側には明日から始まる八幡平までの縦走路が、頂上を経由して西側が開けると森吉山や秋田駒ケ岳、さらにはうっすらと鳥海山までも見渡せました。絶景を一通り堪能した後は、屏風のように荒々しい鬼ヶ城の岩場を見ながら小屋まで戻ります。小屋に着いて日帰りメンバーと涙のお別れ、お泊りメンバーは日が暮れるまでテラスでコーヒー片手に語らい、日が暮れかけた頃、小屋に入って今度はワインを片手に延々と鍋をつついたのでした。

 翌日は一転、靄が立ち込める寒空の中を出発、今は冷たい露に濡れたチングルマの綿毛くらいしか残っていない、通称お花畑まで黙々と下りました。硫黄臭のする大地獄谷を過ぎると一瞬晴れ間が覗きましたが、再びガスに巻かれ姥倉付近では風も強まり凍えるような寒さに。やっとの思いで稜線から逃れると、どろんこの樹林の中をアップダウンを繰り返しながら歩き続けました。
 昼過ぎに中間地点の三ツ石山荘へ到着、あと半分の工程を気分が上がらないまま歩くのかと溜息を漏らしていると、元気を出して!と言わんばかりに三ツ石山方面がみるみる晴れていきました。日に照らされた山頂までの道は黄金色に輝き、まるで導いてくれているかのよう。後ろから岩手山も徐々に裾野を覗かせ、頂上まで出ると昨日見たよりも秋田駒や森吉がさらに近くなりました。
 そこからは先はまさに天国のトレイル、東北の広さを感じさせてくれるたおやかな道が八幡平まで延々と続いています。背中には岩手山と三ツ石山始めこれまで辿った稜線、行く先には雲の切れ間から漏れる光の梯子、何本もの梯子が優しく山に降り注ぐ様を見ながら穏やかな気持ちで歩き通しました。小畚(こもっこ)岳で一旦ガクンと下り、大深岳まで登り返すと今夜の宿・大深山荘まであと少し。少しだけ雨に当たりましたが、上がった後のきれいな青紫色の空を眺めながら、日が暮れる前に山荘へ到着しました。

 最終日、昨日と違って明るい空、朝靄の中を雲海を眺めながらスタートします。岩手山はまだ雲の中、日が昇るにつれベールがはがれて時間と共に神秘的な姿を見せてくれました。縦走路の最後のピーク、畚岳に登ると八幡平がくっきり、ゴールが近づいてきて急に寂しくなってきました。何度も岩手山を振り返り、遂にアスピーテラインに到達、縦走はここで終わりですが、八幡平の頂を踏んだことが無いので道路を歩いて山頂へ向かいます。
 観光客が多い中、大きな荷物を背負っていると非常に目立ちます。荷物のせいか、風呂に入っていないボロボロの顔のせいか、ぎょっとした顔で見られて少し恥ずかしかったのですが、何とか山頂に立つことが出来ました。お疲れ様!とハイタッチ、達成感と共に疲労と空腹が増してきます。レストハウスで稲庭うどんを三口ほどで完食してから、藤七温泉へ一目散。三日間の汗を流して息を吹き返しました。

 今回は裏岩手縦走路を歩いて、例の手拭いをゲットすることがもう一つの目的でしたが、レストハウスでは残念ながら売切れ、どこを覗いても手拭いは見当たらずがっくり。その代わりに秋田のバター餅や盛岡冷麺、小岩井の乳製品をどっさり買い込みました。食べ物も美味しい東北、登ってみたい山も増えて、その魅力にすっかり取り憑かれてしまいました。何度訪ねても素敵な場所、来年はどこへ行こうか、今からとても楽しみです。

フォトギャラリー

三ツ石山から延びる縦走路。ここが一番のお気に入り。

馬返しから見上げる岩手山。

紅葉まだ残ってました。

早池峰(正面)と姫神(左)が見えます。自衛隊の演習の音にドキッ。

秋田のお友達からいただきました。ゴロゴロりんごが入って皮は新潟の蒸気パンに似た味。美味し。東北限定です。

岩手山の山頂。裾野が秋らしくもこもこしています。

触ると暖かいんです。

これから歩く縦走路。左から鬼ヶ城の尾根が走っています。

この上ない良いお天気でした。

残照岩手山。

翌朝。不気味な不動平。鬼ヶ城とお花畑の分岐です。

大地獄谷まではゴロゴロ歩きにくい。

切通からの黒倉山。ガスがとれてきました。

と思ったら姥倉で再びガスに巻かれる。寒い!

三ツ石まできたら晴れました。なんと雄大。

三ツ石と青空。どこから見ても山頂の岩が三つ見えるからその名が付いたとか。

三日目。朝靄の中から岩手山と雲海。

ここも気持ちの良い道。遠くに畚岳。

畚岳から岩手山。いろんな表情を見せてくれます。

長い縦走路でした!お疲れ様!

・実際に行かれる際は、現地の最新情報をご確認ください。
・ご自身の技術や体力に合った無理のない登山計画で山を楽しみましょう。

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